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相続税はいくらから?基礎控除や各種特例を解説!

2025年01月25日

相続が発生し、一定額を超えると相続税がかかります。相続税がかかる場合は遺産を受け取る者は期限内に税務署に申告と現金での一括納付が必要となります。

しかし、資産がいくらあれば相続税の申告が必要かどうかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。当記事では相続税の基礎控除や特例についてポイントをおさえて解説します。

基礎控除とは

相続税には基礎控除があり、故人の財産が基礎控除を超えない場合は相続税の申告は不要です。基礎控除の計算方法は以下の通りです。

3,000万円+法定相続人×600万円

基礎控除の金額は民法で定められている法定相続人の数によって決定します。例えば、法定相続人が2人の場合の基礎控除は4,200万円となります。

相続が発生するとまずは各財産をまとめ、一覧の表を作成し、総額を把握することが重要です。仏壇・仏具など一部の対象外となる財産を除き、土地・建物、金等の現物資産や預貯金や有価証券など金融機関に預けている課税対象となる財産ごとの評価額の合計を把握したうえで、借金や未払金などを債務を差し引いたうえで基礎控除以下であれば、相続税の申告は必要ありません。基礎控除を超えるようであれば、10ヶ月以内に相続税の申告が必要となりますので、申告に向けて準備を行う必要があります。

相続税の申告を行うためには分割の方法が決まっている必要があります。相続税の申告期限は被相続人の死亡の翌日から10ヶ月以内と定めらており、相続発生後すぐに取り掛かる必要があります。

特に相続人の数が多い場合や相続人同士が疎遠な場合は遺産分割に時間がかかることが多いのでできれば遺言を作成するなど、相続人の負担を軽減できるように対策を打っておく方が良いでしょう。

相続税の計算の流れ

基礎控除を超える場合は相続税の申告が必要となります。相続税の基本的な計算の流れについて簡単に解説します。

相続税を計算する際はまず、相続財産の総額を計算します。次に相続財産の総額から基礎控除を差し引いたうえで法定相続分通りに相続したものとして、1人当たりが取得する分に対してそれぞれの税率をかけあわせて相続税の算出を行います。1人あたりの相続税額については国税庁のサイトに掲載されている早見表を確認するとよいでしょう(リンク)。

1人当たりの相続税を合計し、実際に取得した割合に応じて各人が相続税を支払うことになります。そのため、相続人全員で配分について合意ができていないと相続税の計算をすることができません。相続が発生した時は早めに相続人で話し合い、配分を確定しておくことが大切です。

相続税の主な特例

基礎控除以外にも税額を抑えることができる特例は多くありますが、特例の内容を知っておかないと適用を受けることができません。相続税に関する各種特例の概要を解説します。

配偶者控除

配偶者控除は配偶者が財産を受け取る際に税金を控除することができる制度です。配偶者が相続する分については1億6,000万円または法定相続割合までは相続税がかかりません。

配偶者はパートナーとして、財産形成に大きく貢献していることが多いことや年齢が近く相続した財産について短期間で何度も相続税がかかることを避けるために、大きな控除が設けられています。

しかし、相続税がかからないからという理由で一次相続で配偶者が多くの財産を引き継いでしまうと配偶者が亡くなった時の二次相続で子どもが多くの税金を支払うことになるケースもあります。結果的に財産を受ける子の負担が大きくならないように、一次相続と二次相続の合計の税額も抑えておく必要があるでしょう。

また、配偶者控除を利用することで相続税が0円になるケースでも申告が不要となるわけではありません。基礎控除を超えている場合は必ず期限内に相続税の申告手続きが必要となりますので注意しましょう。

小規模宅地の特例

小規模宅地の特例は自宅の土地に対して最大330㎡まで80%減額できる制度です。自宅の土地が東京などアクセスがよく不動産の評価額が高い場合、大きな減額となります。例えば、土地の評価が1億円であっても2,000万円の評価となります。

