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原野商法で購入した土地の相続対策とは

2025年06月07日

相続が発生すると、相続人はあらゆる財産を取得することになります。財産の中に土地・建物などの不動産がある場合、もちろん不動産も引き継ぐことになります。

中には原野商法で購入し、処分することも難しい土地がある場合もあるでしょう。当記事では原野商法で購入した土地を相続する際の対処法について解説します。

原野商法とは

原野商法とは1960年代から1980年代に行われた詐欺的手法で、多くの人が被害を受けています。

悪徳な業者が周辺に大きな施設が建築される開発計画があるため、値上がりが期待できるという特別感のある情報を流し、ほとんど価値のない原野や山林を言葉巧みに勧誘し、高額で売りつける悪徳商法です。原野商法で高値で購入した土地は不動産会社に相談しても売れることがほとんどありませんし、自治体などに問い合わせをしても寄付ができることも少ないため、持ち続けている人がほとんどです。

原野商法で騙されて購入して困っている被害者を対象とし、更に似たような手口で不要な土地を購入させる原野商法の二次被害も発生しています。

原野商法で購入した土地は売却や活用できる事例も少なく、取得した者も使いようがないため、管理費だけがかかる負の財産となるものの、子どもなどが引き継がざるを得ない状況となることが多いです。

不動産の登記が義務化されている

相続や遺贈により財産を取得した際の不動産の登記は、過去は義務ではありませんでしたが、相続が発生した後に田舎にある実家の土地・建物の登記を行わない人が多くいます。

そのため、所有者が不明の土地が増えたことが社会的な問題となり、法律が改正され義務化されています。

登記を怠った場合は、10万円以下の罰金を課される可能性がありますので注意しましょう。

原野商品で購入した土地がある場合の対処法

原野商法で購入した土地がある場合、どのように対処すればよいのでしょうか。具体的な対処方法について解説します。

生前に遺言を作成する

原野商法で購入した土地は利用価値が低いため、誰も相続したくないと思い、誰が引き継ぐか決まらない事例も多くあります。

相続が発生する前に財産の一覧を作り、全ての財産について誰に何を相続させるかを決めておき、遺言書に記載することで相続人同士で遺産分割について話し合う必要が無くなるため、相続人の負担を大きく減らすことができます。また、原野商法で購入した土地を誰も引き継ぎたくないからと言って死後に相続人が共有にするとその後の処分がさらに難しくなります。家の土地・建物など財産的に価値のあることを引き継がせることを条件に、原野商法で購入した土地を相続してもらうことも一つの手段です。

遺言の書き方や内容について自分が作成することに不安がある場合は専門的に行っている司法書士や税理士に相談してみるとよいでしょう。

相続放棄をする

親などが所有している原野商法で購入した買い取りしてもらうことが困難な土地を引き継ぎたくない場合は、相続放棄をするということも選択肢の一つとなります。相続放棄をすることで、不要な土地を引き継がなくていいというメリットがあります。

しかし、実際に相続放棄をすると手放したいと思っている不要な土地を取得することはなくなり、固定資産税などの税金の負担はなくなりますが、他の不動産や預貯金や株式等、財産的に価値のあるものも引き継ぐことができなくなります。そのため、慎重に検討する必要があるでしょう。

相続土地国庫帰属制度

原野商法で購入した土地の対策として有効に使える可能性があるのが、相続土地国庫帰属制度です。

相続土地国庫帰属制度は相続により取得した者が申請し、相続した土地を国に帰属させる制度です。申請は土地が所在する都道府県の法務局で行うことができます。遠方に住んでいる場合は郵送で申請することも可能です。

ただし、通路となっている土地や土壌汚染がある土地や境界が不明確な土地、崖地や管理に多大な労力、費用がかかる土地は制度を利用することができません。

また、審査には手数料と負担金がかかり、審査を行い、役所が状態を確認してから正式に利用可否が決まります。申請をしても必ずしも認められるわけではありませんが、引き継いでも利用することが難しい土地を引き継いだ場合は検討してみてもよいでしょう。

相続についてお悩みがある場合は専門家に相談を

相続に関する手続きなどは人生で何度も経験することではありませんので、簡単なものではありません。保有している財産や家族の関係などによって、自分で進めることが困難なケースも多いでしょう。

トラブルを回避するためにも実務に詳しい専門家に相談しながら進めることをおすすめします。特に相続税の申告が必要な場合、原則相続開始から10ヶ月以内と短い期間で申告手続きを完了させる必要があります。相続手続きは時間がかかりますので、自分で進めることが難しい場合は、業務として相続税の申告を行っており、税務の専門家である税理士に依頼すると安心して進めることができるでしょう。

広島相続税相談テラスでは相続に関するあらゆるお悩みを解決します。初回の相談はサービスで無料で対応しておりますので、お電話やメールでお気軽にご連絡ください。

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい