相続税の申告期限が変更になる9つの例外ケース

「相続税の申告期限に例外は存在しない?」などの疑問をいだいていませんか。期限を過ぎると延滞税などを課されるため、しっかりと把握しておきたいポイントといえるでしょう。

基本のルールは、相続の開始(被相続人のご逝去)を知った日の翌日から10カ月以内です(一定期間内に遺産分割協議が整わなかったときは、法定相続分で按分したものとして申告します。)。ただし、一定の条件に該当する場合は除きます。

この記事では、そんな例外ケースについて事前に理解しておきたいと考えている方に向けて相続税の期限に関する例外ケースを紹介しています。
具体的に、どのようなときにルールから外れるのでしょうか。9つのケースを紹介するので、是非参考にして下さい。

相続税の申告期限と納付期限の例外一覧

相続税の期限に関する例外として、以下のケースが挙げられます。

1.申告期限が土日祝日に当たる場合

相続の開始を知った日の次の日から10カ月後が土曜日・日曜日・祝日の場合、期限は次の営業日になります。

例えば、10カ月後が土曜日で次の営業日が月曜日であれば、月曜日が最終日になるのです。具体的な日程については、税務署などで確認しておくことをおすすめします。

2.死亡日を後から知らされた場合

被相続人がご逝去された日と、それを知った日が異なる場合は、ご逝去されたことを知った日の次の日から10カ月以内が期限になります。
したがって、相続人により期限が異なることも起こり得ます。例えば、被相続人と元妻の間にできた子供が、現在の妻から被相続人がご逝去されたことをしばらく知らされなかったケースでは以下のようになります。

【例】

  • 被相続人がご逝去された日:2021年2月1日
  • 現在の妻がご逝去を知った日:2021年2月1日
  • 子供がご逝去を知った日:2021年4月1日
  • 現在の妻の期限:2021年12月1日
  • 子供の期限:2022年2月1日

相続開始を知った日の次の日から算出する点がポイントです。ただし、実際の相続では社会通念上知り得た日が知った日となります。長期間の外出などで知らなかったといっても、認められないことが一般的です。知り得なかった合理的な理由を求められる点に注意してください。

3.死亡日が特定されなかった場合

被相続人がご逝去された日がわからない場合は、戸籍上の死亡日の最終日に相続が始まったと考えて期限を設定します。

例えば、令和3年2月1日から10日間と記載されていれば令和3年12月10日(死亡日は令和3年2月10日)、令和3年2月頃と記載されていれば令和3年12月31日(死亡日は令和3年2月28日)が期限となります。複雑に思えますが、相続開始がわかった日の次の日から10カ月後とする点は同じです。

4.二次相続が発生した場合

遺産分割協議が整う前に相続人がご逝去され、新たな相続が発生することを数次相続といいます。この場合、ご逝去された相続人の期限は変更になります。

例えば、令和3年2月1日に夫を被相続人、妻と長男、長女を相続人とする相続が発生し、令和3年4月1日に妻を被相続人、長男と長女を相続人とする相続が発生(二次相続)したとします。

夫を被相続人とする相続の期限は、妻・長男・長女とも令和3年12月1日です。
しかし、妻の相続が発生すると、夫を被相続人とする相続に対する妻の申告期限は、妻がご逝去を知った日の次の日から10カ月以内となります。
つまり、令和4年2月1日に延長されるのです。尚、長男・長女の期限は、妻の相続が発生しても変わりません(当初から変わらず令和3年12月1日のまま)。

5.相続人が廃除された場合

家庭裁判所に申し立てて推定相続人の相続権を剥奪することを相続廃除といいます。被相続人を虐待していた場合や推定相続人が被相続人の財産を不当に処分していた場合、重大な罪を犯して有罪判決を受けている場合などで認められることがあります。

相続人が排除されたことで新たに相続人になった人の期限は、相続の開始がわかった日ではなく廃除を知った日の次の日から10カ月以内です。例えば、令和3年2月1日に開始を知って令和3年6月1日に廃除を知った場合、この相続人の期限は令和4年4月1日になります。

6.相続人以外へ遺贈された場合

法定相続人以外に遺贈が行われた場合、これを受けた人の期限は遺贈が行われたことを知った日の次の日から10カ月以内になります。

期限が変更になる理由は、遺贈が行われるまで財産を受け取れるかどうかがわからないからです。通常とは、起算日が異なる点に注意が必要です。

7.遺留分侵害額請求をした場合

遺留分とは、一定の相続人が受け取れる最低限度の遺産(一定の割合の留保分)です。例えば、長男と次男を相続人とする相続で被相続人(父)が長男に全財産を相続させることを遺言していたとします。次男の立場からすると、遺留分を侵害されたと考えられます。したがって、次男は裁判所に遺留分侵害請求を申し立てることが可能です。

以上のケースにおける長男の期限は通常と変わりません。期限後に遺留分が確定した場合、これを知った日の次の日から4カ月以内に更正の請求をします。次男は期限後の申告になりますが、例外的に延滞税・無申告加算税はかかりません。基本的には、税務署が決定をする前に、申告することになります。

8.停止条件付の遺贈がされた場合

停止条件付きの遺贈が行われた場合、条件を満たした日の次の日から10カ月以内が期限になります。停止付き条件付きの遺贈とは、遺言によりある条件を満たしたものに財産を譲ることです。

例えば、令和5年1月1日に土地をAに譲る、孫Bが20歳になったら1000万円を譲るなどが該当します。上記の場合、前者の期限は令和5年10月1日、後者の期限は孫が20歳になった日の次の日から10カ月以内です。

遺言者が死亡した場合、条件が成就するまでは、相続人の財産になります。この為、条件が成就するまでは権利関係が不安定になるので利用されているケースはは少ないです。

9.相続税の還付申告をする場合

相続財産の評価方法の誤りなどで相続税を多く収めていた場合に更正の請求という手続きで納め過ぎた相続税の還付を受けられるケースがありますこの付請求の期限は、申告期限から5年以内です。つまり、被相続人がご逝去された日の次の日から5年10カ月以内となります。

期限の例外を理解して適切に相続税を申告しましょう

いかがでしたでしょうか?今回は、相続税における期限の例外について解説しました。

基本は相続人がご逝去されたとを知った日の翌日から10カ月以内です。ただし、すべてのケースで同じではありません。具体的なタイミングは状況により異なるため、不安を感じる方は税理士に相談すると良いでしょう。

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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)
資格:税理士(税理士登録番号92527号)
行政書士(行政書士登録番号18342346号)
相続手続カウンセラ-
専門分野:相続税、事業承継
出身:広島県廿日市市
趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)
お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい

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