相続が発生すると、相続税の申告を行う必要があります。相続税の申告を行うためにはさまざまな財産の評価を行う必要があります。課税の対象となる相続財産は現金だけでなく、不動産や貴金属類等、さまざまな種類があり、時価と相続税評価の価格が異なる場合があります。住宅等の不動産は土地と建物にわけることができますが、相続財産の中でも大きな割合を占めるのが土地の評価です。
財産を相続し、期限内に正しく申告するためには最低限の知識が必要です。今回は土地の評価方法と路線価の見方について解説していきます。
路線価とは
路線価とは国税庁が全国の各道路に定めている価格のことです。取得した土地の相続税や贈与税の計算をする際は、一般的に路線価を利用して税金の計算を行います。
路線価は国税庁のホームページで各地域の路線価が掲載されています。以下の国税庁HPでご確認ください。
財産評価基準書|国税庁 (nta.go.jp)
路線価は毎年1月1日時点の価格が7月頃に発表されます。下の図は広島市中心部の路線価図です。
上の図の道路部分に書かれている数字が路線価です。土地の評価額は、以下の式で路線価と面積を乗じることで、相続税評価額がいくらになるか計算することができます。
路線価×面積=相続税評価額
路線価は㎡あたり、千円単位ですので、500と書かれている道路に面している土地は㎡あたり500千円ということになります。500と書かれている土地を100㎡保有していた場合、100㎡×500千円=5,000万円ということになります。
路線価の横に書かれているアルファベットは土地を賃貸に出している等、貸し借りが行われている場合に用いられる借地権割合です。借地権の場合は路線価にさらに借地権割合を乗じて計算を行います。500Dの土地100㎡の借地権を保有している場合、100㎡×500千円×60%=3,000万円ということになります。借地権割合が大きいほど土地を借りている人の権利が大きいということです。
被相続人の財産が基礎控除を超えそうな場合、必ず相続人が申告の手続きを行う必要があります。相続した土地の評価がわからない場合、まずは路線価を参照してみてください。
路線価がついていない土地の評価方法は?
土地の評価は路で計算するのが、標準的な計算方式です。しかし、路線価が付されていない道路もあります。路線価が付されていない道路に面している場合、固定資産税評価額に一定の倍率をかけて計算を行います。固定資産税評価額は毎年送付されてくる、固定資産税の納税通知書か市役所や区役所などで名寄帳を取り寄せて確認することができます。
倍率は土地の場所と用途によって異なります。宅地の場合、評価が高く、田や畑、山林の場合は評価が低くなります。倍率評価は土地の状況によっても評価が異なるということを覚えておきましょう。
倍率は路線価と同じく、国税庁が作成している表をもとに計算します。倍率表も国税庁のHPに地域ごとに調べることができます。
評価が複雑な土地は税理士に相談を
土地は路線価を使うことで評価額を算出することができます。しかし、路線価だけでは正しく評価額を算出できない場合もありますので、注意が必要です。
相続した土地がきれいな形をした整形地の場合、比較的簡単に評価をすることができますが、道路に面している部分が少ない場合や、いびつな形をした不整形地、奥行があり使いにくい土地の場合、路線価だけでなく、さまざまな補正を行って課税対象となる価格を算出する場合があります。
土地の形状などの影響を受けて、売買する際の価格は大きくことなりますので、相続税の計算上の資産の価値も大きく異なります。近くの土地で同じような大きさであっても実際の価値に応じて相続税の対象となる価額も調整するのです。
補正を行うことで評価額を減額することができますが、土地の評価は複雑なものになります。管轄の税務署とも協議が必要になる場合がありますので、少しでも自分で評価することに不安がある場合は、直近の情報にも精通している、実績のある税理士等の専門家に相談し、サポートを受けながら対応するようにしましょう。
また、土地の評価は小規模宅地の特例など、各種特例を適用することで、評価額を減額することができます。評価額を減額することができれば、実際に納税する税金が減ります。減額できることを知らないまま、必要以上に高い相続税を払わないようにしましょう。