お役立ちコラム一覧

相続税対策で養子をとるのは効果がある?

2023年10月07日

財産が多く、相続税の負担が多い方は、生前贈与などであらゆる方法で相続税を下げるための対策をとっています。対策の一つとして養子をとると良いという情報を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。実際に税理士等の案内で養子を活用する人は多くいます。

当記事では、相続対策として養子の制度を利用することのメリットや注意点について解説していきます。

養子とは

まず、養子制度の概要について解説します。

養子とは実の子ではない人を、法律上の子供にするために、家庭裁判所に理由などを記載した書類を添付して申請して縁組することです。養子には特別養子縁組と普通養子縁組と二つの制度があります。

どちらも養親と親子関係となることには違いありませんが、両者の大きな違いは実親との親子関係に継続です。特別養子縁組の場合は実の父母との親子関係は消滅しますが、普通養子縁組の場合は実の父母との親子関係は消滅しません。

法律上の子供は相続の第一順位となりますので、養子になったら、必ず法定相続人になります。

相続税対策で養子をとるケースは孫や子供の配偶者、兄弟姉妹などを養子に入れるケースが多いです。家庭裁判所に申請しても、否認されるケースもありますので、確実に養子にできるわけではありません。

養子をとるメリット

養子をとることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。次に相続税の観点でのメリットを見ていきましょう。

基礎控除が増える

基礎控除は被相続人が死亡した時点での法定相続人の人数によって変動します。計算式は以下の通りです。

3,000万円+法定相続人×600万円

法定相続人が1人増えると基礎控除の額が600万円増加しますので、相続税の節税につながります。

生命保険・死亡退職金の非課税枠が増える

生命保険の死亡保険金・死亡退職金の非課税枠はそれぞれ法定相続人×500万円で計算します。養子をとることで、基礎控除と同じく生命保険の非課税枠も一人分加算されることになりますので、生命保険を契約することで効果が大きくなります。

各人の税率が下がる

相続税の計算は課税対象の資産を法定相続割合通りに分けたものとして総額を計算し、実際に取得した配分で按分する方式になっています。税率は一人一人が受け取った金額に応じて計算されますので、相続人が増えるとその分財産が分散されますので、税率が下がります。

養子をとる際の注意点

養子をとる際にはどのような点に注意をすればよいのでしょうか。デメリットや注意するべき例について具体的に説明します。

配分で揉めるケースがある

養子をとることで、本来相続人ではない、子の配偶者や孫が法定相続人となり遺産を相続する相続権を有します。本来の相続人ではない者が相続人と法定相続分を相続することで、結果として、養子が原因で遺産分割の話し合いを行う際に配分でトラブルになることがあります。相続税対策として基礎控除を増やす目的で養子をとる場合は注意が必要です。

養子をとる際はあわせて遺言書を作成するとよいでしょう。遺言書を作成する場合は、預貯金、株式、不動産(土地・建物)、金など、保有している財産の一覧とその評価額を記載した表を作成し、何を誰に遺贈するか明確に記載しておくようにしましょう。

また、配分については必要に応じて夫婦などでよく相談して決めるようにしましょう。

2割加算となるケースがある

代襲相続人となっていない孫が養子となり、財産を取得するケースでは本来の相続税から2割加算の対象となり、税金を課されることになります。基礎控除や生命保険の非課税枠の利用で、相続税を減少させても、2割加算の分は、税額が増えることになりますので、どれくらいの税額となるか、養子に入れない場合と比較して確認しておきましょう。。

基礎控除や生命保険の非課税枠の加算には人数に制限がある

民法と相続税法上は養子の扱いが異なります。

民法上は何人でも養子をとることができますが、民法と同様に相続税法上も、人数の制限がないわけではなく、基礎控除や生命保険の非課税枠に加算する数には制限があります。加算できるのは実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までです。

それ以上養子にいれても、相続税法上は法定相続人を何人でも増やすことは認められておらず、一定数以上養子を増やしても課税される金額は変わりませんので、注意しましょう。

相続税の相談は税理士に相談を

基礎控除を超える相続財産を保有する人が亡くなった場合、忙しい中で10ヵ月以内に相続税の申告書を税務署に提出する必要があります。平日は仕事で金融機関や役所の対応が期限内になかなか進まないという方もおおいでしょう。

相続税の制度や計算方法は非常に複雑です。一般の方が知識や経験がないのは当然ですので、申告書の作成方法や計算方法がわからない場合は税理士に相談するようにしましょう。誤った申告をした際は税務調査で指摘され、加算税を課されるケースもあります。専門家である税理士に依頼することで、確実に特例なども活用して申告をすることができて安心です。

ただし、税理士にも法人税を専門にしている人もいますので、税理士に相談するなら、普段から業務として行っており、相続税や相続税に関連が強い贈与税に詳しい税理士に相談することをおすすめします。初回の相談は無料で応じてくれるケースが多いですが、実際に申告を依頼する場合は費用がかかるので、見積もりをもらってから正式に依頼しましょう。

広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
税理士選びにお困りなら、まずは無料相談でお気軽にご相談ください!

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい