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相続税の基礎控除と配偶者控除について税理士が解説!

2024年03月27日

相続が発生を受けて相続税の申告が必要な場合は、相続人が税額を計算のうえ必ず10ヶ月以内に税務署で申告書の提出と納付の手続きを行う必要があります。

しかし、被相続人の遺産の合計が基礎控除の範囲内である場合や配偶者控除を適用することで、相続税がかからないケースもあります。

当記事では、相続税の基礎控除と配偶者控除についてポイントをおさえて解説します。

基礎控除とは

基礎控除とは相続の際に財産の計算上差し引くことができる金額で、民法で定められた法定相続人の数によって決まります。計算方法は以下の通りです。

基礎控除=3,000万円+法定相続人×600万円

例えば、法定相続人が配偶者と子供2人の場合の基礎控除の金額は、4,800万円となります。

相続発生時点の課税対象となる相続財産の評価額の総額が基礎控除を下回る場合は、相続税がかかることはありませんし、申告も不要です。基礎控除の範囲内に収まる人も多いため、相続税の申告が不要なケースも多くあります。

また、生命保険の非課税枠が法定相続人×500万円ありますが、基礎控除とは別に非課税枠を利用することが可能です。そのため、法定相続人が3人のケースでは、基礎控除と生命保険の非課税枠をあわせて6,300万円までであれば遺産相続をしても相続税がかからないため、申告も不要です。

相続税がかかるかどうかで、手続きの内容が大きく変わります。基礎控除の計算式は非常に大切ですので、理解しておくようにしましょう。

配偶者控除とは

配偶者控除は配偶者が相続する財産については相続税を軽減することが認められています。配偶者は被相続人を支え、財産の形成にも寄与していることが多いという理由で大きな控除が用意されています。

配偶者が財産を引き継ぐ場合は、法定相続分または1億6,000万円のいずれか大きい金額までは相続税はかかりません。

配偶者控除を活用するためには法律上の婚姻関係である必要があるため、実際に一緒に暮らしているかなど生活の状況などは関係ありません。事実婚の内縁関係であり、いわゆる内縁の夫・内縁の妻である場合は適用することができません。

配偶者控除を利用する際の注意点

配偶者控除を利用することで、節税につながりますが、利用する際に注意するべき点も多くあります。注意点について確認しておきましょう。

相続税が0円になる場合も申告が必要

配偶者控除を適用することで、結果的に納める税金がゼロになる場合でも、課税価格が基礎控除を超える財産がある場合は必ず相続税の申告は必要となります。配偶者控除は申告をすることで、税金の負担を減らすことができる特例ですので、申告は必要であると定められています。税金が0になることで申告が不要と勘違いしている人も多いので注意が必要です。

二次相続で税金が高くなることがある

夫婦のうち一方が亡くなったタイミングを一次相続、二人目が亡くなったタイミングを二次相続といいます。一次相続では配偶者控除を適用できるため、相続税の負担が大きくならないことが多いです。しかし、一次相続で配偶者が財産を多く引き継ぎすぎると、夫婦の財産が合計されてしまうため、税率が高くなり、二次相続で大きな負担となる場合があります。

一次相続と二次相続を合計すると、配偶者控除を適用し、多くの財産を配偶者が引き継いだ方がかえって税金が高くなり、一次相続のメリットよりも二次相続のデメリットの方が大きい場合もありますので、慎重に遺産分割協議を行う必要があります。配偶者が相続しなくても、生活には困らない場合は遺産を相続放棄し、子どもがすべての財産を引き継いだ方が良いケースもあります。

しっかりとシミュレーションをしたうえで、遺産分割を行い、各人が取得する割合を決める必要があります。できれば、生前にシミュレーションを行い、他の対策も検討しておくとよいでしょう。

生前にシミュレーションをしておくことで、生前贈与や遺言書の作成など、先にさまざまな対策を行うことが可能です。また、遺言書を作成し配分を確定しておくことで、相続人同士で話し合いをする必要がなくなります。

相続税の節税だけでなく、兄弟姉妹などとの遺産の争いにより問題が発生し、関係の悪化を避けることができます。

相続税の相談は税理士に相談を

相続が発生すると、忙しく時間がない中で戸籍の収集や遺産分割協議や金融機関の名義変更や不動産の登記も行う必要があります。

相続税の計算は国税庁のホームページに掲載されていますが、複雑で、税制改正も頻繁にあります。

課税される財産の評価や配偶者控除以外にも、小規模宅地の特例など各種特例や控除を適用できるかも要件を確認し判断が必要です。期限も被相続人の死亡の翌日から10ヶ月以内と期間も短いため、相続税の申告や書類の作成を知識がない方が自分で相続税の算出を行うことは簡単ではありません。

誤った申告を行うと税務調査で指摘され加算税を請求される可能性もありますので、期限内に自身で手続きを行うことが難しい場合は、費用はかかりますが税金の専門家である税理士に依頼すると安心してそれぞれの手続きを進めることができます。

税理士に依頼する際は普段から相続や贈与関連の業務を行っており、実績が豊富な税理士事務所・税理士法人に依頼するようにしましょう。知り合いに紹介してもらうことが難しい場合は、近くの税理士事務所をインターネットで検索して情報を確認してみるとよいでしょう。

実際に申告を依頼する場合は財産の内容や金額によって報酬が決まります。評価が複雑な不動産等がある場合は、追加の料金が発生することもありますので、金融資産や土地、建物などの財産の一覧の表をもって相談にいくとよいでしょう。

初回の相談と見積もりについては無料で応じてくれるケースが多いので、まずは気軽に電話やメールなどで問合せをしてみることをおすすめします。

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい