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自宅不動産の相続税はいくらかかる?税理士が計算方法を解説!

2023年10月12日

基礎控除を超える財産を多く保有している人が死亡すると遺された家族は相続税法に基づいて計算を行い、納税する義務があります。親等が亡くなり、相続税の計算をする際に自宅の土地・建物などの相続財産について、評価や計算方法がわからないと疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。

当記事では相続税の課税の計算の仕組みや不動産を相続する時に活用できる特例について、ポイントをおさえて解説しますので確認してみてください。。

相続税の計算の仕組み

まず、相続税の計算の仕組みについて解説していきます。

相続税を計算する際は課税の対象となるすべての財産の総額から基礎控除を差し引いて計算し、その後、法定相続割合で取得したものと仮定し、法定相続分に対する税率で各人の相続税を計算し、相続税の総額を求めます。現金、預貯金、有価証券、不動産、金などの貴金属など、財産ごとにいくら相続税がかかるというわけではなく、全ての財産の合計を計算しなければ、自宅不動産に対していくら相続税がかかるか、個別に計算できるわけではありません。また、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産は控除する必要がありますので、借金の額なども正しく把握し、分割する必要があります。

そのため、まずは承継する財産の内容を把握することが重要です。被相続人の財産が分からないということも多くありますので、生前に財産の一覧を作っておけば、それを参考に、評価をしていけますので、相続人の負担を大きく軽減することができるでしょう。

相続税の計算をする際はすべての財産を一覧の表にまとめて、それぞれの財産額を評価していく必要があります。財産の数が多い場合は、計算に時間がかかりますので、早めに対応する必要があります。財産の合計が基礎控除を超えなければ、相続税の心配はありません。

基礎控除は以下の式で計算をします。

3,000万円+法定相続人×600万円

例えば、法定相続人が3人の場合、4,800万円、4人の場合は5,400万円となります。法定相続人の順位は民法で定められており、婚姻関係を結んでいる配偶者は常に相続人で、第一順位が直系卑属である子ども(子が亡くなっている場合は孫)、第二順位が直系尊属である父母(両親が亡くなっている場合は祖父母)、第三順位が兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥・姪)となります。法定相続人以外の人に財産を遺す場合は遺言書が必要となります。

まずは基礎控除の範囲内か計算して確認しておくとよいでしょう。また、基礎控除以外にも生命保険の保険金の非課税枠(法定相続人×500万円)も差し引くことが可能です。

相続税がかかる場合は被相続人が亡くなった翌日から10ヵ月以内に相続税の申告が必要となり、期限が短いため、早めに着手する必要があります。相続人の人数に応じて基礎控除も変わってきますので、相続人の順位も確認し、誰が相続人となるかも確認しておく必要があります。

相続税は法定相続割合のとおりに分けたものとして総額を計算し、実際に取得した財産に応じて按分します。法定相続割合通りに分けたときに一人あたりの取得した財産に応じて税率が決まります。1億円から2億円の間の場合の税率は40%、2億円から3億円の場合は45%、6億円を超えると最大税率の55%となります。

預金などで相続した相続人は受け取ったお金で払うことができますが、不動産などで受け取った場合は、現金を用意する必要があるので注意が必要です。

相続税の計算方法や目安がわかる早見表は国税庁のホームページにも掲載されていますが、生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人)や小規模宅地の特例、配偶者控除、障害者控除、未成年者控除、相次相続控除など、財産の種類や受け取る人によって各種特例などもあり、実際の計算方法は非常に複雑です。また、特例によって減額され税額が0円となって、税金がかからない場合も申告は必要となります。

不動産の評価方法

相続税の計算をするためには、各財産の課税価格を確認する必要があります。

次に自宅などの不動産の評価方法について解説します。家などの不動産は土地と建物で分けて評価額の計算を行います。

土地の評価

土地の評価は路線価方式と倍率方式の2つの制度に分かれています。市街地には路線価が付されており、路線価がある地域では路線価方式で計算を行います。路線価とは設定された道路ごとに1㎡あたりの金額で、路線価×面積で評価額を算出します。ただし、間口が狭い場合や奥行がある場合など、状況に応じて補正がかかる場合があります。補正がかかる場合の計算は非常に複雑ですので、税理士に相談するようにしましょう。

路線価は東京などの都心などに近くアクセスが良いエリアでは高く設定されており、路線価×面積で土地の評価を行うと概ね時価の8割程度となります。

倍率方式は路線価が付されていない土地の評価をする際の対応で用いる方法で、市街地とは異なり、固定資産税評価額に定められた倍率を乗じて土地の評価を行う仕組みとなっています。

路線価と倍率は毎年更新され、全国土地の評価を国税庁のホームページで簡単に確認することができます。

国税庁HP

自宅が戸建ての場合でも、マンションやアパートなどの場合も評価方法は同じです。所有している自宅がマンションの場合も部屋の広さに応じた土地の権利を保有していますので、保有している土地に対して路線価×面積で評価を行います。

また、自宅以外に駐車場や事業に利用している土地も評価方法は同じとなります。

建物の評価

建物・家屋の評価は固定資産税評価額を用いて行います。固定資産税評価額は1月1日時点の所有者に毎年固定資産税を支払うために送付されてくる、納税通知書を確認するか、市区町村の役所で名寄帳を取得すると確認することができます。

建物は新築から年数が経過するとその分価値も逓減していきます。

自宅不動産を相続する際の特例

自宅不動産を配偶者や、配偶者が亡くなっている場合、同居の子ども等が相続した場合など、条件を満たせば小規模宅地の特例の特定居住用宅地の特例を適用することができます。

小規模宅地の特例は最大330㎡を限度に評価額を80%と大きく減額することが可能です。小規模宅地の特例は自宅を遺産として引き継いだ際に、実際に配偶者が住み続ける場合などに生活に必要な不動産であるため、税金を優遇する制度です。メリットの非常に大きい制度ですので、条件を満たし適用できる場合は漏れなく利用するようにしましょう。

ただし、被相続人が有料老人ホームに入居しており、自宅を賃貸などに出していた場合は、適用できません。他人に貸して賃料を得ても結果的に、小規模宅地を利用した方が有利となるケースもあります。自宅に住まなくなって貸付する場合は注意しましょう。

自宅不動産を相続する際の注意点

自宅不動産を妻や子などが相続する際はどのような点に注意をすればよいのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

登記手続きが必要

不動産を相続した際は登記が必要となります。以前は義務ではありませんでしたが、法改正により2024年4月から相続登記が義務化され、登記を怠った場合は、罰金が課されますので、確実に登記手続きを完了させるようにしましょう。

登記をする際に価額に応じて、登録免許税を納付する必要があります。

共有は後々トラブルのもとになる可能性がある

遺産分割協議の際に相続財産の配分を平等にするために、自宅不動産を共有にするケースも一般的に多くあります。しかし、2人以上の共有で相続する場合は後々、売却するか否かで必ず全員で合意する必要があり、1人でも反対すると売却はできません。

意見が分かれることがありますので注意が必要です。相続発生後、方針が異なり、意見が食い違った場合、処分することができませんし、いずれ次の相続が発生した場合、さらに相続人が増えることとなり、話し合いができなくなる可能性があります。

遺言書を作成するなど、対応をすることで、関係を悪化させることなく円滑に相続をすることができます。遺言書は認知症等の診断をされると作成することが難しくなるため、早めに検討することをおすすめします。

相続税に関する検討は生前に

上記に相続税の流れについて解説しました。相続については個別性も高く、お葬式や各種手続きで忙しい中で進めることになるため、スムーズに手続きが進まないケースも少なくありません。

相続税について、相続が発生した後に対応を考える方も多いですが、できれば相続が発生する前に相続税をシミュレーションしておき、対策を検討しておくことをオススメします。

事前に把握しておくことで、毎年の生前贈与などの節税策をとることもできます。暦年贈与での非課税枠は年間110万円あります。110万円を超える場合は贈与を受けた者が贈与税の申告を行う必要があります。

相続時精算課税制度は相続税の対象とはなりますが、先に贈与をすることができる制度です。暦年贈与とは選択制となっていますので、どちらが有利か確認するようにしましょう。。

また、貸家など複数の不動産を保有している場合は、相続発生後に忙しい中、財産の調査や評価を調べる負担を大幅に軽減することが可能ですし、対策がたてやすくなります。そのため、現状を知ることは非常に重要です。

また、配偶者がすべての財産を引き継ぐことで、配偶者控除で税額控除することができますが、二次相続でかえって相続税が増えてしまうこともあります。事前にシミュレーションしておけば、適切な配分についても時間をかけて全体を見極めながら決めることができるでしょう。

配分を決める場合は遺言書を作成することをおすすめします。遺言書を準備しておくことで、分け方が明確になり、スムーズに相続手続きを進めることができます。

遺言は作成した後も内容を変更することができますので、現時点での気持ちを形にしておくことが大切です。

相続税のお悩みは税理士に相談を

課税対象の財産が一定の額を超えると財産を取得した者が相続開始から原則10ヶ月以内に税務署に申告書を提出し、相続税の申告が必要となります。親族で協力して、手続きを進めるようにしましょう。

今回は概要について解説しましたが、相続税の課税制度は非常に複雑で短い期間で正しい税金を納めるのは難しいものです。延滞をすると加算税が課され、余計な税金を払うことになります。

また、税制改正も頻繁にありますので、最新の情報を確認しておく必要があります。

相続税の計算や申告書の作成、特例の要件や適用可否についてお悩みがある場合や自分で書類の書き方が分からない場合や添付するための資料を作成することが難しい場合は、税務の専門家である税理士に相談するようにしましょう。万が一誤った申告をした場合、税務調査で指摘され、期限を過ぎた分を延納と同じような扱いとなり加算税を課される可能性もあります。

相続税は税制改正も多く、最新の情報を持つ税理士のアドバイスを受ける必要がありますので、相談する際は、相続税と相続税に関連が深い、贈与税の知識が豊富な税理士に相談することをおすすめします。知り合いや紹介してもらえる税理士がいない場合はホームページなどで実績のある税理士を検索してみてもよいでしょう。

申告を依頼した場合、費用がかかりますが、初回の相談はサービスで応じてくれるケースが多いので、財産の一覧を作成し、申告をする場合の見積もりを依頼して、確認してから正式に契約をするとよいでしょう。

税理士の報酬は財産額に応じて一定の割合をかけあわせて決められることが多く、財産額×1%の報酬をとる税理士の例では財産額が1億円の場合、100万円の報酬となります。誤って申告をして税務調査で指摘をされた場合、加算税を課される可能性があります。税理士に依頼することで、費用はかかりますが、確実に申告手続きを済ませることができ、安心です。まずは電話で疑問点について気軽に聞いてみてもよいでしょう。

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