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遺産相続の際に現金を隠すとどうなる?

2025年06月07日

相続が発生すると、相続人全員で遺産分割の協議を行い、財産を受けるために金融機関に預けている預貯金や株式等の有価証券の名義変更や不動産の登記などさまざまな手続きを行います。

相続財産が多く基礎控除を超えている場合は相続税の申告を行う義務があります。しかし、自宅に多額の現金を置いている場合など、申告せずに隠してしまえばバレないだろうと考える方も多いのではないでしょうか。

当記事では現金を隠した場合の税務署の調査方法やペナルティに解説します。

税務署の調査方法

遺産の評価額の総額が基礎控除以下であれば相続税の申告は必要ありません。基礎控除は3,000万円+法定相続人×600万円で計算を行いますが、基礎控除を超える場合、相続税の申告が必要です。

近年は、税務署もシステム化されており、税務調査の精度があがっています。税務署は個人毎に所得税や固定資産税、過去に支払った相続税などの情報を一覧で確認することができ、従来よりも手間をかけずに効率的にしっかりと調べることができます。

被相続人が過去に支払った税金の額が大きい場合は、財産を多く保有している可能性が高いと考え、財産が費消されている理由などを調査するなど対応を行います。

過去に支払った税金が多いにも関わらず、申告期限である被相続人の死亡から原則10ヶ月以内に申告がない場合や、納税額が明らかに少ない場合は調査を行う可能性があります。

具体的な調査方法は銀行の通帳に記載される入出金記録や生前贈与の有無を確認したり、タンス預金が疑われる場合は自宅の調査も行ったりします。そのため、相続発生の直前や相続が発生した時に、配偶者や子どもなど家族が本人が亡くなっているにも関わらずATMで口座から預金の引き出しを行っても、調査で発覚するケースが多いです。

申告漏れがあった場合のペナルティ

相続税の申告漏れが生じた場合は、特例を活用できなくなるだけでなく追徴の税金が課されるなど法的なペナルティが課される状況になるため注意が必要です。どのようなペナルティがあるか確認しておきましょう。

過少申告加算税

過少申告加算税とは財産を過少に申告をした者に対して課される加算税です。過少申告が疑われる場合は税務署から調査通知が行われます。調査通知が送付されてから実際に調査が行われるまでの間に申告した場合は5%、調査後に修正申告を行った場合は10%の加算税が課されます。

無申告加算税

無申告加算税とは財産を過少に申告をした際に課される加算税です。財産が基礎控除を超えているにも関わらず、無申告が疑われる場合は税務署から調査通知が行われます。調査通知が送付されてから実際に調査が行われるまでの間に申告した場合は10%、調査後に指摘を受けて修正申告を行った場合は15%の加算税が課されます。

重加算税

重加算税とは書類の改ざんや財産の隠蔽などにより、財産を意図的に隠し、申告を怠った場合に課される税金です。

過少申告の場合は最大35%、無申告の場合は最大40%と重い加算税が課されます。また、特に悪質なケースでは納税する金額が増えるだけでなく刑事罰の対象となる事例もあります。

現金を隠した場合の問題点

課税対象となる現金を隠した場合、税務署に指摘される以外にも問題が発生する可能性があります。どのような問題が発生する可能性があるか確認しておきましょう。

相続放棄ができない

相続放棄とはすべての財産を放棄することで、一部のみ財産を引き継ぐことはできません。家にある現金を取得した場合や受け取った資金の処分行為を行った場合は単純承認したものとみなされて法定相続分を基準として財産を相続することになります。

故人が高額の借金を抱えている事例でも単純承認を行うと相続放棄をすることはできなくなります。

他の相続人とトラブルになることがある

現金を隠すことで他の相続人にも説明しないと結果的に財産を多く取得したことになると、他の相続人と配分を巡って大きなトラブルに発展することがあります。

相続税上のペナルティだけでなく、相続人同士のもめ事に発展するリスクがありますので、注意が必要です。

相続手続きにお困りの場合は専門家に相談を

相続に関するトラブルや申告書の作成、相続税評価額の確認など相続手続きに関してお困りのことがある場合は弁護士や司法書士、税理士など相続に関連する専門家に相談し、解決に向けてサポートを依頼することをおすすめします。特に相続税の申告は税金の計算や特例の利用可否の判断、親族が書類の作成などに慣れておらず、知識がない場合は自分で行うことは簡単なものではありません。専門家に依頼することで、費用はかかるというデメリットはありますが、スムーズに安心して手続きできるメリットは大きいでしょう。

また、遺言書の作成や相続税額のシミュレーションなどあらかじめ検討して準備をしておく場合も事前に専門家に相談することで、適切な対策を時間をかけて考えることができます。相続が発生した後で対応を行うよりも、遺言を作成するなど生前に準備を行っておいた方が、節税もできますし、子供など相続人の負担は大きく減らすことができます。

広島相続税相談テラスでは、初回の相談はサービスで無料で対応しております。お悩みに応じて弁護士や司法書士など様々な専門家をご紹介することが可能です。まずはお気軽に電話やメールでお気軽にご相談ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい