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タンス預金は税務署にばれる?

2024年12月07日

贈与されたお金が110万円を超える場合贈与税の申告が必要です。現金でお金を渡した場合、そのままタンス預金にすればバレないだろうと考える人も多いでしょう。

また、相続が発生するとあらゆる財産を調査し、課税の対象となる分の財産の評価をしたうえで、相続税の申告を行う必要があります。

課税対象となる財産の中には金融機関に預けている預貯金や株式、不動産だけでなく、自宅に置いているタンス預金も含まれます。タンス預金を財産として申告しなかった場合、税務署から申告漏れとして指摘されるリスクはあるのでしょうか。

当記事ではタンス預金の取り扱いについて解説します。

タンス預金はバレることがある

タンス預金は税務署からはばれることはないだろうと考える人も多いと思いますが、実際に税務署の調査でタンス預金がばれて指摘されるケースは多くあります。

被相続人本人の財産として置いているケースや相続人に贈与をしているにも関わらず贈与税を申告していないケース、相続発生後7年以内の繰り戻しを考慮せず、贈与した財産を相続税に加算していないケースなどがあります。110万円以内の生前贈与であれば贈与税は非課税となりますが、相続発生前7年以内の贈与は相続財産に繰り戻されますので注意が必要です。ただし、孫など相続人ではない人で相続発生時に財産を取得しない場合は繰り戻しはありませんが、贈与契約の際の書面を作成するなどしっかりと管理しておいた方がよいでしょう。

1月1日から12月31日までの間に110万円を超える贈与を受けた場合、翌年の3月15日までに贈与税の申告が必要です。タンス預金にしているとばれないと考える人も多いですが、調査される可能性がありますので、忘れずに申告するようにしましょう。

税務署は過去の税金のデータを一括で管理しており、相続が発生すると被相続人が過去に支払った相続税や所得税、固定資産税などの税金のデータを確認しどれくらいお金を持っている人なのか確認することができます。そのため、相続発生時の財産が生前の収入や引き継いだ資産に対して少ない場合は相続が発生する前の銀行の口座の入出金記録などを金融機関に照会します。

実際に引き出しされた額が生活費とは思えないほど大きいにも関わらず、取引のある他の金融機関に預け替えやリフォームなどの出費がない場合は贈与やタンス預金による過少申告などの不正が疑われ調査される確率が高くなります。調査に入られるとどこに隠していても家の隅々まで徹底的に調べられます。

タンス預金の時効

タンス預金があることで、本来の相続税よりも低い相続税を支払っていた場合、でも時効はあります。時効は、自宅に保管していることを忘れていた場合など悪意がない場合は相続税の申告期限から5年、悪意がある場合は相続税の申告期限から7年です。
状況により悪意があるケースでは重加算税という通常より重い税率で本来の税金よりも加算して追徴で課されるだけでなく、過去に脱税になると知っていて行った悪質なケースでは刑事罰など法的責任を問われている事例もあります。
税務署による税務調査が入る場合は、時効までに必ず入ります。現金を自宅で管理していると時効までは税務調査に怯えることになります。タンス預金による資産隠しは節税ではなく脱税行為となりますので、絶対にタンス預金で脱税をしようとは考えないようにしましょう。

相続税の申告は税理士に相談を

基礎控除以下であれば、相続税の心配はありませんが被相続人の財産の合計が基礎控除を超えている場合は、財産を取得した者は相続税の申告の義務が生じます。申告を怠った場合は無申告加算税が課せられます。
相続税の計算や申告書の作成手続きは慣れていない人にとって非常に大変です。まず、資産の評価と財産の一覧の作成が必要で、特例の制度も国税庁のホームページに記載されていますが、知識のない人が理解して自分で申告することは簡単ではありません。自分の判断で誤って申告をした場合、後で調査された際に発覚した場合に問題となり、加算税を課されるケースもありますので注意が必要です。
また、相続税の申告期限は被相続人の死亡の翌日から10ヶ月以内と非常に短く、特別な理由があるケースを除き期限を過ぎると延滞税等のペナルティも課されます。遺産分割や不動産の登記などもある中で亡くなってからの10ヶ月はあっという間に過ぎてしまいます。特に子どもなどの相続人が複数いる場合や不動産の数が多いケースなど相続財産の内容が複雑な場合は時間がかかることが多いので、早めに着手しましょう。

自分で手続きを行っていると相続税の申告に間に合わない可能性がある時は、税の専門家である税理士にサポートを依頼し、期限内に手続きを完了させるようにしましょう。税理士に依頼することで費用がかかるというデメリットはありますが、家族の負担を減らせるというメリットがありますし、特例などをしっかりと適用することで納税する額が減る可能性もあります。

多くの税理士法人・税理士事務所が初回の相談は無料で対応してくれます。知人に税理士を紹介してもらうことが難しい場合はホームページなどで相続に強い税理士を探してメールや電話などで気軽に連絡してみるとよいでしょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい