相続税の配偶者控除とは?意外な注意点も解説!

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相続税の配偶者控除とは?意外な注意点も解説!

相続税には330㎡まで80%減額できる小規模宅地の特例などや財産の種類や相続する者によって税額を減額できるさまざまな特例があり、特例をうまく活用することで遺産相続の際の相続税の負担を軽減し、実際に納める金額を安くすることができます。

数ある特例の中でも税額を大きく軽減することができ、利用する人が多いのが配偶者控除です。当記事では配偶者控除の概要や要件、注意点について解説します。

配偶者控除とは

配偶者控除とは配偶者が相続人となる場合で、遺産分割で取得した金額が1億6,000万円以内または民法で定められている法定相続分までは相続税がかからない制度です。1億円を超える金額でも相続税が0円になりますので、効果の大きい特例と言えるでしょう。相続する財産は特定されていませんので、不動産や金銭、金などの現物資産等、どんな財産でも利用していただくことができます。

配偶者は被相続人と年齢が近く、すぐに次の相続が発生することや財産を築くことに大きな貢献をしたケースが多いという理由で、財産を承継する際にかなり大きな額の控除が用意されています。

法律上の婚姻関係が成立していることが条件ですので、実際に一緒に生活をしていたとしても内縁関係の事実婚の場合は特例の利用は認められません。

配偶者控除を利用する際の注意点

配偶者控除は税額が軽減できる大きなメリットもありますが、意外なデメリットもあります。そのため、しっかりと情報を収集しておく必要があります。次に配偶者控除を利用する際の注意点についてみていきましょう。

相続税が0円の場合でも申告が必要

被相続人の遺産の総額が基礎控除(計算式:3,000万円+法定相続人×600万円)を超える場合、配偶者控除を適用することで納税する金額が0円になる場合でも相続が発生した後、10ヶ月以内に必ず相続税の申告書と特例の申請書を税務署の窓口に提出する必要があります。税金が0円になることで、申告が不要と思っている人も多いですが、期限内に申告をしないと税務署から税務調査で指摘され、税金を請求される可能性がありますので注意しましょう。

なお、基礎控除以下であれば申告は必要ありません。

二次相続で相続税の負担が大きくなる可能性がある

夫婦のうち一人が亡くなった時が一次相続、遺された配偶者が亡くなる時の相続を二次相続といいます。一次相続で配偶者が財産を引き継ぐことで配偶者控除を使うことができますが、その後すぐに相続が発生すると二次相続とトータルで考えると結果的に税率も高くなり、一次相続と二次相続の合計金額が高くなるケースも多くあります。

夫婦2人とも財産が多く、相続財産を遺贈しなくても生活に困らない場合は配偶者は放棄し、先に子供など次の世代が多く財産を受ける配分とすることで、節税できる事例もあります。配偶者控除を最大限利用することに固執せずに、二次相続もふまえて分割の方法を検討し対策をするようにしましょう。

それぞれの配分については相続人全員で合意して決める必要がありますので、家族で話し合いをする必要があります。配分が問題で相続人間でトラブルが発生し、関係が悪化する例もあります。全員で合意するまで時間がかかることもありますし、原則、被相続人の死亡の翌日から10ヶ月という短い期間で申告と納付をする必要がありますので、早めから準備しましょう。

生前に準備する場合は、遺留分には配慮する必要がありますが、財産に応じて遺言を作成し、配分を定めておいたり、非課税の範囲で贈与したりするなど、別の対策を行っておくとよいでしょう。

判断に迷う場合は税理士に相談を

上記の通り、配偶者控除を利用する際は二次相続にも配慮して配分を決める必要があります。どれくらいの財産を配偶者が相続することが有利なのか、預貯金や有価証券、土地・建物、生命保険等、課税対象の財産を確定し、一覧の表にしてシミュレーションしてみないといくら相続税がかかるかわかりません。遺産分割の協議の前に税金の計算もしてから配分を決める方がよいでしょう。

国税庁のホームページなどで相続税の計算方法は記載されていますが、相続税の算出は簡単ではありません。知識がなく自分で財産の評価や適切な割合について計算など自分で申告を行うことができないなら、税務の専門家である税理士に相談するようにしましょう。初回の相談は無料で応じてくれるケースもあります。費用はかかりますが、申告の際も申告書や添付書類の作成のサポートを依頼することも可能です。今後税制改正がある可能性もありますので、税理士に依頼する際は相続税や贈与税の申告実績が豊富な税理士法人・税理士事務所に依頼すると安心して手続きを進めることができるでしょう。

相続税の申告は財産の評価や計算、戸籍の収集などさまざまな作業が必要です。また、不動産の登記や金融機関の名義変更など関連する手続きも数多くありますので、早めに作業を開始する必要があります。