公正証書遺言とは?公正証書遺言のメリットや作成方法について解説!

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公正証書遺言とは?公正証書遺言のメリットや作成方法について解説!

生前に相続対策等をする中で遺言を書くなら公正証書で遺言を作成しておいた方が良いと周囲から話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。自分で作成する自筆証書遺言と公正証書遺言にはどのような違いがあるのでしょうか。当記事では公正証書遺言のメリットや作成方法について解説します。

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは公証役場で公証人が承認2名立ち合いのもと、公証人が読み上げて作成する遺言のことで、意思能力があれば誰でも作成することが可能です。作成した遺言書の原本は公証役場で電子データとして保管され、名前を入れて検索することができるため、遺言者はいつでも閲覧することが可能です。

遺言者には原本に基づいて作成された正本と謄本が渡されることになります。

自筆証書遺言は相続発生後、家庭裁判所で検認の手続きを受ける必要がありますが、公正証書遺言が完成すると相続発生後に検認を受ける必要がなく、作成した時点で法律上有効な遺言となります。自筆の遺言の場合、署名や印鑑が押されていないと、書き方を誤って要件を満たさず、遺言書として手続きを進めることができません。

また、遺言作成時に渡される正本と謄本を活用して、遺言の内容に対応して不動産の登記や金融機関の事務手続きを行うことができます。

公正証書遺言の作成手順

公正証書遺言はどのような手順で依頼をすればよいのでしょうか。具体的な流れを下記に解説しますので、確認しておきましょう。

公証役場で希望を伝える

まず、電話やメールなどで公証役場の予約をとり、公証人に作成したい遺言の内容を説明しましょう。公正証書遺言は遺言者が口述したものを公証人が筆記し、文書を作成する形式ですので、必ずしも書類を作成していく必要はありませんが、土地や建物などの財産の一覧や相続人関係図があった方が不動産や金銭の配分の希望をスムーズに伝えることができます。また、最終的には遺言者や続柄が分かる推定相続人、受遺者の戸籍謄本などを持参する必要があります。

公証役場は法律上の要件を満たした遺言を作成するための相談には応じてくれますが、人間関係や感情的な部分の相談にのってくれるわけではありませんので、遺留分や法律的な部分も考慮して、自分の希望する割合や記載する内容を明確に定めておくことが大切です。

遺言の最後には付言事項を付けることができます。付言事項は法律的な効力はありませんが、相続人に感謝の言葉を伝えたり、配分を決めた理由を書くことができます。付言事項については自分の言葉で考えをまとめておくようにしましょう。

証人2名立ち合いのもと遺言を作成する

遺言について打ち合わせが完了したら、当日は証人2人立ち合いのもと作成を行います。未成年者や相続人などの利害関係者は立ち合いをすることができませんので、行政書士や司法書士などの士業に承認になってもらうケースも多くあります。

作成の際は印鑑登録をしている印鑑証明書と実印が必要です。公証人が作成した書類に署名・押印すると法律上有効な遺言となります。財産に応じて手数料がかかりますので、事前に費用は確認しておくようにしましょう。

公正証書遺言のメリット

公正証書遺言は自筆証書遺言と比べて、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

作成した時点で有効な遺言となる

公正証書遺言は公証役場で公証人が作成する制度ですので、作成した時点で法律上有効となることが民法で定められています。自筆証書遺言の場合、要件を満たさず無効となることもありますが、公正証書遺言の場合、そのようなリスクはありませんので確実に意思通りに遺産分割することが可能です。

法律上有効な遺言であることが確定しているため、検認の必要もなく、財産をもらう相続人の負担を減らすことも可能です。また、しっかりとした遺言を作成しておくことで、相続人間で協議する必要がないためトラブルを避けることにもつながるでしょう。

偽造・変造・紛失の恐れがない

公正証書遺言は原本が公証役場に保管されるため、長男にすべて遺す内容であった場合では、他の相続人が遺言書をこっそり廃棄してしまう例もあります。

公正証書であれば、特定の家族にとって不利な遺産の分割であっても偽造や変造される恐れがありません。

また、自筆証書遺言の場合、自宅のタンスなどに保管しておくと、次の世代の子供や甥・姪などが発見してくれない可能性もあり、自分の意思通りに財産を配分することができません。

紛失や発見されないリスクもないことが公正証書遺言のメリット一つといえるでしょう。

公正証書遺言のデメリット

メリットも多い、公正証書遺言ですが、デメリットもあります。デメリットや注意点もしっかりと理解したうえで判断するようにしましょう。

費用がかかる

公正証書遺言を作成する場合、財産や遺言の内容に応じて一定の費用がかかります。自筆の遺言は家で一人で作成することができますので、費用はかかりません。費用がかかることは大きなデメリットと言えるでしょう。

金額は財産や内容によって公証役場で計算して請求されますので、財産の一覧や内容をお伝えした時点で、見積もりを依頼するようにしましょう。

容易に書き換えができない

自筆証書遺言の場合、古いものは破棄し、新しいものを作ることで、遺言の書き換えが可能です。自筆の場合は無料で遺言を作成することができますが、公正証書遺言として書き直す場合は、費用が掛かります。

遺言はあくまで、後に書いたものが有効となりますので、公正証書遺言で書いた内容も自筆証書遺言を書くことで無効にすることもできますが、できれば、公正証書遺言で再度書き直した方が良いでしょう。

専門家のサポートを受けることも可能

公証役場に一人で出向き、作成することは簡単なことではありません。あらゆる面を考慮して遺言を作成しないと相続発生後に問題が発生する可能性もあります。

自分には難しいと感じる方は弁護士や司法書士、税理士などの専門家に作成のサポートを依頼することも可能です。あらゆるケースを経験している専門家に依頼することで、遺留分を侵害する可能性がある場合の注意点や相続税など相続・遺贈について様々な見地からアドバイスを受けることができます。

遺言を作成する前に専門家に依頼することで費用もかかりますが、それ以上に得られるものも大きいでしょう。

また、相続手続きを行う執行者を専門家に依頼することも可能で、遺言書に記載しておく必要がありますので、遺言作成時に決めておいた方が良いでしょう。知識がなく、実際に自分で行うことが難しい方は専門家に依頼することで、作成の流れや相続発生後の法務局への申請など手続きも間違いなくできますので、安心です。

相続税の申告が必要な場合は、相続税の申告を普段から業務で行っている税理士に遺言の作成を依頼することで、相続税の申告もスムーズに進めることができます。生前に本人から相続財産に関する資料を用意し、相続税の算定を行っておけば、相続人の負担をかなり減らすことができるでしょう。

遺言書の作成はお早めに

遺言書の作成は時間がかかるうえに、高度な判断を求められます。近年は認知症の方も増えて置おり、高齢となってから遺言を作成することが難しいケースもあります。遺産の分割で親族間でトラブルとなったり、残された方に迷惑をかけたりしないためにもあらかじめ遺言を作成しておくことをおすすめします。