小規模宅地の特例を利用できるのは配偶者や、同居の親族や相続発生前3年前から持ち家を保有していない親族です。相続する人によっては特例が利用できないこともありますので、特例のことも考慮して配分を検討する必要があります。

配偶者控除と同じく小規模宅地の特例を利用することで相続税が0円になる場合でも申告は必要となりますので注意しましょう。

障害者控除

障害者控除は障害を持つ相続人が受け取る税額から一定額の税額控除ができる制度です。障害者控除の計算式は以下の通りです。

85歳になるまでの年齢×10万円(特別障害者の場合は20万円)

未成年者控除

未成年者控除は相続人が未成年者の場合に利用できる特例で、納税する金額から一定額を差し引くことができます。算出方法は以下の通りです。

18歳になるまでの年齢×10万円

生前にできる相続税対策

財産の評価をし、シミュレーションを行った結果、相続税がかかりそうな場合は事前に対策を打つことで相続税の負担を軽減することが可能です。主な相続税対策について確認しておきましょう。

財産の一覧を作成する

相続税対策を行う際はまずは財産の一覧を作成し、どれくらいの財産があるか把握することが重要です。財産を一覧の表にしておくことで相続人も手続きがしやすくなりますし、手続き漏れを防ぐことができます。

また、生前にシミュレーションをすることで、どのような対策を打つことで、どれくらい節税になるかも把握しやすくなります。

生前贈与

生前贈与とは相続が発生する前に財産を渡すことです。多額の財産を贈与すると贈与税が課税されますが、贈与税にも非課税枠があり、暦年贈与の場合、年間110万円までは非課税で贈与をすることができます。年間110万円でも10年間続けることで1,100万円と大きい金額を次の世代に移すことができます。

生前贈与は相続人以外にも行うことができますので、子どもだけでなく子どもの配偶者、孫などにも贈与をすることで年間で出来る贈与の額を増やすことも可能です。ただし、特定の相続人に多額の贈与を行うと家族の間で不公平となりトラブルになる事例もありますので注意が必要です。生前贈与によってトラブルになる可能性がある場合は遺言書を作成し、配分についても決めておく方がよいでしょう。

生命保険の非課税枠

生命保険の保険金は受取人固有の財産として本来の相続財産ではありませんが、相続財産に性質が近いものとしてみなし相続財産として相続税の課税対象となります。

しかし、生命保険には非課税枠があり、法定相続人×500万円までは非課税で受け取ることができます。相続人が3人の場合は1,500万円まで非課税で受け取ることができます。基礎控除以上財産があっても生命保険の非課税枠を活用することで相続税がかからないケースもあります。

生命保険は金融機関で簡単に契約することができますので、簡単で確実にできる相続税対策として活用をおすすめします。

相続税の申告は税理士に相談を

遺産相続の際の相続税の申告を行う時は財産の評価や特例の適用可否の判断、税額の算出を行う必要があります。相続は何度も経験することではありませんので、課税制度の知識や手続きの経験がほとんどなく対応できないケースも多いでしょう。

自分で相続税の申告をすることに不安がある場合は税金の専門家である税理士にサポートを依頼し、進めることをおすすめします。相続税の申告期限は被相続人が亡くなってから原則10ヶ月と期限が決められており、遅延すると加算税や延滞税が課される場合もあります。

また、誤った申告をした場合、税務調査でチェックされると修正申告が必要となり、二度手間となることもあります。相続税は税制改正も頻繁にありますので、申告を依頼する場合は、相続税を専門的に扱っている税理士事務所・税理士法人に依頼することが重要です。知り合いから紹介してもらうことが難しい場合はホームページで探してみるとよいでしょう。

税理士に申告を依頼することで、費用はかかりますが、相続人の負担は大きく減らすことでき安心して手続きを進めることができるというメリットがあります。広島相続税相談テラスでは実績豊富な税理士がサポートいたします。初回の相談はサービスで無料で応じていますので、相続税の申告でお困りの際は広島相続税相談テラスにお気軽にご相談ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい