被相続人と相続人の違いとは?法定相続人の順位も税理士が解説!

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被相続人と相続人の違いとは?法定相続人の順位も税理士が解説!

相続が発生するとさまざまな手続きを行う必要があります。しかし、相続の手続きは人生で数多く経験するものではありませんので、慣れていないという方がほとんどでしょう。

聞きなれない言葉も多く、何を指しているのか意味が理解できないという方も多いと思います。相続手続きを進めるうえで正しい情報を得て理解することは非常に重要です。そこで当記事では、被相続人と相続人の意味の違いや法定相続人の順位や間違えやすい注意点についてわかりやすく解説します。

被相続人と相続人とは

被相続人とは今回の相続で亡くなった故人のことで、相続人とは相続により財産を受ける権利がある者のことです。誰に相続権があるかは民法で定められており、死亡した人との相続発生時点の関係によって順位が決められています。

相続人との関係は法律上の関係ですので、すべて戸籍謄本で確認することができます。そのため、金融機関や法務局で口座や不動産の名義変更をする場合は、戸籍謄本を提出する制度になっています。

また、推定相続人とは存命の人の現時点で相続する権利を有する人のことです。子どもが生まれたり、現時点の法定相続人が亡くなったりするケースもありますので、「推定」という言葉が使われています。

法定相続人の順位

遺産相続をする法定相続人の優先順位はどのように決まるのでしょうか。関係ごとの相続人の範囲や順位を確認しておきましょう。

配偶者

配偶者は常に相続人となり財産を相続する権利と遺留分を請求する権利があります。ただし、法律上の夫婦であることが必要ですので、事実婚でいわゆる内縁の妻(夫)の場合や離婚が成立している場合は法定相続人とはなりません。再婚相手も配偶者として相続人になります。

子どもや孫などの直系卑属

子どもは第一順位の法定相続人ですので、子どもがいる場合は常に相続人になります。配偶者がいる場合は法定相続人は配偶者と子供。配偶者が亡くなっている場合は子どものみが相続人となります。

子どもとは法律上の子どもを指しますので、養子縁組をした養子も戸籍上の親子関係となりますので、法定相続人となります。配偶者の連れ子は婚姻関係を結んだだけでは相続人になりませんので本人と養子縁組をする必要があります。法定相続人かどうかは戸籍上の親子関係となっているかがポイントとなります。

また、子どもが既に亡くなっており、孫がいる場合は孫に代襲相続します。

配偶者がいる場合の法定相続分は配偶者が2分の1子どもが2分の1となります。複数の子どもがいる場合は2分の1を複数で分けることになります。

両親・祖父母などの直系尊属

子どもがいない場合は親が第二順位の相続人となります。配偶者がいる場合は配偶者と両親、いない場合は両親のみが相続人となります。両親が先に亡くなっている場合は祖父母が相続人となります。

配偶者がいる場合の法定相続分は配偶者が3分の2、両親・祖父母などの直系尊属が3分の1となります。

兄弟姉妹

兄弟や姉妹は第三順位の相続人となります。子がおらず、両親が亡くなっている場合は配偶者と兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は甥・姪が代襲して相続人となります。

配偶者がいる場合の法定相続分は配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。

法定相続人が財産を受け取らないケース

法定相続人は財産を相続する権利を有しますが、必ず財産を相続するわけではありません。法定相続人が財産を受け取らないケースについても確認しておきましょう。

相続放棄

相続放棄とは相続人の意思で財産を受け取らないケースです。高齢となり夫婦ともに十分に財産を保有している場合は、夫や妻に財産を遺す必要がないと判断するケースや、子どものうち一人が生前に多額の贈与を受けているため、相続による財産は取得しないケース、相続財産の中にプラスの財産より借金などマイナスの財産が多く相続したくない等、理由はそれぞれです。相続放棄をする場合は、相続発生から3カ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申し立てを行うなど対応が必要となります。

相続廃除・相続欠格

相続廃除とは相続人の中に、生前に被相続人を相手に重大な侮辱や虐待、非行などにより、相続人にふさわしくないと考える人を廃除する手続きのことです。相続廃除が行われると相続人としての権利を失い財産を受け取ることができません。

相続欠格とは被相続人を殺害したり、自分に有利な遺言書の作成を強要するなどの行為によって相続人としての権利を失った人のことです。相続廃除は被相続人が生前に家庭裁判所に申請するなど手続きを行うことによって効力が発生します。一方で相続欠格は、欠格に値する事由が発生すると法律的に相続人ではなくなります。

相続人以外の人に財産を遺す場合は遺言書が必要

上記に解説した法定相続人以外の人は、遺産分割の協議に参加することができませんので、相続が発生した後に相続人の判断で財産を遺すことはできません。

法定相続人以外に財産を遺したい場合は、相続が発生する前に遺言書を作成しておき、遺産の配分方法や割合を決めておくなど対策を講じておく必要があります。例えば、事業を継続するために、法定相続人以外の人に資産を継承する必要がある場合や、孫など世代を飛ばして財産を遺したいケース、お世話になった団体に寄付する例などが考えられます。

法律上は遺言を作成することで、法定相続人以外の人に財産を遺すことが認められますが、中には特定の人に多く財産を遺すことで、遺留分を侵害し、相続人とトラブルになるケースもあります。相続人にも理解を得られるような遺言を作成する必要があるでしょう。

遺言が必要な場合はいずれ発生する相続のために早めに遺言を作成しておく方がよいでしょう。遺言の書き方が分からず、自身で作成することが難しい場合は、弁護士や司法書士、税理士に相談するとよいでしょう。専門家に依頼することで費用はかかりますが、確実な遺言を残すことができます。

また、遺言を作成する際は、資産の名義変更の手続きを行う執行者を指定しておくとスムーズに財産を引き継ぐことが可能です。執行者には弁護士、司法書士、税理士などを指定することも可能ですので、必ずしも親族で手続きを行う必要はありません。

相続の相談は税理士に相談を

相続や資産承継の手続きは複雑で難しいものです。セミナーや書籍などで制度を確認し、自分で行うことも可能ですが、仕事などで忙しく自分で進められないという方も多いでしょう。そのような場合は相続手続きのサポートを行っている税理士事務所・税理士法人に相談することをおすすめします。特に相続人の人数が多い場合や遠方に住んでいるは全員が集まることが難しいため、電話などで意見がまとまらず、時間がかかる事例が多くあります。

また、財産が基礎控除を超える場合は、相続発生から原則10ヶ月以内に相続税を計算し申告する必要があります。まずは財産の内容や額を調査し、預貯金、株式、不動産などの相続財産をまとめて一覧を作成し、基礎控除を上回る場合は相続税の申告と納付を行う法的義務があります。調査した結果、財産が基礎控除以下の場合、申告も必要ありませんが、基礎控除を超える財産を保有していて、要件を満たす特例や控除を利用することによって相続税が0円になる場合は申告は必要となりますので、注意しましょう。

相続が発生すると短い間に様々な手続きを行う状況となります。知識がなく、自分で申告をすることが難しい場合は、税務の専門家である税理士に申告を依頼するとよいでしょう。税理士に依頼することで報酬を支払う必要はありますが、自宅の土地の評価を下げることができる小規模宅地の特例などをうまく活用して節税になるケース多くあります。ただし、税理士資格を保有していても相続業務に慣れていない税理士もいます。知り合いに税理士がいない場合は各種サイトで相続業務を中心に扱っている税理士を検索してみるとよいでしょう。

書類の書き方や計算が誤っていると、税務署に指摘される可能性があります。税理士に依頼することで家族の負担を減らすことができます。