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相続税の申告が必要かどうか微妙な場合の対処法

2025年02月23日

被相続人の財産が多い場合、財産を受け取った者は原則10ヶ月以内に相続税の申告を行う義務があります。相続税を払う必要があるかどうか微妙なラインの場合はどのように対応すればいいのでしょうか。

当記事では相続税がかかるか微妙な場合の対処法について解説します。

基礎控除を超えると相続税の申告が必要

相続税には基礎控除があり、財産を取得した相続人は基礎控除を超える部分について相続税がかかりますが、基礎控除以内の場合は相続税の申告は必要ありません。基礎控除の計算は以下の通りです。

3,000万円+法定相続人の数×600万円

基礎控除は法定相続人の人数によって決まりますが、相続放棄をした人がいたとしても、基礎控除の額は変わりません。

相続税の計算に含まれる財産は預貯金や株式などの金融資産だけでなく不動産、金などあらゆる財産が含まれます。プラスの財産の総額から借金などマイナスの財産を差し引いた金額が基礎控除を上回る場合は相続税の申告が必要となります。

また、生命保険は受取人固有の財産ですので、本来の相続財産ではありませんが、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。ただし、生命保険には非課税となる枠があり法定相続人×500万円までは非課税となります。そのため、基礎控除と生命保険の非課税額を合計した金額を超えていなければ相続税の申告は必要ありません。

基礎控除を超えるか微妙な場合の注意点

基礎控除を超えるかどうか微妙なラインの場合どのような点に注意をすればよいのでしょうか。

評価額を誤ると申告漏れとなる可能性がある

相続財産については国税庁が定めた方法により、被相続人が死亡した時点の評価額を計算します。相続税の概要や資産の評価に関する情報は国税庁のサイトで確認することができますが、不動産等の評価は複雑で、土地は路線価、建物は固定資産税評価額で行いますが知識が無い人が正確に評価を行って申告をすることは簡単ではありません。

評価の計算方法を誤っており、基礎控除を超えているにも関わらず、相続税の申告書の提出を行わなかった場合、申告漏れとなってしまいます。申告漏れとなった場合、税務調査で指摘され、加算税を請求される可能性がありますので注意が必要です。

財産の計上漏れで申告漏れとなる可能性がある

相続が発生すると相続人は被相続人が生前に保有していた財産を調査する必要があります。しかし、取引金融機関等が分からない場合、正確に取引金融機関と残高を把握して一覧にすることは意外と難しいものです。

財産の一覧を作成した時に、基礎控除を超えていないと判断して手続きを進めていたら、後から別の財産が出てきて基礎控除を超えるというケースも多くあります。

そのタイミングでは相続税の申告期限を過ぎており、延滞税というペナルティが課されるケースもありますので、最初にしっかりと財産調査を行うことが重要です。

特例を利用する場合は申告が必要

相続税には各種特例があり、要件を満たす場合はうまく利用することで節税につなげることができます。配偶者控除や小規模宅地の特例など遺産の内容や遺産分割の方法によって利用できるものは節税効果も大きく、場合によっては相続税が0円になることもあります。配偶者控除は1億6千万円または法定相続分まで、小規模宅地の特例は自宅の土地の評価が330㎡まで80%減額できる制度です。小規模宅地の特例は東京や大阪などアクセスの良い場所であれば1億円以上評価額が減額される可能性もあります。

特例を適用することで実際に相続税が0円になるため申告は不要と考える人も多いですが、特例により相続税が0円になる事例では納税は必要ありませんが、相続税の申告が必要となります。

自身の判断で誤って不要することで、税務署から指摘される可能性がありますので注意しましょう。

相続税の申告が必要か微妙な場合の生前の対処法

相続税の税額が0円であっても相続税の申告を行うことは相続人に大きな負担がかかるため、微妙なラインであれば、できれば相続税の申告が不要にしておいたほうがよいでしょう。

対処法の一つとしては生命保険の非課税枠を活用することがあげられます。基礎控除を超えている場合でも相続が発生する前に生命保険を契約し、基礎控除と非課税枠の範囲内に収まれば相続税の申告は必要ありません。

他の方法としては生前に贈与をすることによって、課税の対象となる財産の総額を減らしておくことがあげられます。贈与税の非課税枠の範囲内である年間110万円までであれば非課税で贈与をすることができるため、現金を減らすことができます。生前贈与は1人よりも2人、3人と多くの人に贈与をした方が効果も大きくなりますので配偶者や子や孫などにそれぞれ贈与することで相続税の課税対象となる財産を減らすことができます。

相続発生後は預貯金や不動産の名義変更など各種手続きで忙しくなります。事前の対策で相続税の申告が不要となれば家族の負担を軽減することができるでしょう。

また、遺言書を作成し、特例をうまく活用できるように分け方を決めておくことも重要です。特例をうまく活用できるようにしておくことで、相続税の負担を減らすことができますし、誰がどのような割合で取得するを決めて遺言に記載しておくことで、協議による親族同士のトラブルで関係が悪化することを避けることができます。

突然の相続発生に備えて早めから準備をしておくことが重要です。

判断が難しい場合は専門家に相談を

相続税の制度は複雑で、遺産相続は父母が亡くなった時くらいしか経験しないため、人生のうち何度も経験することはありませんので、知識も経験も不足していることは当然です。相続税の期限である亡くなってから10ヶ月と短い期間で判断する必要があり、不安がある場合は税金の専門家である税理士に相談するとよいでしょう。

相続税の申告が必要かどうか微妙で自分で判断することに不安がある場合は相続税を専門的に扱っている税理士法人・税理士事務所に相談することをおすすめします。

上記で解説したとおり、相続税の評価方法などを誤っており、申告漏れになる例は多くあります。自分で相続税の計算をすることが難しい場合は費用はかかりますが専門家に依頼するようにしましょう。

広島相続税相談テラスでは、相続税の申告のサポートをいたします。経験豊富な税理士が多数おりますので、安心してご相談ください。初回の相談は無料で対応しておりますので、まずはお気軽にお電話やメールでご連絡ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい