借金をすれば相続税が安くなるは本当か?

依頼者・関係者

広島市中区在住の70代のAさん

子供(相続人予定者)は長男と次男

尚、妻は5年前に他界

相続財産の内訳

預金         2,000万円

国債      1,000万円

不動産(自宅) 5,000万円

不動産(農地) 1億円

合計     1,8億円

相談状況・内容

 銀行からのご紹介でAさんは、不動産会社から「借金をすれば相続税が安くなる」という話を聞いたが、その意味がよく分らないので教えて欲しいと来所されました。

 また、相続税を減らしたいので本当に安くなるのなら実行したいという事でした。

ご提案・解決方法

 まず「借金すれば相続税が安くなる」といのは言葉足らずというかウソの話だと説明しました。

 不動産業者とか建築業者がよく使うフレーズですが、別に借金をしただけでは相続税は1円も安くなりません。

 相続税の計算は、資産(プラスの財産)から債務(マイナスの財産)の差額に対して基礎控除額(注1)以上の財産がある場合に課税されます。

 例えば1億円の借金をすると1億円のお金も入ってきます。

 しかし、このままだと資産(お金)1億円と債務(借金)1億円が同額なので、差し引きの財産の金額は全く変わらない為、相続税は1円も減りません!

 正確は、「借金をして不動産を購入や建築したら相続税が安くなる」です。

 そのカラクリは、相続税を計算する時の不動産の評価額(注2)が、購入金額や建築金額より低くなるからです。

 一般的に、不動産の相続税評価額は、土地は購入金額に対して20%減、建物は50%減になります。

 では、先程の例で、借金1億円をして建物を建築すると評価額が5,000万円となり、評価額と借金との差額5,000万円分財産が減少し、その結果、相続税が安くなるという仕組みを説明しました。

 Aさんには「借金をすれば相続税が安くなる」という仕組みはご理解頂けました。

 以上から「借金をして不動産を購入すれば相続税は安くなる」ので、子供達と相談して実行するか検討して下さいと説明しました。

 と言うのもAさん死亡後には、相続人である子供が借金も相続しなければならないからです。

結果

 後日、Aさんから「借金して不動産の購入」はしない事になったと連絡がありました。

その理由は、子供達が借金をする(引き継ぐ)のが絶対に嫌だった様です。

 因みにAさんが死亡した場合の相続税は、2,740万円ですが、この相続税については、相続した預金や国債を充当し、もし足りなければ、自分達の手持ち資金で何とかするという事になった様です。

 個人的には、遊休地(農地)もあるので、少し勿体ない気もしましたが借金するのが怖いという判断だったのでしょう。

 確かに借金をすれば相続税は安くなりますが不動産の価値が下落したり、賃貸マンションで家賃や入居率が下落すれば借金返せなくなるリスクもあり、そうなれば本末転倒です!

 今回の様に、相続税を減らす方法を知っていて実行しないのは人それぞれ色々な考え方があっていいと思います。

 しかし残念なのは相続税を減らす方法を知らないまま進む事だと思いますので気を付けましょう。

参考法令他

(注1)相続税の基礎控除額(相続税法第15条)

相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額から、3,000万円と600万円に当該被相続人の相続人の数を乗じて算出した金額との合計額を控除する。

(注2)不動産の評価方法(相続税法第22条、財産評価通達)

 不動産の評価方法は、相続税法22条に時価による規定されていますが、時価の算定が実務上は難しいので、財産評価通達に基づき、土地は路線価建物は固定資産税評価額で算定するのが一般的です。

 尚、路線価は公示価格の80%、固定資産税評価額は公示価格の70%と言われています。

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相続事例の執筆・担当者

広島相続税相談テラス
税理士:藤田 正則(ふじた まさのり)
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