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相続税の基礎控除とは?税理士が分かりやすく解説!

2025年07月19日

親族が亡くなった時に、相続税がかかるかわからないという方も多いのではないでしょうか。

相続税の申告の手続きが必要かどうかを判断するためには遺産の額の把握をすることと、基礎控除を計算する必要があります。

当記事では相続税と基礎控除について解説します。

基礎控除の計算方法

基礎控除の計算式は、3,000万円+法定相続人×600万円です。基礎控除を超える場合は相続税がかかります。

例えば、相続人の数が2人の場合は4,200万円、3人の場合は4,800万円となり、1人増えるごとに600万円が加算されます。法定相続人は民法で定められています。法定相続人には順位が決められており、配偶者は常に相続人、第一順位が子どもなどの直系卑属(子が亡くなっている場合は代襲相続により孫)、第二順位が父母などの直系尊属(父母が亡くなっている場合は代襲相続により祖父母)、第三順位が兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は代襲相続により甥・姪)となります。仮に相続放棄をする人がいたとしても基礎控除は変わりません。逆に遺言などで本来相続権のない法定相続人以外の人が一定の額の財産を受け取るケースでも、法定相続人の人数が増えることもありません。養子を入れている場合は、実子がいる場合は1人まで、いない場合は2人まで基礎控除に加算されます。

財産を受ける人の人数は関係なく、法定相続人の人数で算出します。

相続税がかかるかどうかを判断するためには預貯金や株式、不動産等、課税対象となる財産の評価額の総額を計算し、基礎控除を上回るかどうかを確認する必要があります。被相続人の財産が同じでも基礎控除の金額によって、申告の要否が変わりますので、法定相続人の数も確認しないと相続税がかかるかどうかはわかりません。

相続税の計算をする際は課税対象となる財産の合計から債務と基礎控除を差し引いた後の金額が課税価格となり、次に法定相続分のとおりに分けたものと仮定して、各人ごとの税率をかけあわせてそれぞれの相続税の税額を足し合わせて総額を計算します。相続税の総額を計算した後に、結果的に取得した財産の額に応じて按分する形となります。

基礎控除以下であれば、期限を気にする必要はありませんが、基礎控除を超える場合は相続発生の翌日から10ヶ月以内に財産を取得した者が相続税の申告を行う必要があります。相続発生からの期限は非常に短いうえ、誰かが代表して複雑な手続きを進める必要があります。そのため、早めに対応する必要があります。

生命保険には非課税枠がある

生命保険の死亡保険金には非課税枠があります。非課税枠の計算方法は500万円×法定相続人の人数です。

基礎控除にプラスして生命保険の非課税枠がありますので、上記に解説した基礎控除を超えていても、相続税がかからない可能性があります。相続開始前に課税の対象となる相続財産の一覧表を作成し、基礎控除を超えている場合、生命保険の契約を検討してもよいでしょう。

生命保険の死亡保険金は相続発生時に受取人を指定することで遺産分割協議を経ずに財産を遺すことができ、すぐに換金できるというメリットがあります。一方で、中途解約すると解約時に元本割れするものもありますので、商品の内容をしっかりと確認してから契約するようにしましょう。

各種控除で相続税が0円になる場合も申告は必要

配偶者控除や小規模宅地の特例で土地の価格を減額するなど、各種特例を適用することで、相続税が軽減され0円になることがあります。配偶者控除は配偶者が相続する時に1億6,000万円または法定相続割合分までは非課税となり、小規模宅地の特例は330㎡を限度に80%減額することができるため、自宅の住所が都心など価値の高いエリアにある場合は減額効果も大きくなります。

他にも18歳未満の人が受け取った場合の未成年者控除や障害がある人が受け取った場合の障害者控除などの税額控除によって、遺された家族にとって相続税の負担がなくなる例があります。ただし、これらの特例はどのように配分するか遺産分割の方針が決まっている必要があります。必ず相続人全員で合意しないと、分け方が決まらないので、早めに準備をしておくことが重要です。

特例を申請することによって差し引きすると、相続税が0円になる場合は、納税する必要はありませんが、税務署に相続税の申告書の提出は必要となります。

相続税がかからない場合でも、申告書は提出が必要ですので、注意しましょう。

わからないことは税理士に相談を

今回は基礎控除について解説しましたが、相続税がかかるのか否かや実際にいくらかかるのかを確認するためには、複雑な制度を理解し、改正などの最新の情報を確認する必要があります。国税庁のホームページに計算方法は記載されていますが、知識や経験がない人にとって、相続税の計算をすることは簡単ではありません。もし誤って申告をすると、税務署の調査で指摘され加算税を課される可能性もあります。

相続税について不明点がある場合は、税務の専門家である税理士に確認してみるとよいでしょう。相続税の相談をする際は、相続税や関連の深い贈与税の申告を普段の業務で行っている税理士に支援を依頼するようにしましょう。

相続発生前に事前にシミュレーションをしておくことで、生前贈与や生命保険の契約など、対応を検討することができます。

広島相続税相談テラスではみなさまの相続に関するお悩みを解決するサポートをしております。初回の相談は無料で対応しておりますので、お電話やメールなどでお気軽にご連絡ください。

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい