相続が発生し、被相続人の財産が基礎控除を超えている場合、死亡の翌日から10ヶ月以内に税務署に相続税の申告と納付を完了させる必要があります。相続税の計算をするために、預貯金、株式、土地、建物等、各種資産の評価額を確認し、合計する必要があります。
敷地となる土地の評価は路線価や倍率方式により評価を行うため地域により異なりますが、建物の評価はどのように確認すればよいのでしょうか。当記事では建物の評価方法について解説します。
建物の相続税評価方法
所有する建物の利用状況によって建物の評価方法は異なります。それぞれの計算方法について下記に解説します。
自分で使用している場合
自宅など自分で住んでいてる場合、売却する際の価格ではなく、固定資産税評価額を相続税計算上の評価額とします。固定資産税評価額は毎年、所有者に固定資産税納付のために送付されてくる納税通知書に記載されています。手元にない場合は役場で名寄帳を取得することで確認することができます。
建物を他人に貸している場合
貸家など建物を他人に貸して居住している場合は自分で使用することができない状況となっているため、一定額が減額されます。建物を他人に貸している場合の計算式は以下の通りです。
固定資産税評価額×(1-借家権割合)
借家権割合は全国一律で30%と定められていますので、固定資産税評価額×70%をかけて計算を行います。
アパート事業等を行い、他人に賃貸している場合
土地を活用しアパート等を建てて他人に貸している建物の例では固定資産税評価額から一定額が減額されます。計算式は以下の通りです。
固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
賃貸割合は貸している部分の床面積の合計です。例えば、500㎡のうち250㎡を貸しているケースでは、賃貸割合は50%となります。借家権割合は全国一律で30%です。
相続税対策として、アパートを建築する人も多くいますが、事前に相続が開始した際にいくらくらいの相続税となるかシミュレーションを行い検討した方がよいでしょう。また遺産の分割が難しくなる可能性があるため、遺言書の作成もあわせて検討するようにしましょう。
建築中の建物の場合
生前に契約を行っており、家屋の建築を行っている際中に亡くなってしまった場合、以下の通り計算を行います。
建築費×70%
相続税の申告は税理士に相談を
相続税の制度や計算方法や税率は複雑で、親族の中に知識がある人がおらず慣れていない人が、特例の適用可否を判断し、正確に課税される税額を算出することは簡単ではありません。相続人は不動産の登記や金融機関の手続きなどで忙しい中ではありますが、相続税の申告は法的義務があります。申告を怠った者は税務調査で調べられ加算税などのペナルティが課され、通常よりも高い税金を払うことになる場合があります。
自分で申告をすることが難しい場合は税理士にサポートを依頼することを検討してもよいでしょう。税務の専門家である税理士に相続税の計算や申告手続きを依頼することで期限内に申告を完了することができるでしょう。また、税理士に依頼することで費用はかかりますが、小規模宅地の特例など各種特例をうまく適用することで同じ財産でも相続税を減額できる可能性もあります。
相続税の計算に行く際は、まずは相続財産の一覧を作成しておくとよいでしょう。財産の一覧の表と家族構成がわかれば、相続税の計算を行うことができます。不動産の数や財産の額によって報酬が決まることが多いので、資料を提出し、事前に見積もりを依頼し、費用もチェックしてから正式に契約するようにしましょう。
知り合いから税理士をしてもらうことが難しい場合は、ホームページなどで相続税を専門的に扱っている税理士事務所・税理士法人を探してみることをおすすめします。初回の相談は無料で対応しておりますので、相続税についてお困りのことがある場合は、ぜひ広島相続税相談テラスにご相談ください。