依頼者・関係者
相談者は、広島市東区在住の60代の男性Aさん
母が死亡し相続が発生
相続人は、Aさん1人
相続財産の内訳
金融資産 3,000万円
不動産(自宅) 2,000万円
合 計 5,000万円
相談状況・内容
お母様が亡くなられ相続税申告の相談に来所されました。
相談内容は、自宅と不動産だけなので自分で申告が出来そうだけど何か注意する事はないかという事でした。
ご提案・解決方法
まず財産の概略から基礎控除額(注1)を超えているので相続税の申告は必要でした。
次に一般的に自分で申告が出来そうなケースについて説明しました。
(自分で申告が出来そうなケース)
① 相続人が少ない或いは遺産分割で揉める事がなさそう
他の相続人との調整が不要で遺産分割が整う為、相続税の申告が出来るから
② 遺産の総額が1億円以下
一般的に税務署に目を付けられにくいから
➂ 財産に土地が無い或いは少ない
土地の評価方法が難しかったり評価方法によって大きく金額が変わる場合があるから
④ 生前の預金の移動が少ない
名義預金(注2)や贈与の認定の問題が発生しないから
⑤ 相続税の特例を使わなくてもいい
各種特例を利用する場合にはその判断が難しいから
Aさんは、上記を概ね満たしていたので、自分でも申告出来るのではないかと、アドバイスをしました。
次に、自分で申告する場合のメリットとデメリットを説明しました。
最終的には、それを踏まえて判断してもらう事にしました。
(メリット)
① 税理士報酬が発生しない
税理士によって違いますが一般的な相場、遺産の0.5%~1%と言われています。
参考に弊所の料金表を参照して下さい
(デメリット)
① 時間がかかる
申告書の作成や税務署に何度も足を運んだりする為、一般的には時間がかかる。
② 計算間違いや書類の提出不備などがある
税務署は提出前に検算等はしてくれません!
提出後に間違いがあった場合には修正申告により追徴税額が発生します。
➂ 相続税が高くなる場合がある
土地の評価減や、各種特例の活用が上手く出来ず相続税が高くなる場合がある。
④ 税務調査リスク
一般的に税理士の署名のない申告書は、税務調査に入られやすいと言われています。
⑤ 二次相続やその他の税金の節税が出来ない
相続税は二次相続(注3)も含めたトータルの税金で考える必要があります。
また、相続した物件にアパ-トなどがあれば今後の所得税の申告が必要となり、税理士に頼めば相続税の事だけでなく、総合的なアドバイスを貰う事が出来ます。
結果
以上を説明した結果、Aさんは税務署に行って自分で申告に挑戦されましたが、結局、1ヶ月後に戻って来ました。
予想以上に書類が多い事とと土地の評価で躓いた様です。
最初から頼んでおけば良かったと言われました。
個人的には、預金とか保険のみの場合には自分で申告されてもいいと思いますが、それ以外の場合には税理士に任せるのが安心だと思います。
参考法令他
(注1)相続税の基礎控除額(相続税法第15条)
相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額から、3,000万円と600万円に当該被相続人の相続人の数を乗じて算出した金額との合計額を控除する。
(注2)名義預金
名義預金とは、預金口座の名義人と実際の預金者が異なる預金の事です。
例えば、親が、名義を子供にしているが実際の保管や管理を行っているのは親である様な預金です。
また、お金を移動させているのだから贈与だと主張する方もいますが、贈与を認めてもらう場合には、
下記の様な状況が必要です。
・大前提として、財産をあげる人と貰う人の双方が認識している事
・通帳や印鑑などの管理を口座名義人が行う
・贈与契約書の作成
・贈与税の申告、納税をする
(注3)二次相続
二次相続とは、最初の相続(一次相続)で配偶者と子どもが相続し、その後残された配偶者が亡くなった時に起こる2度目の相続のことをいいます。
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