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土地を相続した際に相続税がかからない方法とは?

2024年04月21日

遺産を相続すると財産を受ける相続人に相続税がかかります。相続税の申告は相続発生から原則10ヶ月以内に自分で計算し、手続きを進める義務があります。

土地を相続する際に相続税がかからない方法はあるのでしょうか。今回の記事ではあらゆる面から土地の相続について、相続税がかからない方法や注意点について解説します。

土地の評価方法

相続税の算定の基礎となる土地の評価方法について解説します。土地の評価は基本的に路線価方式で評価を行い、被相続人が死亡した年の路線価×面積で計算を行います。路線価とは各道路につけられた1㎡あたりの価格のことで、国税庁のホームページで公表されています(リンク)。路線価は実際に売買される時価の8割程度に設定されています。

駅に近い土地や幹線道路に面しているなど、東京の都心などアクセスが良く有用性の高い土地は高く評価されます。土地を2つ以上保有している場合は、評価が異なりますので、それぞれの土地について路線価を調べる必要があります。

市街地エリアでは路線価が付されていますが、路線価が付されていない地域もあり、路線価がない場合は固定資産税評価額×倍率で計算を行います。倍率表も先ほどの国税庁ホームページで調べることができます。固定資産税評価額は毎年送付される固定資産税の課税の通知書に記載されています。

基礎控除

相続税には基礎控除があり、プラスの資産から債務などマイナスの財産を差し引いた課税対象の財産の総額が基礎控除以下であれば、金融資産や不動産を相続しても相続税はかかりません。基礎控除の計算式は3,000万円+法定相続人×600万円で算出します。相続が発生した時の法定相続人の数によって基礎控除が決まる制度となっています。

例えば、法定相続人が配偶者と子2人で合計3人のケースであれば4,800万円まで、2人の場合は4,200万円までは非課税で相続することが可能です。基礎控除を超える場合は、次に特例の適用可否や計算を行う必要がありますが、基礎控除の範囲内であれば不要です。

他にも生命保険の非課税枠があります。生命保険の非課税枠は法定相続人×500万円です。基礎控除を少し超えていても生命保険を契約し、基礎控除+生命保険の非課税枠の範囲内に収まるのであれば、期間内に申告をする必要もありません。

小規模宅地の特例

小規模宅地の特例を活用することで土地の評価を大きく下げることが可能です。自宅の敷地として使用している土地の評価を減額できる特定居住用宅地の特例では330㎡を限度に土地の評価を最大80%減額することができるため、税率も抑えることができ、メリットが非常に大きい制度です。

1億の土地が2千万円の評価となりますので、かなり大きな減額と言えるでしょう。ただし、取得する側の状況にも条件があり、被相続人と同居する者や、相続発生前3年間持ち家が無い者が相続することが条件となります。特例の要件を満たす子が相続した方が節税にはなりますが、評価の高い土地を一人が取得することで法定相続分とは大きく異なる配分となり、遺留分を侵害してしまうことや相続放棄をしてもらわざるを得ない場合もあるでしょう。

子ども同士で遺産相続について協議をすることになると話し合いのポイントがずれてしまい、遺産分割でトラブルとなる可能性があります。トラブルになってしまうと弁護士などを交えて話し合うことになり、相当な時間がかかりますし、精神的にも大きく負担がかかるでしょう。

小規模宅地の特例を使うことで、配分面で揉める可能性がでるというデメリットもありますので注意が必要です。このようなケースでは事前にシミュレーションを行ったうえで家族には説明し、遺言書を作成しておくとよいでしょう。今後考えが変わることもあるかもしれませんが、遺言は作成後に変更することも可能ですので、できれば現時点での方針を具体的に決めて遺言書を作成しておくようにしましょう。

小規模宅地の特例には会社を経営している場合、事業用の土地について400㎡まで80%減額できる特定事業用宅地の特例やアパート等の貸付事業に用いている土地を200㎡まで50%減額できる貸付事業用宅地の特例があります。

また、小規模宅地の特例を適用した結果、土地の評価額が減額され、基礎控除の範囲内となった事例では、納税する税額は0円となりますが、相続税の申告の手続きは必要となりますので注意しましょう。

生前贈与を活用する

いずれ発生する相続税対策の方法として多くの人が使っているのが生前贈与です。贈与税には毎年110万円の非課税枠があり、非課税枠を利用することで相続財産を減らすことができます。

毎年、土地の権利を110万円分ずつ次の世代に贈与をすることも可能ですが、所有権移転登記を毎年行う必要があるため、費用がかかります。特に司法書士事務所などに手続きを依頼する場合は金銭的な負担が大きくなりますので、現金を贈与する方がほとんどです。

相続税の申告に不安がある場合は税理士に相談を

家族が亡くなってからはお葬式の準備などで何かと忙しい中で進めていく必要がありますので、あっという間に時間が過ぎてしまいます。

相続税の仕組みは複雑ですが知識もない場合が多いです。そのため、自分で期限内に正確に相続税の対応し税金を納めることは簡単ではなく大変な作業となります。しかし、家族のうち誰かが代表として相続税の申告手続きを行う必要があります。

相続税の申告で困ったことがあれば、専門家である税理士に相談をするようにしましょう。税理士にサポートを依頼することで費用はかかりますが、小規模宅地の特例や配偶者控除などの特例なども漏れなく適用することができますので、税金が安くなることもあります。また、自分で申告を行い、特例の判断を間違えた場合や誤った計算方法で算出した場合、税務署からの税務調査で指摘され、加算税が課される可能性がありますが、相続税に詳しい税理士に依頼することで、そのようなリスクもなくなります。

いくらくらい費用がかかるかは財産の額や財産の内容や種類によって異なります。課税の対象となる預貯金や株式、土地、建物などの財産をまとめて一覧でわかる表を作成して見積もりを依頼してみるとよいでしょう。初回の相談はサービスで無料で応じてくれるケースが多いですので気軽に相談してみてもよいでしょう。

税理士をサイトなどで探す際は、相続税や贈与税関連の実績が豊富か、報酬は妥当かなど情報を得てから依頼するとよいでしょう。相続関連の手続きを中心に運営している税理士に依頼することをおすすめします。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい