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相続人以外の人に遺贈をする際の注意点

2024年10月27日

相続が発生すると法定相続人で話し合って財産を分割することになります。

しかし、法定相続人以外の人に財産を遺したい場合は、事前に遺言書を作成しておけば亡くなった時に相続人以外の人に遺贈することができます。

相続人以外の人に遺産を渡すときにはどのようなことを気を付ければよいのでしょうか。当記事では遺贈について知っておくべき点や注意点について解説します。

遺贈をする際の配分

遺贈をする際の配分について、方法や注意点について解説します。

包括遺贈と特定遺贈

遺言による遺贈の方法は包括遺贈と特定遺贈があります。包括遺贈とはすべての財産を受遺者の遺贈するケースや受遺者2人に2分の1ずつ遺贈するなど、財産を包括して遺す方法です。一方の特定遺贈は特定の土地や建物、預貯金のうち1,000万円など、財産の一部を指定して遺す方法です。

包括遺贈で財産を取得した者は相続人と同じ権利・義務が生じますので、被相続人に借金があった場合は受遺者が遺贈を受けた後返済する義務が生じます。ただし、不動産を取得した場合の不動産取得税は包括遺贈の場合はかかりませんが、特定遺贈で不動産を取得した場合は不動産取得税がかかるので、負担が大きくなります。

受遺者と他の親族との関係や財産の内容によってそれぞれのメリットとデメリットがあるので、よく検討して決めるようにしましょう。

相続人とのトラブルに注意

遺贈をすることで、法定相続人が相続する割合は減ってしまいますので、注意が必要です。相続財産の評価額を一覧の表にして、配偶者や子供、兄弟姉妹など家族が受遺者とトラブルにならないか、よく考慮して遺贈をするようにしましょう。

配偶者や子供がいる場合は遺留分がありますので、遺言書を作成しても遺言書通りとならない可能性もあります。

場合によっては遺言を書いて遺贈をするよりも生前に贈与をした方が配偶者や子とトラブルにならないケースもありますので、対策を検討してみるとよいでしょう。また、法定相続分よりも少なくなる相続人には事前に説明しておいたほうがよいでしょう。

遺贈をする際の相続税

遺贈で財産を取得する者は相続税を支払う必要があります。遺贈で財産を遺す際の注意点について解説します。

基礎控除は変わらない

相続税の計算方法は基本的に遺贈の場合も変わりません。相続税の計算には基礎控除があり3,000万円+法定相続人×600万円で計算を行います。また、生命保険の非課税の枠(式:法定相続人×500万円)も増えることはありません。相続放棄や遺贈によって基礎控除に算入する数が増えたり減ったりすることはありませんので覚えておきましょう。

2割加算となる

相続税には一親等の親族以外の人が取得した場合は算出された額から2割加算されるという制度があります。そのため、遺贈によって財産を取得させる場合は配偶者や子供が相続するよりも課税される額が多くなります。また、不動産を登記をする際の登録免許税も相続人の場合は固定資産税評価額の0.4%ですが相続人以外が取得する場合は2%と税率が上がります。

不動産など現金化するまでに時間がかかる財産を遺贈する場合は税金を手元資金から支払う必要が生じる可能性があります。特に財産の総額が大きい場合は税率も高くなり、税負担も大きくなります。支払う義務のある納税額について受遺者が対応できるように配慮が必要となります。

孫に遺贈をする場合も2割加算の対象となりますが、代襲相続によって孫が相続人にとなっている事例では2割加算の対象外となります。

各種特例が使えない

相続税には小規模宅地の特例、障害者控除や未成年者控除等、財産を受ける側の事情を考慮して税額が軽減される制度があります。しかし、遺贈の場合には、条件に合致していてもこれらの特例を使うことはできませんので納税する金額を減らすことはできません。

特例が利用できないことによって、実際に支払う金額には大きな違いが出るケースもありますので注意が必要です。事前にシミュレーションを行って節税対策もあわせて検討しておいたほうがよいでしょう。

遺贈を検討する際は専門家に相談を

遺贈は相続税の観点からも遺産の分割の観点からも通常の相続よりも複雑になり、トラブルになるケースも多いです。遺贈を検討する際は遺言書の作成方法や分割の方法に問題がないか、税理士や司法書士等の専門家に相談をするほうがよいでしょう。

遺言の内容についても事前に専門家に相談し、作成することでトラブルを回避することができます。亡くなってからできることはすくないので、生前に確かな情報を得た上で対策をしっかりしておくことが重要です。

相続税の計算は複雑で、基礎控除を超える金額の財産がある場合は10ヶ月と短い期限内に税務署に申告書の提出をと納税を行う必要があります。

誤った申告をした場合、税務調査で指摘を受ける可能性もあります。相続発生後は名義変更等の手続きもあり、忙しいので自分で申告することが難しい場合は、費用はかかりますが税務のプロである税理士に依頼することをおすすめします。相続税について相談する際は多くの案件を行っており、相続税・贈与税の経験豊富な税理士事務所・税理士法人に相談し、サポートを受けるようにしましょう。初回の相談は無料で応じてくれるケースが多いので、電話やメールで気軽に相談してみましょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい