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相続税における障害者控除とは?計算方法を税理士が解説!

2024年10月05日

相続税には相続財産の性質や相続人の事情などを考慮してさまざまな特例・控除の制度があります。多くの人が要件を満たすため、利用しているのが居住用の不動産の税額を軽減できる小規模宅地の特例と配偶者が財産を取得する財産に適用することができる配偶者控除ですが、ほかにも相続人が障害者の場合に一定の税額を控除できる障害者控除という制度があることをご存知でしょうか。

当記事では障害を持つ相続人が財産を相続する場合に利用できる障害者控除について解説します。

障害者控除の概要

障害者控除は知的障害者や身体上の障害者など障害がある方の負担を減らすために設けられている制度で、相続税の申告の際に交付されている身体障害者手帳や精神障害者保険福祉手帳、医師の診断書などを必要事項が記載されている書類をコピーして提出することで適用することができます。

障害者控除を受けるためには相続開始時に障害者であることが必要ですので、相続発生後に障害者になった場合は障害者控除を適用することはできません。

また、日本国内に住所があることが条件であり、法定相続人であることが必要ですので、第三者から遺贈を受けた場合は適用することができません。

障害者控除の計算方法

障害者控除の控除額は一般障害者と特別障害者に分かれており、さまざまな基準がありますが、等級によって定められており精神障害者の場合1級が特別障害者、身体障害者の場合は1級または2級が特別障害者と判定されます。重度の障害があると認定されている方にはより手厚く税額控除を適用するという趣旨です。

計算式はそれぞれ以下の通りです。

一般障害者の控除額:(85-相続開始時の年齢)×10万円
特別障害者の控除額:(85-相続開始時の年齢)×20万円

例えば、相続発生時点で75歳の一般障害者の場合であれば、100万円まで税額控除をすることができます。

85歳未満の方は適用することができますが、年齢が若い相続人の場合は85歳から差し引いた年数が大きくなり、障害者控除によって控除できる金額が大きくなりますので、全額を差し引いても本人の控除額が余ってしまうケースも多くあります。このような場合は扶養義務がある兄弟姉妹等、他の相続人が取得する分に利用して税額を軽減することもできます。寝たきりの親族などがいる場合には、実際に扶養義務者である他の相続人にも介護などの負担があるため、申請することで納付する税額を抑えることができる仕組みになっています。

相続税の計算は税理士に相談を

資産が多い場合は相続税の申告書の作成や各種手続きが必要です。分割の割合によって相続税も変わるので注意が必要です。

上記で解説した障害者控除は相続税申告書の第6表に書く必要がありますが、それ以外にも相続税の計算は非常に複雑で各種特例や税額控除を受けるためにはさまざまな書類を準備する必要があります。国税庁のホームページに計算方法は掲載されていますが、遺された親族の中に税金に詳しい人がいない場合は、ポイントを抑えて、相続税を正しく算出し、速やかに規定通りに相続税の申告を行うことは簡単ではありません。

また、今回ご紹介した障害者控除以外にも、未成年者控除などさまざまな特例があります。通常、特例の利用が漏れていたとしても税務署は教えてくれませんので自分で情報を得て特例を節税するしかありません。

相続税の申告は被相続人の死亡の翌日から10ヶ月と期間も短く、慣れない人には負担が大きいでしょう。また、誤った申告をした場合税務調査で指摘をされ、より多く納税することになってしまうケースもあります。

相続税の申告に不安がある場合は税の専門家である税理士に相談し、支援を依頼するとよいでしょう。初回の相談は無料で応じてくれることが多いです。税理士はまず財産と相続人を確認しますので、預貯金、株式、不動産など遺産の一覧の表と相続人関係図などの資料を持っていくとスムーズに対応することが可能です。税理士に依頼することで費用はかかりますがそれ以上に節税できる場合もあります。

できれば、生前に相談を開始し、遺言を作成するなど事前に対策を練っておけば相続発生後の相続人の負担を大きく減らすことができます。知り合いに税理士を紹介してもらうことが難しい場合はホームページで相続税に強い税理士事務所・税理士法人を検索してみるとよいでしょう。

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい