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どんな財産を物納できる?相続税の物納について解説!

2022年04月10日

被相続人の財産が土地・建物などの不動産が多く、相続税を納付するための現金が足らず、相続発生から10カ月の期限内に一括で支払うことができない場合があります。このようなケースでは物納という制度を使うことで、取得した不動産等で納税することが可能です。

当記事では物納をするための条件や書類について解説します。

物納とは

物納とは相続税の申告・納付をする際に現金ではなく、不動産や有価証券等で納める方法です。相続税は原則現金で一括納付、金銭で一括納付が難しい場合は、延納の申請をします。延納でも納付が難しい場合のみ、物納が認められます。あくまで、金銭で相続税を支払うことが原則であり、物納は例外的な選択肢であり、条件を満たした場合のみ利用できるということを覚えておきましょう。また、物納をする際には、相続人間で事前に遺産分割の協議を終わらせておく必要があります。

物納の要件を満たしたとしても、自分で物納する相続財産の中から自由に選ぶことが認められているわけではありません。物納の適格財産であるかどうかは順位が決められており、その順番に従うことになります。物納の優先順位は以下の通りです。

第一順位:不動産・国債証券、地方債証券・上場株式・船舶等
第二順位;非上場株式等
第三順位:動産

順位の高い財産がある場合は、順位の劣後する財産を物納できるわけではありません。また、上記の第一順位の財産であっても必ず物納が認められるわけではありません。物納された財産は国が処分し、現金化してから相続税の納付にあてることになります。そのため、遺産分割が終わっていない土地や境界が確定していない不動産や、担保権が付されている等、権利関係が複雑で売却が難しい不動産などは物納が認められない可能性が高くなります。

なお、物納時の評価額は相続税評価額となります。不動産の場合、実勢価格よりも相続税価格の方が低くなりますので、物納するよりも自分で売却して納付した方が得になるケースも多くあります。

物納は簡単に認められるわけではありません。相続が発生する前に、事前に相続税の金額を計算して、相続税を納付するための現金が足りなくなりそうな場合には、安易に物納を選ぶのではなく、事前に対策を検討した方がよいでしょう。

具体的には事前に宅地などの不動産を売却して納税資金に充てることや、生前に財産を贈与しておくことで、節税を行うことなどが対応策として考えられます。

物納の申請方法

納税義務者が物納の申請するためには納付期限までに物納申請書などの必要書類を作成し、税務署長あてに提出する必要があります。

物納を申請するための各種書類は国税庁のホームページからダウンロードすることができます。

3 様式集|国税庁 (nta.go.jp)

各種届出書のほかに、財産によって、様々な書類が必要となります。例えば、不動産であれば、登記簿謄本や所在図、公図などの資料を添付して提出する必要があります。申請書が提出されれば、現地調査などが行われ、物納に適格な財産がどうかが判断されます。物納が許可されれば、物納財産として収納されます。申請書を提出しても却下される場合もあります。却下された場合は別の納税方法を検討する必要がありますので注意しましょう。

物納を検討する際は税理士に相談を

物納は手続きに必要な書類も多く、経験がない人が10カ月以内に行うことは非常に困難です。物納が許可されるかどうかも明確な基準が示されているわけではありませんので、現地調査などによって判断されます。税務署からの情報もあり、ポイントを押さえて手続きができるのは税理士などの専門家です。

物納は、却下されると別の方法で納税する必要があり、注意が必要な納税方法です。税のプロである税理士等の専門家に相談しながら手続きを進めるようにしましょう。

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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい