被相続人が様々な形で年金を受け取っている場合、未支給の年金を遺族が死亡した被相続人の代わりに手続きをして、受給するケースがあります。このようなケースで年金受給権に基づいて受け取った資金は相続税の対象となるのでしょうか。
当記事では未支給の年金の税務上の取り扱いを種類別に解説していきます。
未支給の年金の取り扱い
未支給の年金の取り扱いのついて種類別にみていきましょう。
公的年金
一般的に国民年金・厚生年金は前月と前々月分がまとめて支払われる制度となっていますので、基本的に受ける予定だった未支給の年金が残った状態となります。相続人が受給した場合、相続人の固有の財産として扱われますので、相続税の課税対象財産とはなりません。遺族年金も同様に相続税の対象とはなりません。
ただし、一時所得として所得税の対象にはなりますので、注意しましょう。
企業年金
企業年金とは企業で長年勤めた人が受け取ることができる年金で、会社と雇用されている人との契約で年金が支払われます。相続人が年金を引き継いだ場合、相続人と企業との間に直接の契約関係はありませんが、被相続人が生前有していた定期金を受け取る権利を相続したものとして、相続税の対象となります。公的年金とは異なる扱いとなり、年金受給権として評価することになりますので注意しましょう。
また、在職中に死亡した場合に、会社の規定に基づいて支払われる死亡退職金もみなし相続財産として相続税の課税対象ですが、受給する金額に対して、法定相続人×500万円の非課税枠がありますので、非課税枠以下であれば、相続税はかかりません。一方で企業年金については非課税枠の適用はありませんので注意しましょう。
個人年金
個人年金とは老後資金を確保するための対策を目的として自分が受け取ることができるように定期的に年金を受給できる契約です。
公的年金とは別に民間の生命保険会社で契約している個人年金保険を受け取っている人が亡くなった場合、相続人が受給権を相続することになります。個人年金の受給権は継続して年金が支払われる権利を相続する形となりますので、相続税の対象となります。ただし、保険料を負担している人が別の人で、存命の場合は贈与税の対象となりますので、注意が必要です。
相続人が継続して受け取る権利を請求することを忘れないように保険証書の保管場所などを教えておくようにしましょう。また、個人年金保険の後継年金を誰が受け取るか決めていない場合、遺産分割の対象となりますので、法定相続人で誰が受給権を相続するか話し合って決める必要があります。
不明点がある場合は税理士に相談を
相続税法は改正も多く、最新の情報を確認することが重要です。未支給の年金の取り扱いに関連することは、預貯金などとは異なり複雑なことが多いため、判断に迷う場合や計算の方法がわからない場合は税理士に相談するほうがよいでしょう。
相続が発生したら、まずは被相続人の財産の資料を確認して、一覧の表を作成することが重要です。課税対象となる預貯金、株式、土地・建物、金など、相続財産の合計が基礎控除の範囲内であれば、相続税の申告は必要ありません。
申告書の作成を税理士に依頼する場合は費用がかかりますが、専門家である税理士に依頼することで、相続開始から10ヶ月の期間中に間違えなく申告を済ませることができますので税務調査に入られたとしても安心です。自分で税務署に提出する書類を作成することが難しい場合は、税理士に依頼することを検討しても良いでしょう。
広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
税理士選びにお困りなら、まずは無料相談でお気軽にご相談ください!