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財産を寄付した場合、相続税はどうなる?

2023年09月18日

相続が発生したら自分の遺産のうち一定額を寄付することで教育や恵まれない子供たちを支援したいと、ユニセフなど社会的な目的で事業を行っている公益法人に寄付したいと考えてる人は多いのではないでしょうか。当記事では相続財産を遺言を活用して寄付した場合の税金の取り扱いや注意点について、ポイントを抑えて解説します。

遺贈寄付をした財産は相続税の対象外

遺言などによって財産を公益法人や国、地方公共団体、自治体などに寄付をした場合、寄付をした金額については、非課税扱いとなり相続税の課税対象財産から除外されます。

また、ふるさと納税と同じように、所得税上も寄附金控除を利用できるというメリットもあります。被相続人の準確定申告をする場合、所得から控除することも可能です。

ただし、非課税の対象となるのは学校を運営する学校法人や公益社団法人、認定NPO法人などに限られます。一般社団法人や宗教法人は対象外となりますので、注意しましょう。

寄付先を指定しておく必要がある

相続財産の寄付を行う場合、生前に遺言書を作成し、寄付先の団体を指定しておくなど、法的に有効な形で意思を示しておく必要があります。相続人に相続させてその後、相続人の判断で寄付を依頼するようなケースでは財産を受ける相続人が、原則相続税を支払ったあとに寄付をすることになります。

相続税の課税対象財産から除外するためには、遺言に寄付先を特定ししっかりと書いておく必要があります。自分の価値観や希望にあう社会貢献を行っている団体を指定し、事前に窓口で寄付を受け付けているか確認しておくようにしましょう。

また、遺言書には公正証書遺言と自筆証書遺言がありますが、自筆証書遺言は形式不備などにより、死後に遺言が無効となってしまうと遺言を作成した意味がありません。先に効力があることを確認できる公正証書で遺言を作成する方がよいでしょう。

また、遺言書を作成する場合は寄付に限定して指定するのではなく、土地・建物や株式、投資信託などすべての資産について誰に承継させるかを決めておくほうがよいでしょう。誰にいくら遺すかを細かく指定しておくことで遺された家族の負担も大きく減らすことが可能です。

不動産の寄付は要注意

財産を寄付する場合に気を付けておきたいのが、金銭ではなく不動産を寄付するケースです。不動産を法人が遺贈によって取得する場合、取得した時点で譲渡したものとして、みなし譲渡所得課税の制度が適用されます。

みなし譲渡所得とは法人が不動産の遺贈を受けた際に、被相続人の不動産の含み益について所得として確定したものとみなして、所得税を支払う必要がある制度です。

この制度が設けられた理由は不動産を寿命がない法人に遺贈することで、譲渡所得が永遠に繰り延べされることを認めないためです。そのため、不動産を寄付することで、みなし譲渡所得税を請求されることとなり、法人側も対応が必要となり、負担も大きくなります。特に取得金額不明なケースなど、大きな譲渡益になる状況の場合は、納税のための現金を用意する必要がありますので、要注意です。

寄付する財産はできるだけ、取得した法人が目的のために使いやすくするために現金にすることをおすすめします。不動産を遺贈する際は、亡くなってからでは、遅いので事前にシミュレーションを行い対策を考えておく必要があります。

遺留分を侵害しないように注意

財産を寄付する遺言書を作成していたとしても、遺留分を侵害し、侵害された相続人が遺留分侵害額請求をした場合、希望通りに寄付が行われない可能性があります。財産の一覧を作成し、寄付金額が遺留分を超えない範囲で、財産の一部を寄付するようにしましょう。遺留分を超えるような金額を寄付する場合は、相続人にも詳しく説明し、考える時間をあたえたうえで遺言書を作成するようにしましょう。

相続税の申告で困ったら税理士に相談を

相続税の計算や税務署に添付する書類を作成し提出するのは、知識がない人にとっては複雑で難しい作業です。特例の要件や、評価の方法、申告に関係する書類の記載方法が分からない場合や、期限内に作業することが難しい場合は、税務のプロである税理士に相談することをおすすめします。

相続税は改正も多いため、最新の情報を持つ税理士に依頼することが重要です。紹介を受けることが難しい場合は相続税や相続税と関連が強い贈与税を専門にしている税理士法人に相談するようにしましょう。税理士のサポートを受けることで、税務調査に入られたとしても安心です。

初回の相談はサービスで無料で応じてくれる税理士も多いため、まずは気軽に相談してみましょう。

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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい