推定相続人と法定相続人の違いとは?

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推定相続人と法定相続人の違いとは?

遺産相続や付随する相続手続きは人生で何度も経験するものではありません。そのため、情報が不足し、言葉の意味や特例の概要等が分からないというケースも多いでしょう。

当記事では必ずおさえておきたい推定相続人と法定相続人の違いや注意点について解説していきます。

推定相続人とは

推定相続人とは現状のままその人が亡くなると法的に相続権を認められた相続人になる者のことです。例えば、結婚して子供が二人いる場合推定相続人は配偶者と子供二人になります。養子縁組をした養子も子として推定相続人となり、財産を承継する資格を有します。

しかし、場合によっては配偶者や子供が先に亡くなって孫が代襲相続人となっていたり、配偶者と離婚するケースや遺言書作成の強要や自分に不利な遺言を故意に破棄・隠匿・変造する行為、虐待や侮辱行為、殺害するなどの重大な非行があったことが理由となり、相続廃除・相続欠格などによって相続権を失ったりするケースもありますので、この先法定相続人ではなくなる可能性もあります。そのため、将来法定相続人になる予定の人を推定相続人と呼ぶのです。現状のまま亡くなった場合は推定相続人と同じ人が法定相続人となります。

推定相続人の確認方法

現時点で誰が推定相続人となるかを公的に証明する際には出生から現在までの戸籍謄本を確認する必要があります。戸籍謄本は本籍地の市町村役場の窓口で取得する必要がありますが、郵送や司法書士に依頼するなど現地に行かなくても取得する方法があります。

実際に相続が発生すると金融機関に名義変更や不動産の登記に被相続人の生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍が必要となります。原戸籍は変更することがありませんので、生前にある程度取得し、推定相続人の一覧を図にしておくことで相続手続きもスムーズに進めることができます。

相続人には順位があり、民法第887条~890条で定められています。配偶者は常に相続人に該当します。その次に子、父母などの直系尊属、兄弟姉妹の順に相続人となります。

推定相続人を確認しておくメリット

推定相続人を事前に調べ、確定しておくことでどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

相続税の基礎控除の計算ができる

相続税には基礎控除があり、3,000万円+法定相続人×600万円で計算をします。推定相続人を確認しておくことで、相続税の基礎控除を超えるかどうか確認しておくことができます。相続放棄をした人がいても、基礎控除の計算の人数には含めることは認められています。

財産の合計が基礎控除以下であれば相続税の申告の必要はありません。

財産の評価方法や申告書の書き方が分からない場合は税理士に相談するようにしましょう。

財産の配分を検討することができる

相続が発生した時に相続権のある推定相続人を確認しておくことで、相続開始前に遺産分割について相続が発生する前に検討することができます。対策として法律の規定に定められた通りに遺言を書いておくことで、協議を行う必要がありませんし、推定相続人以外の他の人に財産を遺すことも可能です。

遺言書では手続きを行う執行者を定めることで手続きも円滑に進めることができます。執行者も必ずしも推定相続人以外の人を指定することもできますので、費用はかかりますが司法書士や税理士など業務として執行を行ってくれる専門家に依頼すると安心して手続きを進めることができます。

ただし、極端の内容で遺言を作成した場合、トラブルとなる可能性もありますので注意が必要です。配偶者、子ども、親には遺留分がありますので、遺留分の範囲で遺産を請求された場合、対応する必要があるため遺言通りに配分することができないケースもあります。兄弟姉妹には遺留分がありませんので、子どもがいないケースで夫や妻に全額財産を遺す遺言の場合、遺留分が問題となることはありません。遺言書は何度でも撤回し、書き換えることが可能です。

また、自筆の遺言は、原則、遺言者が死亡したあとに家庭裁判所で検認の手続きを経る必要があります。公正証書遺言や法務局の保管制度を活用している場合は検認を受ける必要はありません。

手続をスムーズに進めることができる

相続発生後は短い期間で書類の作成など手続きを進める必要があるため、財産の調査や各種手続きで忙しくなります。戸籍を先に収集し、相続人関係と割合を明確にしておけば、すぐに名義変更等の手続きに着手しやすくなります。兄弟姉妹が相続人となるケースでは先に亡くなっていると甥・姪が代襲相続人になりますが、疎遠となっており、住所がわからないケースや連絡先を知らない人もいるかもしれません。相続が発生してからそれぞれの相続人を調べていると時間がかかります。

他にも預金がある金融機関の一覧を作っておくなど資産を把握できる資料の作成など生前にできることは先に行っておくことで、金融機関を調べる必要がなくなるため、忙しい中で家族の負担を軽減することができるます。生前に可能な範囲でこれらの準備を行っておくと良いでしょう。

税金の申告が必要な場合は税理士法人に依頼してシミュレーションを行っておくことで、節税の対策も事前に検討することができます。