相続が発生すると亡くなった人の財産に応じて相続税がかかります。相続税の申告は相続発生後10ヶ月以内に行う必要があり、さまざまな財産を評価する必要があります。
自宅に置いている現金も相続財産として相続税の課税対象となりますが、専業主婦の人が夫が稼いだ生活費からコツコツ貯めていたへそくりは誰の財産となるのでしょうか。
当記事ではへそくりの扱いやその理由についてポイントをおさえて解説していきます。
へそくりは誰のもの?
夫から生活費としてもらったお金を現金で自宅に置いているという方は多いでしょう。そのような場合、その現金は誰のものかという点が問題となります。この点は非常にあいまいですが夫の財産であるとみなされて相続税の対象となる可能性もあります。
もし、しっかりと妻の名義としたいのであれば、妻名義の口座に預金として貯めておけば妻の財産となりますので、夫の財産として見られることはありません。ただし、妻の名義にしていても通帳と印鑑を夫が管理しており、妻が実質的に使えない状態になっていた場合には名義預金として夫の財産とみられる可能性がありますので注意しましょう。
夫の財産となった場合は、当然遺産分割の対象となり法定相続分で配分することになります。夫婦間で財産あいまいな貯金がある場合は、しっかりとどちらかの名義としておき、後でトラブルとならないようにしておきましょう。
また、家に置いている現金については税務署にもばれないだろうと思い、申告しない方もいますが、故意に財産の申告漏れをするのは脱税です。また税務署もシステム化が進んでおり、過去に支払った所得税や相続税を簡単に調べることができるため、あまりにも申告された財産が少ない場合、自宅に調査や確認に入られるリスクが高いです。実際に自宅のタンス預金を発見され、加算税を請求された事例もあります。
システム化が進んだことで、調査の数も多くなり、正確に調べることができるようになっていますので、正確に申告を行うことが重要です。
夫婦間で贈与をすることも有効な手段
夫の収入を夫の名義で貯めていた場合など、夫婦間で財産の偏りがある場合は夫婦間で贈与をすることも可能です。相続税は財産の総額を法定相続分で配分したものと仮定して受け取った者の取得財産に応じて相続税がかかります。そのため夫婦間の財産の合計が同じであれば、一人に財産が偏っている方が税率が高くなってしまいます。
年間110万円までは非課税をを活用し贈与をすることが可能ですので、時間はかかりますが少しずつ妻の名義に移していくことで夫婦間の財産を平均化することができます。生前に行う贈与契約は口頭でも問題ありませんが、証拠を残すために契約書を作っておくとより確実です。
また、相続が発生した際の妻の生活が心配なのであれば、自宅不動産や預貯金などの遺産を誰が相続するか協議しなくていいように妻に遺すように遺言書を書いておくとよいでしょう。
困った時は税理士に相談を
今回はへそくりの取り扱いに解説しましたが、相続税を申告する際の財産の評価額の計算方法や特例の制度、手続きは複雑で自分では難しいという方も多いでしょう。配偶者に財産を遺す場合は1億6千万円まで非課税となる配偶者控除がありますので、基礎控除を超えていても相続税がかからないケースが多いですが、特例を適用することで納付する税額が0円になる場合は相続税の申告が必要となります。
被相続人が亡くなってから10ヶ月以内に申告の必要があり、自宅不動産の登記や預金の名義変更など同時で進める中で期限も短いため相続人の中に誰もできそうな人がいない場合は税金の専門家である税理士に依頼し負担を軽減することをおすすめします。費用はかかりますが、必要な手続きを漏れなく行うことができますし、税務署から調査が入って指摘を受けたた時の対策も一緒に対応することが可能です。
知り合いから紹介してもらうことが難しい場合は、相続税や贈与税関連のプロである税理士をインターネットで検索し相談してみるとよいでしょう。初回の相談は無料で応じてくれる税理士事務所・税理士法人も多いので、まずは電話やメールなどで連絡を取ってみるようにしましょう。
税理士に相談に行く際は預貯金や株式、生命保険などの金融資産や土地・建物などの不動産など、財産をまとめて一覧にして持っていくとスムーズに相談することが可能です。