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マンションの相続税評価額はどうなる?計算方法を解説!

2023年10月11日

相続財産の総額が基礎控除を超える財産額を保有する方が亡くなった場合、相続税がかかるため、相続税の申告と納税が必要となります。

基礎控除は3,000万円+法定相続人×600万円で計算します。例えば、法定相続人が3人であれば4,800万円が基礎控除です。遺産を全額あわせて基礎控除に満たない場合は相続税の申告は必要ありません。

被相続人の財産を基に相続税の計算と申告書を作成する際には、保有している課税対象となる資産の評価を行う必要があります。
マンションの一室を保有している場合、どのように評価をすれば良いのでしょうか。当記事では相続税の申告で失敗しないようにマンションの評価方法や課税制度、相続する際の注意点について、ポイントを抑えて解説しますので参考にしてみてください。

不動産の評価方法

区分所有のマンションの評価方法を解説する前に、不動産の評価の流れについて解説します。不動産には様々な種類のものがありますが、基本的に不動産の評価は土地と建物で分けて評価をおこないます。土地の評価は所在地が重要です。

路線価のある地域の土地は前面道路の路線価×面積で評価を行います。路線価は1㎡あたりの価格のことで、各道路に設定されており、都心などの中心に近いほど、相場を反映して価格は高くなる仕組みになっています。

路線価のない地域の場合、倍率方式で計算を行います。倍率方式とは固定資産税評価額に定められた倍率をかけて計算を行います。マンションの場合はマンションの敷地として評価を行います。

路線価時価の8割程度に設定されており、路線価や倍率表は国税庁のホームページに記載されていますので、証明書などを取り寄せなくても簡単に調べることができます。。

国税庁HP

一方の建物は固定資産税評価額で評価を行います。固定資産税評価額は固定資産税の納税のために送られてくる納税通知書を確認すると良いでしょう。固定資産税評価は時価の6〜7割です。

土地・建物共に売買する際の価格よりも相続税評価は安くなります。また、土地よりも建物の方が、時価との差額は大きくなります。マンションは建物の割合が大きいため、一戸建てよりも売却する際の時価との差額が大きくなる傾向があります。

小規模宅地の特例も利用可能

マンションの場合も配偶者や同居の子どもなどが取得する場合、最大330㎡まで80%減額できる、小規模宅地の特例を利用することができます。アクセスが良く、価値が高い自宅を保有している場合などは非常に効果も高くなります。例えば、1億円の土地でも特例を使うことで、2,000万円の評価となります。

ただし、マンションは一戸建てに比べて土地の持ち分が少ないため、その分評価の減額部分も小さくなります。それでも減額効果の大きい特例ですので、対象になる場合は漏れなく利用するようにしましょう。

小規模宅地の特例を利用することで、自宅を妻が相続する場合などは相続税が0になることもありますが、申告手続きは必要ですので注意しましょう。

賃貸に出してるマンションは評価減にできる

マンションを保有してる人の中には、自宅などで自己使用せずに、人に貸して賃料を得ているケースもあるでしょう。賃貸マンションの場合も土地と建物を分けて評価を行いますが、計算の方法が異なります。

賃貸に出してる場合の土地・建物の計算式は以下の通りです。いずれも、自分で使用している場合よりも評価は低くなります。

<土地の評価>
自用地評価×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

<建物の評価>
建物の固定資産税評価額×(1−借家権割合×賃貸割合)

実際の売買する際の価値よりも安く抑えることができますので、相続税対策として不動産を購入する人も多くいます。人に貸すことで、収入を得られるだけでなく、相続税の面でもメリットがあります。

資産価値が1億円を超えるようなマンションであれば、大きな相続税節税効果がありますので、不動産投資を行って資産として持っておくのもよいでしょう。

マンションを保有している場合の対策

マンションを保有している方は生前にどのような対策を行っておけばよいのでしょうか。次にマンションを保有している場合の具体的な対策を確認しておきましょう。

事前に相続税のシミュレーションをしておく

相続が発生する前に事前に財産の評価額を調査してまとめておき、どれくらいの相続税がかかりそうかを、早めに一覧の表にして計算しておくことが重要です。遺産の額によって税率が変わりますので、相続税を計算するためには資産の全体を把握する必要があります。現金、預貯金、株式、不動産などあらゆる資産をまとめておきましょう。特に不動産を数多く保有している場合は預貯金などに比べて時間がかかりますので、早めに着手しておく必要があります。

また、配偶者控除など特例や税金を減額できる制度を利用していくらぐらい節税になるかもあわせて確認しておくようにしましょう。

事前に把握しておくことで、対策が必要か判断することができます。

法定相続人×500万円の生命保険の非課税枠や毎年の贈与税の基礎控除を使って生前贈与を行うなど、なるべく税金がかからないための効果的な対策を準備することが可能です。事前に対策をしておけば、相続人の負担も少なくなるでしょう。

空き家となっている場合は賃貸に出しておく

既にご説明した通り、マンションは住宅として人に貸しておくことで相続税評価を低くすることができます。マンションは固定資産税や管理費、修繕積立金など支払う費用も多くあります。

所得税の確定申告をする必要があるなど、手間もかかりますが、居住用以外のマンションを保有していて現在空室になっている場合は、そのままにしておくよりは賃貸に出して活用することで収益を得ておいた方がよいでしょう。

誰が相続するかを決めておく

マンションを保有している場合、誰が相続するか遺産分割の際にもめないように事前に受ける人を決めておくことをおすすめします。相続発生後の管理や処分のことを考えると複数で共有で所有権を相続することは避けた方がよいでしょう。一旦は平等に相続できますが、売却する際に、所有者全員で合意する必要があります。

所有者が2人以上になるとそれぞれの意見が相続後に、処分して資金化するか保有するかで食い違い、トラブルになる例も多くあります。

しかし、誰か一人の名義にするために単独で相続させると、相続人間で差がでることも多いでしょう。

特にアクセスのよいエリアの物件は高値で売買されますので、協議の際にどうしても法定相続分を渡すことができず、大きく差が出てしまい、不公平によるトラブルが生じる可能性があります。

誰が相続するかを決めて遺言書を作成することで、相続発生後に遺産分割協議をする必要がありません。遺言があることで遺された家族はスムーズに手続きを進めることができますので安心です。

購入時の資料を保管しておく

不動産は売却時に購入した際の金額や費用などの取得費を差し引いて譲渡所得を算出します。購入時の資料がなく、購入代金がわからなければ、売却代金の5%しか取得費として認められませんので、譲渡所得税の負担が大きくなってしまいます。

相続税の相談は税理士に相談を

今回はマンションの評価について解説しました。

しかし、相続税には特例の条件など複雑な部分も多く、遺産相続の中には、法務局での不動産の登記や各金融機関の名義変更の手続きもある中で、知識がない相続人が亡くなってから10ヶ月という短い期限内に税務署に申告書を提出するまでの対応を行うのは難しいものです。

相続開始後10ヵ月以内に相続税の申告が難しい場合は、専門家である税理士に相談して誤りがないように申告を行いましょう。もし誤りがあったり、期限を超えてしまったりすると税務署に指摘され、加算税を納付することになるケースもあります。

初回の相談は無料で応じる税理士が多いですが、実際に申告を依頼する場合は費用がかかります。費用はかかりますが、税理士に依頼することで、特例をしっかりと適用できるため、控除が効く部分については、節税になり実際に税額が低くなることもあります。有効な節税対策を確実に実行するうえでも、税理士は力強い味方となるでしょう。

相続手続きや登記の手続きに不安がある場合は税理士や司法書士に相談するとよいでしょう。普段から相続関連の手続きを業務として行っており、経験豊富な税理士や司法書士に依頼することをおすすめします。

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