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生命保険金(死亡保険金)は相続税・所得税・贈与税の課税対象

2021年12月06日

「生命保険金を受け取ったけど、どんな税金がかかるのか分からない」と悩んでいませんか。生命保険には医療保険やがん保険、介護に関する保険など様々な商品があります。

結論から述べると、契約者・被保険者・受取人の関係で掛かってくる税金は異なります。そのため、これらの関係と税制の違いを整理することが重要です。

そこでこの記事では、終身保険や個人年金保険などの生命保険の受取時にかかる3種類の税金を紹介します。契約する者と受取人、給付金の支払方法などの契約形態によってどの税金の課税対象になるかは変わるので、ぜひ確認してみてください。

生命保険の死亡保険金にかかる3種類の税金

掛かってくる税金に関して考えるポイントは、払込を行う契約者(以下、A)・死亡や入院の時に保険の対象となる被保険者(以下、B)・保険金などを受け取る受取人(以下、C)の関係です。ここでいう契約者は、保険料を支払っていた人と言い換えられ、誰が契約者であるかによって税金のかかり方も異なります。どのような税金が掛かってくるのでしょうか。

相続税になるケース

契約者Aと被保険者Bが同じで、受取人Cが異なる場合は相続税の対象です。保険料を払っていた本人が亡くなって、法定相続人である、配偶者や子など他の人が死亡保険金を受けるケースが該当します。一般的によくあるケースと言えるでしょう。Cが相続人の場合は相続で、Cが相続人以外の場合は遺贈で取得したものと考えますので相続税の対象となります。

実際に、相続税が掛かってくるかどうかは、他の相続財産などによります。生命保険には非課税枠があり、500万円×法定相続人の数まで差し引いて相続税の計算を行います。そのため、遺産の総額が相続税の基礎控除(3,000万円+法定相続人×600万円)と非課税枠の合計以下であれば、相続税はかかりませんし、申告書を作成し、税務署に提出する必要もありません。

生命保険の非課税枠を活用したい場合は、満期がなく終身タイプの保険に加入するとよいでしょう。生命保険は保険会社や銀行の窓口で取り扱いがありますが、年数に応じて一定の利率が付くタイプのものや、外貨などで運用を行い、保険金が変動するタイプの商品があります。

契約した後は解約ができない者も多く、特に変動するタイプは元本割れする可能性もありますので、資料をよく確認し、自分のニーズにあった商品を契約するようにしましょう。

尚、死亡保険金を年金として受けとる場合、支給初年の所得税・住民税は全額掛からないことになりますが、2年目以降は1月1日から12月31日までの間に段階的に受け取った分が収入として課税部分が増加していきます。

所得税になるケース

契約者Aと受取人Cが同じで、被保険者Bが異なる場合は所得税の対象です。家族などが亡くなったときに、保険料を払っていた人が保険金を受け取る例が該当します。死亡保険金を一時金で受け取った場合は一時所得、年金で受け取った場合は雑所得として課税されます。

一時所得の計算式は、「総収入金額-支出額-特別控除額(最高50万円)」です。他に一時所得がなければ、総収入金額に死亡保険金額、支出額に払い込んだ保険料などの額を代入して計算します。

雑所得の計算式は、「公的年金等の雑所得+公的年金等以外の雑所得」です。生命保険金を年金で受け取る場合には「公的年金等以外の雑所得」に該当し、受け取った年金からそれに対応する分の払い込んだ保険料などを差し引けます。

雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。
国税庁 No.1500

贈与税になるケース

契約者A・被保険者B・受取人Cがすべて異なる場合は贈与税の対象です。夫がA、妻がB、子がCのケースなどが考えられます。

死亡保険金を年金で受けとる場合、相続税と同じく支給初年の所得税は全額掛かりません。2年目以降は、段階的に課税部分が増加していきます。

生命保険金を受け取ったら税理士に相談

いかがでしたでしょうか?今回は、生命保険の死亡保険金を受けとったときの税金について案内しました。契約者・被保険者・受取人で掛かってくる税金は異なります。相続が発生した際は、保険金の受け取りだけでなく、金融機関の口座の解約や不動産の登記などさまざまな手続きに負担がかかります。

財産の総額が基礎控除を上回る場合は、財産を取得した遺族は相続発生から10ヶ月以内に相続税の申告も必要となり、各種特例などの制度や税額の計算方法も複雑で、知識のない人のとって簡単なものではありません。

対象になる税金の種類がわからない方や、その課税金額がわからない方は、税理士に相談するとよいでしょう。

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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい