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相続財産から控除できる財産とは?

2023年10月14日

相続税の計算をする際は基礎控除を必ず差し引くことができますが、相続税がかかる場合は基礎控除以外にもさまざまな控除の制度があり、税金の優遇が認められています。当記事では相続財産から控除できる財産について解説してきます。

相続財産から控除できる財産等

相続財産から控除できる財産等にはどのようなものがあるのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

被相続人の債務

被相続人が債務や未払金を背負ったまま亡くなった場合、マイナスの財産として、相続財産から控除することができます。例えば、1億円の遺産があっても、5,000万円の借金があった場合、差し引きしたプラスの財産は5,000万円となりますので、課税対象の相続財産は5,000万円となります。

葬儀費用

葬儀費用は相続財産から控除することができます。具体的に控除できるのは遺体の運搬費用やお葬式、お通夜にかかった費用や当日の食事代などが含まれます。

仏壇・仏具の購入費用や香典返しの費用は葬儀費用として控除できませんので注意しましょう。

事情を考慮して税額を控除できる制度

相続税には所得税と同じようにさまざまな事情を考慮して税金が優遇される制度があります。利用が漏れることがないようにどのような制度があるのかそれぞれの条件や控除額の計算方法確認しておきましょう。

配偶者控除

配偶者は被相続人の財産形成にも貢献した方として、関係を考慮して相続税が大幅に軽減される制度となっています。具体的には法定相続分または1億6,000万円までは相続税がかかりません。

配偶者控除は一般的に利用されることも多い特例ですので、覚えておくようにしましょう。

未成年者控除

未成年者控除は未成年の相続人が財産を承継する際に利用できる制度です。控除できる金額は以下の計算式で算出します。

10万円×満18歳になるまでの年数

障害者控除

障害者控除は相続人が障害者である場合に、控除できる制度です。控除できる金額は以下の計算式で算出します。

【一般障害者の場合】

10万円×その障害者が満85歳になるまでの年数

【特別障害者の場合】

20万円×その障害者が満85歳になるまでの年数

贈与税額控除

贈与税額控除とは過去3年以内に被相続人から生前贈与を受けて贈与税を支払っている場合に控除できる制度です。

3年以内の贈与は相続財産として繰り戻されますので、二重課税を回避するために設けられた制度です。贈与税として支払った税金は全額控除の対象となります。

相次相続控除

相次相続控除とは10年以内に連続して相続が発生した場合に、1回目の相続で支払った税金の一部を2回目の相続の際に控除できる制度です。計算方法は以下の通りです。

【計算式】
A×C(B-A)×D/C×10-E

【当てはめる金額】
A:今回の相続税額
B:今回の被相続人が前の相続の際に取得した純資産額
C:今回の相続によって財産を取得したすべての純資産額の合計
D:今回のその相続人の純資産額
E:1回目の相続から2回目の相続までの期間

外国税額控除

外国税額控除とは外国に保有している資産などで、外国でも日本の相続税と同じような仕組みで税金を支払った場合に二重課税となることを避けるために設けられた制度です。以下いずれかの低い金額が控除されます。

①外国で実際に支払った税額
②日本の相続税額×国外財産の評価額÷相続財産の総額

非課税となる財産

財産の中には非課税となる財産があります。どのようなものがあるか確認しておきましょう。

生命保険

生命保険は非課税枠があり、法定相続人×500万円まで非課税となります。ただし、非課税枠の範囲を超えると相続税の課税対象となります。例えば、法定相続人が2人の場合は1,000万円まで非課税となります。

死亡退職金

死亡退職金も生命保険と同じく法定相続人×500万円までの非課税枠を適用することができます。

仏壇・仏具

仏壇や仏具など祭祀財産は相続税の課税対象とはなりません。ただし、純金製のものなど、換金性が高く相続税対策で特別に作られた物は相続税の課税対象として判定されるケースがありますので注意しましょう。

相続税の計算の際は控除できるものを差し引いて計算する必要がある

相続が発生すると死亡した時点の被相続人の財産の土地・建物などの不動産、金融資産などの情報を入手し、評価額を記載した一覧の表を作成する必要があります。財産の数が多く、種類も複雑な場合は時間がかかります。

上記に解説した控除できる制度を漏らしてしまうと、納税する金額も違ってきますので、しっかりと財産と控除の要件を把握して制度を活用することが重要です。

相続が発生した後でもできますが、相続が開始する前に一覧を作成しておけば相続人の負担を大きく減らすことができるでしょう。遺言書もあわせて作成するなど対策を行っておけば、実際に相続が発生した際に話し合う必要がないため、スムーズに手続きを進めることが可能です。

相続税は10ヵ月以内に、税務署に申告書を提出する必要があります。確定申告のように毎年行いものではありませんので、知識がなく、慣れていない人がほとんどでしょう。自分で対応することが難しい場合は税理士に相談することをおすすめします。

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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい