お役立ちコラム一覧

相続発生時の戸籍謄本の収集方法とは?

2025年06月01日

相続が発生するとさまざまな手続きを行うために戸籍を取得する必要があります。

遺産相続の手続きにはなぜ戸籍謄本が必要となるのでしょうか。当記事では戸籍が必要となる理由や取得方法について解説します。

戸籍謄本が必要な理由

戸籍謄本は法定相続人を確定させるために必要となります。法定相続人は民法で順位が定められており、配偶者は常に相続人、第一順位が子どもなどの直系卑属、第二順位が親等の直系尊属、第三順位が兄弟姉妹となります。それぞれの相続人が亡くなっている場合は、代襲相続が発生します。子が亡くなっている場合は孫、親が亡くなっている場合は祖父母、兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥・姪が相続人となります。

法律上の関係は戸籍に記載されている事項によって実際に法律上の夫婦や親子であり、相続する権利があることを確認することができます。出生から死亡するまでの戸籍を取得することで、被相続人の親族関係をすべて証明することが可能です。子どもがいない場合は兄弟姉妹が誰であるかも戸籍で証明する必要があるため、被相続人だけでなく親の出生から亡くなるまでの戸籍を揃えることになります。兄弟姉妹が相続人となる場合は父親が婚姻している女性以外との間で認知している子どもの存在等も確認が必要となるため、必要な戸籍の数が多くなります。

通常は相続手続きをする際は金融機関の口座の名義変更や自宅不動産の登記の手続きを法務局で行う際に戸籍を提出する必要があります。

遺産分割をする際には、遺言書がないケースでは遺産分割協議書を作成し、相続人全員で署名・押印を行いますが、戸籍によって誰が相続人かを示すことになります。預金を預けている銀行の口座や株式の取引をしている証券会社などの金融機関や法務局は、相続人関係を調べることができませんので、後で他の相続人が現れて、問題とならないように相続放棄をした人を除き、相続人全員が合意のうえ遺産分割協議書が作られているかを先に戸籍で必ず確認するようにしているのです。

また、財産の分け方をあらかじめ決めておくために公正証書遺言を作成する際も戸籍謄本を取り寄せる必要があります。自筆の遺言を作成する際も、改正原戸籍など、今後変わることがないものについては、あらかじめ取得しておくことで漏れを防ぐことができるでしょう。

戸籍謄本には住所が記載されていませんので、相続人の戸籍の附票や住民票が必要となる場合がありますのであわせて交付してもらっておくとよいでしょう。また、よく似た言葉に戸籍抄本がありますが、抄本は戸籍に記載されているうちの1人分しか記載されていませんので、相続手続きをする場合は謄本を取得する必要があります。

戸籍謄本の取得方法

戸籍謄本を集める際は本籍地の市区町村役場の窓口で請求する必要があります。戸籍の費用は現在戸籍は1通につき手数料として450円、除籍や改製原戸籍については750円がかかります。

少し前までは本籍地が遠方の場合は定額小為替を購入し、返信用の封筒を入れて本籍がある役所に直接郵送で取り寄せる必要がありましたが、最近は最寄りの市区町村役場で、取得することが可能です。

戸籍は結婚や離婚、改製、転籍などの本籍地の変更、養子縁組などによって作り変えられるため、出生から亡くなって最後に除籍されるまでの戸籍をすべて取得する必要があります。

現在の戸籍の形になる前の戸籍を改製原戸籍といいます。改正原戸籍はコンピューター化する前の古い戸籍で手書きで作られているうえ、非常に読みづらい内容となっています。

法定相続情報証明制度

転籍を繰り返している場合など、出生から亡くなるまでの戸籍をすべて集めると何通も取得する必要があるため、非常に分厚い書類となってしまうことがあります。このように戸籍が多いケースで、便利なのが法定相続情報証明制度です。

法定相続情報証明制度とは戸籍謄本を一式提出することで、相続人関係を一覧にした図を作成してもらえる制度です。法務局で発行してもらった書面を利用することで名義変更のために金融機関や法務局に提出する書類が一枚になりますので、その後の手続きが進めやすくなります。制度を有効に使用して、手続きを進めるとよいでしょう。

戸籍謄本の収集を専門家に依頼することも可能

相続が発生すると忙しい中で戸籍を集める以外にも、遺された家族は各種手続きを行う必要があります。仕事などで時間を取ることが難しいなら費用はかかりますが、司法書士など専門家に依頼して、代わりに収集を依頼することも可能です。業務として行っている専門家に依頼することで、手間がかかることを確実に進められるというメリットがあります。

また、預貯金や土地建物などの財産が基礎控除を超えており相続税の申告が必要な場合は、財産を取得した者が相続発生の翌日から10ヶ月以内と短い期間で申告を完了させる必要があります。相続税の申告が必要な例では制度に沿って相続税の計算と申告書を作成する必要があります。

自分で手続きを進めることが難しい場合は、税理士事務所に事務手続きを依頼することで、安心して進めることができます。

広島相続税相談テラスでは、皆様のお悩みを解決し、相続手続きのサポートを行っています。初回の相談はサービスで無料で対応しておりますので、お電話やメール等でお気軽にご連絡ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい