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事業者の相続発生後の事業税の納付はどうしたらいい?

2024年03月23日

相続が発生すると相続税の申告や金融機関の名義変更、不動産の登記・登録など財産の承継のために様々な手続きを行う必要があります。

被相続人に所得があった場合、所得税を納付するために、準確定申告が必要となります。また、事業を営んでいた場合は事業税の支払いも必要となります。

当記事では相続発生後の準確定申告と事業税の納付について解説します。

所得税の準確定申告

所得とは収入から仕入れや所得を得るために必要な固定資産税など必要経費を差し引いた金額のことです。会社員など源泉徴収により所得税を納めている人は確定申告が必要ありませんが、個人事業主などは自分で所得から経費を差し引くなど経理処理を行って、確定申告書を作成し、納税しています。

生前に払っていない所得税については、相続人に納税義務があります。所得税の準確定申告とは相続発生後に相続人が被相続人に代わって所得税を納付する制度です。通常の所得税の申告は1月1日~12月31日までの所得について翌年の2月16日から3月15日までの間に収める制度になっています。

一方で、その年に亡くなる前に課税される所得のあった場合、死亡した後、原則4カ月以内に相続人が準確定申告という手続きを行い、申告書の提出や納税等の対応を行う必要があります。

相続人が二人以上いる時は連署で申告書を提出することになります。

事業税

事業税とは個人事業主や法人の所得によって税額を計算し、事業者に納税通知書を送付し納付を義務付けている税金です。個人事業税には290万円の事業主控除が認められていますので、被相続人が事業を営んでおり、かつ、事業による所得が290万円を超えている場合は事業所得の納税通知書が送付され、相続人が納税することになります。

負担額が確定していて、未払いとなっている事業税は本人の債務として、相続税の計算上財産から債務控除の額に算入することが可能です。

事業を廃止する場合は、事業税の納付とは別に、個人事業主の廃業届出書を提出する必要があります。

相続に関するお悩みは税理士に相談を

家族が亡くなったあとは遺産分割の話し合いと同時進行で相続税や所得税などさまざまな税金の申告を期限内に行う必要があります。税金の制度は複雑で知識や経験がない人が自身の判断で行うと税務調査で指摘を受け、加算税を請求される可能性もあります。

税金の申告を自分で行うことが難しい場合は、税理士に相談するようにしましょう。費用は掛かりますが、税務の専門家である税理士に依頼することで手続きの負担を大きく減らすことができるため、平日は仕事で対応できない方も税金の申告を進めることができるでしょう。また、配偶者控除や小規模宅地の特例等の各種特例も税理士に依頼することで、漏れなく適用することができるので、税額を抑えることができる場合もあります。まずは電話やメールで気軽に問い合わせて予約してみるとよいでしょう。

税理士に依頼する際は財産の一覧や所得や経費が分かるものを持っていくとスムーズに手続きを進めることができます。不動産の評価方法や特例の適用対象となるかわからない場合は税理士にあわせて確認してみるとよいでしょう。

税理士に依頼する際は個人の所得税や相続税、相続税に関連の深い贈与税を専門に取り扱っている税理士に依頼することが重要です。相続税の申告は何度か面談することになるので、自宅からのアクセスが良い税理士事務所に相談するようにしましょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい