相続が発生するとあらゆる財産を相続税の課税対象財産として洗い出す必要があります。タンス預金や自宅で保管している現金は相続税の対象となるのでしょうか。当記事ではタンス預金のメリットやリスクについて解説します。
タンス預金も相続税の対象
相続税の課税対象財産はあらゆる種類の財産が対象となります。自宅に保管しているいわゆるタンス預金も相続税の課税対象財産です。そのため、相続税の申告の際は記載する必要があります。一般的に銀行や証券会社などの金融機関に預けている預貯金や株式、土地・建物などの不動産、生命保険などの相続財産について申告漏れする人は多くありませんが、タンス預金は申告が漏れるケースもあるでしょう。
タンス預金のメリット
タンス預金にはどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に確認しましょう。
すぐに使うことができる
相続が発生した後は銀行預金は凍結されますのでキャッシュカードを使っても出金することができません。タンス預金があれば臨時的にお金を使うことができますので、お葬式の費用などを支払うことが可能です。
金融機関の破綻の影響を受けない
銀行口座に預けている預金は1,000万円まではペイオフの対象となり、金融機関が破綻しても保護されます。しかし、1,000万円を超える場合、保護されませんので、破綻によって預金を失う可能性があります。
タンス預金のデメリット
タンス預金にはデメリットも多く、注意点が多くあります。タンス預金のデメリットについて解説します。
利息が付かない
現在一般的な預金は低金利でありますが、銀行預金として預けると金利があり利息がもらえます。しかし、タンスの引き出しに入れていても金利はありませんので置いている期間に1円も増えることはありません。
相続人が発見しない可能性がある
被相続人以外タンス預金について把握してない場合、家族が保管している場所がわからず探すことができない可能性があります。銀行口座に入金されてあれば通帳の残高をみれば把握することができますが、本人以外誰も現金の存在を知らずに、どこにあるかわからず放置される可能性もあるでしょう。
特に相続人が配偶者や子どもではなく、兄弟や甥・姪になる場合はいくらくらい現金が家にあるか想像がつかず、的外れな箇所を探してしまうケースが多いです。財産が基礎控除以下で申告が必要ないと考えていたら、実際に現金が出てきて慌てて申告手続きをするというケースや財産配分で大きなトラブルになることもあります。
災害・盗難にあう可能性がある
多額のお金を自宅で保管していた場合、災害や空き巣、盗難などで財産を失う可能性があります。カギがかかる金庫などで徹底して管理していても絶対に安全ということはありません。銀行に預けている場合よりも紛失の可能性はどうしても高くなってしまいます。
大きな金額であれば、リスクも大きくなってしまいます。
申告が漏れてしまうと税務署に指摘される可能性がある
税務署は過去の所得税や遺産相続の際の相続税、贈与税を支払った額を情報として持っていますので、あまりにも資産が少ない場合、税務調査を行って財産を調べる可能性があります。1億円以上保有する資産家の方は、課税対象の財産も多く調査される可能性も高いため注意が必要です。
タンス預金を相続した資金として記載せず過少申告することは節税ではなく、脱税です。万が一調査でタンス預金の申告漏れを指摘された場合、ペナルティとして加算税や延滞税を払うことになり、修正申告を行って、追徴で通常よりも多額の相続税を支払うことになります。程度の問題はありますが、本来申告すべきタンス預金を知っていたにも関わらず悪質な資産隠しであると認められた場合は高額な重加算税といわれる税金を課されることになります。
相続税の疑問は税理士に相談を
相続が発生するとまずは財産を一覧にして把握することが重要です。生前に財産をまとめて遺産分割の割合等について相続人とも話し合いを行って検討しておくのもよいでしょう。一覧があれば財産の内容と評価金額がわかるため、相続人も安心して遺産分割協議を行うことができます。
タンス預金は相続人にとっても把握しづらく、犯罪などに巻き込まれる可能性も高いなどさまざまな理由があり、避けた方が良いでしょう。税務署にばれないようにタンス預金を検討する人もいますが、国税を納めることは国民の義務であり、悪質な場合は犯罪となる可能性もありますので必ず適正な金額で申告するようにしましょう。
相続税の申告・納税期限は10ヶ月と短く、相続発生後すぐに対応する必要があります。亡くなってからすぐは税金の申告だけでなく、年金や金融機関の手続きなど関連の手続きで何かと忙しく、あっという間に時間がすぎてしまうでしょう。また、相続税の制度や仕組みは複雑で、特例や各種控除もあり、何度も経験することではありませんので、ある程度知識がないと自分で申告することは簡単ではありませんし、仕事で平日忙しい方はなかなか進めることができません。
費用はかかりますが、申告の方法や書類の書き方、相続や生前贈与、特例の活用について分からないことや不安な点がある場合は、自分で判断せず税理士に相談するようにしましょう。
税理士や税理士法人の選び方が分からない場合は相続について経験豊富な税理士を選ぶようにしましょう。税理士にも専門分野がありますので、普段から相続税の申告業務の実績がある相続の専門家に依頼することをおすすめします。
広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
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[注1]参照:国税庁:No.4158 配偶者の税額の軽減
[注2]参照:国税庁:No.4205 相続税の申告と納税
[注3]参照:国税庁:財産を相続したとき