相続発生後、税務署から「相続税のついてのお尋ね」という書類が亡くなった方の家族に届くことがあることをご存じでしょうか。今回の記事では「相続税についてのお尋ね」が届く可能性や届いた場合の対応方法、税務調査について解説していきます。
「相続税についてのお尋ね」とは
「相続税についてのお尋ね」は相続発生後に税務署から送られてくる書類で、相続発生から相続税の申告期限前の6~8か月経過した頃に送付されてくることもあれば、申告期限後に送付されてくることもあります。
「相続税についてのお尋ね」はすべての人に届くわけではありませんし、明確に対象が決まっているわけでもありません。市区町村に死亡届を提出すると、法律で税務署に通知されることが義務付けられており、税務署は過去の相続税や所得税の納税額をチェックし、相続税の申告が必要である可能性が高いと思われる方を中心に「相続税についてのお尋ね」を送付しています。
「相続税についてのお尋ね」には相続税の申告要否を回答する形式になっており、財産額の合計が基礎控除以下で申告が必要ないことが確認できた場合はその旨、記入し、回答しましょう。基礎控除を超える場合は、申告が必要である旨回答し、その後申告をするか、相続税の申告をしっかりと行えば、「相続税についてのお尋ね」を回答する必要はありません。
申告後に税務調査が入る可能性がある
相続税の申告後に税務署から税務調査が入る可能性があります。税務調査は税務署の調査官が電話で聞き取り調査が行ったり、直接、自宅への訪問で資産の調査が行われたりすることもあります。
税務署は過去の相続税や所得税のデータを把握していますので、あまりにも相続税の納税額が少なくなっている場合、所得隠しなどの不正を疑って調査を行います。
申告漏れや申告の方法に問題があり指摘を受けた場合、本来の税金だけでなく、加算税というペナルティを課されます。申告を怠った場合は、無申告加算税。申告時のミスだけでなく、現金でタンスに入れて置くなど財産隠しが悪質な場合は重加算税という本来よりもかなり多くの金額を納税することになります。結果として税額が大きくなるだけでなく修正申告の手間もかかりますので、指摘は避けたいものです。
IT化により税務署のシステムを利用することで、的を絞った調査ができるようになっており、調査される確率が高くなっています。
名義借りや申告をしていない贈与などの不正も紙を1枚1枚見て調査をする必要がないため、以前と比較して容易に発見できるようになっています。相続税の納税は国民の義務です。所得や過去の相続税から怪しいと睨まれ、調査対象となってしまった場合、税務署は徹底的に調べ、預貯金などの異動などから不正を探すことで所得隠しは発覚する可能性が本当に高いです。安易に納付を怠るようなことがないようにしましょう。税務署は権限があり、金融機関で口座の異動などを確認することもできます。簡単に隠しきれるものではないことは理解しておきましょう。
また、突然亡くなった場合でも税務署から指摘を受けることがないように、財産の評価や申告書の作成方法など税理士のサポートを受けて正しい申告をすることをおすすめします。
相続発生前にできる対策
相続税の申告は、慣れない書類や添付する資料を複数作成し、税務署に提出する必要があり相続人にとって思った以上に大きな負担がかかります。相続発生後10カ月以内という期限を守ることができなければ延滞税を支払うことにもなります。相続発生前に何ができるのでしょうか。生前にできる有効な対策を紹介します。
財産の一覧を作成しておく
相続発生後に相続人の多くが困ることが、被相続人の財産がなかなか把握できないということです。取引の金融機関や支店名、財産の内容がわからないと、財産の調査や評価額の確認に時間がかかってしまいます。
対処する方法としては、土地や建物などの不動産、預金などの金融資産、生命保険などさまざまな財産の種類や内容、作成時点での評価額をまとめて一覧の表にしておくとよいでしょう。調査を事前に行って一覧にしておくことで、作成時点で相続税が課税される額を計算をしておくことができますし、遺産分割協議をする際にも便利です。どこの金融機関と取引しているかを把握しておくことで、銀行の手続きもスムーズにすすみ、早期に資金化することも可能できるため、遺された家族も安心です。一覧の作成後に不動産を売却した場合など、相続発生前に財産が大きく変動した場合、一覧を更新するようにしましょう。
被相続人に収入があった場合、相続発生後4ヶ月以内に準確定申告を行う必要がありますが、財産を確認することで不動産の賃料収入など、収入があることも把握しやすくなります。
また、財産を一覧にしておくことで節税の対策を検討しやすくなります。不動産の購入など資産の組み替えを検討するためにまずは財産を俯瞰してみることで有効な対策を検討することが可能です。
遺言を作成し、分け方を明確にしておく
遺産分割協議に時間がかかることもありますので、遺言を作成し、財産配分の割合を明確にしておくことも有効な対策の一つです。財産の分け方を明確にしておくことで、遺産分割協議の時間を短縮することが可能です。相続発生後に相続人間で話し合うよりも自分の財産をどのように分けるべきか判断しておくことが重要です。
特に相続人間で争いが起こりそうなケースや事業を行っており、特定の相続人に資産を遺したい場合は遺言を作成する必要があります。
遺言の作成方法については、税理士、司法書士、弁護士などの専門家に相談するか、紹介してもらうことが難しい場合は市区町村の無料の相談会などを活用してもよいでしょう。
相続税の申告に困った場合は税理士に相談を
相続税の制度は複雑です。一般の方で相続を何度も経験することはありませんので、仕事上の理由などがなければ、実際に相続税に関する知識がない方がほとんどでしょう。また、相続はいつ発生するかもわからないため、きちんと準備することは難しいものです。
相続税の申告に不安がある場合は税務の専門家である税理士に相談をしましょう。相続税の相談は相続税を専門にしている税理士や税理士法人に相談することをおすすめします。税理士の中には法人税を中心に活動しており、相続税の申告は行わない税理士もいます。相続税は税制改正も多く、直近で申告の実績があり、最新の情報を持つ税理士に依頼をすることも重要です。
費用はかかりますが、相続税に強い税理士に依頼することで、特例を適用する際の注意点や評価額を間違い追徴課税をされるリスクを抑えることができます。相続税は調査も厳しいのでしっかりと準備する必要があります。
広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
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