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遺産分割協議のやり直しで贈与税はかかる?課税ケースや注意点を解説

2026年10月23日

遺産分割協議が成立した後に、財産の分け方を変更する必要が生じるケースもあります。
しかし、遺産分割協議をやり直すと、贈与税が発生することもあるため注意が必要です。
相続人全員が合意すれば協議のやり直しは可能ですが、税務上は新たな贈与として扱われる場合があるので、注意が必要です。
一方、当初の協議が無効となる場合など、贈与税が課税されないケースもあります。
この記事では、遺産分割協議のやり直しで贈与税が発生する理由や具体的な事例、手続きの流れ、注意点について解説します。

遺産分割協議のやり直しは可能?

遺産分割協議は、相続人全員の合意があれば、原則としてやり直しが可能です。
ただし、協議が成立した後のやり直しには、税金や登記などの問題が生じる場合があります。

相続人全員の合意があればやり直せる

遺産分割協議とは、亡くなった被相続人の財産を相続人の間でどのように分けるか決める話し合いです。
また、民法上では相続人全員が合意すれば一度成立した遺産分割協議を解除し、新たに協議を行うことができます。
例えば、当初は長男が土地を取得することで合意したものの、その後、次男が取得する内容に変更したい場合などです。
ただし、一部の相続人だけで決めることはできません。
再度、相続人全員で話し合い、合意を得る必要があります。

当初の協議が無効・取消しとなる場合もある

遺産分割協議のやり直しには、当初の協議に法律上の問題があるケースも含まれます。
例えば、相続人の一部が参加していなかった場合や、詐欺・強迫によって合意した場合などです。
また、重要な事項について錯誤があった場合も、一定の要件を満たせば取消しが認められる場合があります。
こうしたケースでは、当初の協議が有効に成立していた場合とは、財産の取得や課税の扱いが異なります。

遺産分割協議のやり直しで贈与税が発生する理由

一度有効に成立した遺産分割協議をやり直すと、財産の移転が新たな贈与と判断される場合があります。
ここでは、遺産分割協議のやり直しで贈与税が発生する理由を紹介します。

財産の再分配が贈与とみなされるため

当初の遺産分割協議が成立すると、それぞれの相続人が取得する財産が確定します。
その後、相続人全員の合意によって財産を再分配しても、税務上は単なる相続のやり直しとは認められないことがあります。
例えば、当初の協議で長男が取得した預貯金を、後から次男へ無償で渡す場合です。
この場合、長男から次男への贈与と判断され、次男に贈与税が課税されるケースがあります。
このように、当初の相続税に加えて贈与税が発生することもあるため、慎重な判断が必要です。

贈与税以外の税金が発生する場合もある

財産を再分配する際は、贈与税だけでなく、所得税などが問題になる場合もあります。
例えば、相続人同士で不動産を交換したり、対価を受け取って譲渡したりするケースです。
財産の移転方法によっては、譲渡所得税が発生する可能性があります。
また、不動産の名義変更に伴う登録免許税や、不動産取得税が問題になることもあります。
税金の種類は取引の内容によって異なるため、事前に税理士などの専門家へ相談しましょう。

遺産分割協議をやり直しても贈与税が発生しないケース

遺産分割協議をやり直した場合でも、必ず贈与税が課税されるわけではありません。
当初の協議が無効・取消しとなる場合などは、税務上の扱いが異なります。

当初の遺産分割協議が無効だった場合

当初の遺産分割協議が法律上無効であれば、その協議によって財産の帰属が確定したとは扱われません。
例えば、相続人の一人を除いて協議を成立させていた場合などです。
このようなケースでは、相続人全員で改めて有効な遺産分割協議を行う必要があります。
新たな協議によって取得した財産は、原則として相続による取得となるため、贈与税の課税対象にはなりません。
ただし、当初の協議が本当に無効だったかどうかは、具体的な事情に基づいて判断されます。

詐欺や錯誤などによって協議が取り消された場合

詐欺や強迫、重要な錯誤などを理由に遺産分割協議が適法に取り消された場合も、贈与税が発生しない可能性があります。
例えば、相続財産について重要な事実を偽って合意させた場合などが考えられます。
ただし、単に財産の評価を間違えた、後から不公平だと感じたという理由だけで、必ず取消しが認められるわけではありません。
取消しには民法上の要件や期間の制限があるため、弁護士などに確認することが大切です。

遺産分割協議のやり直しで贈与税が課税される具体的な事例

ここでは、贈与税が発生する可能性のある代表的な事例を紹介します。
当てはまる可能性があるかどうかチェックしてみましょう。

相続した不動産を別の相続人へ移すケース

父親の相続で長男が土地を取得した後、相続人全員で話し合い、次男が取得することに変更したとします。
当初の遺産分割協議が有効に成立していた場合、長男から次男への土地の移転は、贈与と判断される可能性があります。
不動産は評価額が高額になることも多く、贈与税の負担が大きくなるケースもあるため、注意が必要です。

また、登記の変更に伴う費用や税金も考慮する必要があります。

相続財産を再分配するケース

当初の協議で一人の相続人が取得した預貯金や有価証券を、後からほかの相続人へ分け直すケースです。
例えば、長男が取得した現金の一部を次男へ無償で渡す場合、贈与税が発生する可能性があります。
なお、暦年課税では、原則として1年間に贈与を受けた財産の合計額が基礎控除額の110万円を超えると、贈与税の申告・納税が必要になります。
贈与税が発生するかどうかは、移転した財産の金額や取得方法などによって判断されるので、不安がある場合は税理士などの専門家に相談しましょう。

遺産分割協議をやり直す手続きの流れ

遺産分割協議をやり直す際は、相続人全員の意思を確認し、必要な書類や税務手続きを進めます。

1.相続人全員で再度協議する

まず、当初の協議内容を確認し、なぜやり直しが必要なのかを整理します。
そのうえで、相続人全員が参加して再度話し合い、財産の分け方について合意を得ます。
相続人の一部が反対している場合は、合意によるやり直しを進めることはできません。

2.新たな遺産分割協議書を作成する

再協議が成立したら、新しい遺産分割協議書を作成します。
協議書には、対象となる財産や取得する相続人、変更後の分割内容などを明確に記載しましょう。
当初の協議を合意解除した場合は、その経緯も書面で残しておくと、後のトラブル防止に役立ちます。

3.登記や税務申告などの手続きを行う

不動産の取得者が変わる場合は、法務局で必要な登記手続きを行います。
また、財産の移転が贈与と判断される場合は、贈与税の申告が必要になることがあります。
当初の協議が無効・取消しとなった場合には、相続税の修正申告や更正の請求が必要になるケースもあります。
手続きや必要書類は事情によって異なるため、税理士や司法書士に確認しましょう。

遺産分割協議をやり直す際の注意点

遺産分割協議のやり直しでは、税金以外にも注意すべき点があります。

相続税の申告期限や税務調査に注意する

相続税の申告期限は、原則として被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内です。
遺産分割協議をやり直しても、この期限が自動的に延長されるわけではありません。
また、税務調査で財産の移転経緯を確認される可能性もあります。
当初の協議書や変更理由がわかる資料などは、適切に保管しておきましょう。

相続人同士のトラブルを防ぐ

遺産分割協議のやり直しは、相続人同士の新たなトラブルにつながる可能性があります。
一度合意した内容を変更するため、財産の評価や取得割合を巡って意見が対立することもあるでしょう。
また、すでに財産を売却している場合などは、元の状態に戻すことが難しくなります。
協議を進める際は、全員が内容を理解し、納得したうえで合意することが重要です。

税理士や弁護士などの専門家へ相談する

遺産分割協議のやり直しでは、民法上の有効性と税務上の課税関係を分けて考える必要があります。
贈与税や相続税については税理士、協議の無効・取消しや相続人間の紛争については弁護士、不動産登記については司法書士への相談が考えられます。
相談窓口や初回無料相談を利用できる事務所もあるため、手続きに着手する前に確認してみましょう。

まとめ

遺産分割協議は、相続人全員の合意があればやり直すことが可能です。
ただし、当初の協議が有効に成立していた場合、財産の再分配は贈与と判断され、贈与税が課税される可能性があります。

一方、当初の協議が無効・取消しとなる場合は、原則として贈与税の扱いが異なります。
不動産の登記費用や相続税の申告なども関係するため、やり直しを検討する際は、税理士や弁護士などの専門家に相談しましょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい