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相続放棄をすると代襲相続は発生しない?

2024年09月29日

相続が発生した時は遺された家族は、財産を引き継ぎするために遺産分割の話し合いや手続きを進める必要があります。

被相続人の兄弟や子供が法定相続人となる場合、既に亡くなっているとその子供が相続人となる代襲相続が発生します。

では相続放棄の場合は代襲相続は発生するのでしょうか。当記事では相続放棄と代襲相続の関係について解説します。

代襲相続とは

代襲相続とは兄弟姉妹や子供が相続人となるケースで既に亡くなっている場合にその子供が法定相続人となる制度のことです。

例えば、子供が相続人で、すでに亡くなっている場合被相続人からみると孫が代襲相続で法定相続人となります。亡くなった子の子ども(孫)が複数いる場合は既に死亡した親の分の相続権を複数で分けることになり、孫から見ると祖父母の財産を相続することになります。

例えば、配偶者が既に死亡しており、子供が二人、そのうちの一人が死亡し、その子(孫)が2人いる場合は、存命の子供の法定相続分が2分の1、代襲相続した孫の法定相続分は4分の1ずつとなります。法定相続人が増えることになりますので、相続税の基礎控除も増えることになります。また、孫が財産を相続する場合2割加算の対象となりますが、代襲相続の場合は2割加算の対象とはなりません。

兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥・姪が代襲相続をしますが、考え方は同じです。

相続放棄とは

相続放棄は民法第938条で定められている制度です。遺産相続を放棄をすると相続する一切の権利・義務を放棄し、初めから相続人ではなかったことになり、相続放棄をした者は遺産分割の話し合いにも参加することはありません。相続放棄をする際の最大のメリットは借金などマイナスの財産が多く、預貯金や株式などプラスの財産を換金しても支払いきれない場合です。

相続放棄をすることで、父母等の直系尊属が多額の借金を背負っていたとしても子ども等の相続人が返済をする必要はなくなりますので、借金が多い人の相続人となってしまった場合の対応としては有効です。借金が多いかわからない場合も相続放棄をすることで安心できるでしょう。

ただし、相続放棄をするとその後の調査で資産を一覧にしたところ財産が多いことがわかっても財産を相続することはできませんし、自宅不動産なども相続することができませんので慎重に検討する必要があります。

また、相続放棄は相続発生から3カ月以内と定められており、期間を過ぎると放棄をすることはできません。また3カ月経過するよりも先に財産を処分した場合も単純承認したとみなされて相続放棄はできなくなります。

相続放棄をすると代襲相続は発生しない

子供等がすでに亡くなっている場合、代襲相続によりその子供が相続人になりますが、相続放棄をした場合はその子供が相続人の権利が移ることはありません。

ただし、相続放棄をする際は他の相続人や次の順位の親族に事前に連絡をしておかないとトラブルに発展し、関係が悪化する事例が多いので注意が必要です。特に、借金が多いことを理由に相続放棄をするケースでは、他の相続人の負担が多くなり、問題となるケースがあります。相続放棄は原則3ヶ月以内に、家庭裁判所で必要な手続きをとる必要があり、短い期間で提出する必要があります。

そのため、他の相続人も知っておかないと、正しい判断ができず困ります。相続放棄の判断をし、家庭裁判所に申立てする時間がとれるように必ず相続放棄をすることを早めに連絡を入れることが重要です。相続放棄の連絡を取らずに相続人の間でトラブルになるケースは多くあります。

一方で相続欠格や相続廃除により相続人ではなくなっている人がいる場合はその直系卑属に代襲相続が発生しますので祖父の財産を孫が相続するケースもあります。

相続のお悩みは専門家に相談を

相続が発生すると生前に遺言が作成されていない限り、相続する権利を持つ相続人全員で誰がそれぞれ何を取得するか話し合いを行う必要があります。納得しない人が一人でもいると相続手続きが進まず、関係性が悪くなると弁護士を通じて話し合いが行われることもあります。また、相続財産が多い場合は相続税の申告も必要となります。

相続は人生で何度も経験することではありませんので、知識がないことも多く、複雑な民法や相続税法の内容や申告の手続きがよくわからないという方も多いでしょう。相続開始後は金融機関の手続きなど平日しかできない手続きも多くありますので、自分で行うことが難しい場合は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

本来自分で行うことを専門家に依頼することで、費用はかかるというデメリットはありますが、相続税の期限などもふまえて手続きをしてもらえるため、安心して進めることができるというメリットがあります。また、税金のプロである税理士に依頼することで特例などを活用し制度上認められる範囲で節税も可能ですので、かえって負担が少なるケースも多くあります。

できれば、相続が発生する前に相談し、遺言書を作成するなど対策を打っておいた方が良いでしょう。相続発生後に相談する際はなるべく早めに相談し、申告書類の作成や戸籍謄本や土地を評価するための資料の収集についてサポートを受けることをおすすめします。初回の相談はサービスで無料で応じてくれる税理士事務所・税理士法人も多いので不安がある場合はメールや電話などで問い合わせて気軽に相談してみるとよいでしょう。

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい