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相続税の債務控除とは?対象となるものとならないものを解説!

2023年08月01日

基礎控除を超える相続財産を保有する人の相続が開始すると相続人は、被相続人が死亡した時から10ヶ月以内に相続税の申告などの対応をする納税義務があります。相続税の計算をする際に忘れがちなのが債務控除です。当記事では債務控除について解説しますので参考にしてください。

債務控除とは

債務控除とは被相続人の遺産の総額からマイナスの財産を差し引くことができる制度です。相続税の計算をする際には金融機関に預けている預貯金や株式、不動産、金などあらゆる財産の評価額を合計し、相続税の計算を行いますが、借金などの債務は相続する者にとって負担となる分、課税対象のプラスの財産から差し引くことができるのです。

債務控除の対象となるもの

原則、債務控除が認められるものにはどのようなものがあるのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

借入金

金融機関からの借入金だけでなく、個人間で借入している場合なども債務控除の対象となります。連帯債務となっている場合も、相続発生時点で被相続人が弁済するべき部分について債務控除の対象となります。

未払の医療費等

生前に被相続人が払うべきだったもので、払わずに亡くなった場合の費用や未払金も債務控除の対象となります。入院してそのまま亡くなった場合などは医療費が未払のままになっていることも多くあります。クレジットカードで支払ったものの、引き落としが未済の情報なども確認しておきましょう。光熱費などの公共料金も債務控除の対象となります。

未払の税金

確定申告が終わっておらず、まだ払っていない所得税、住民税、固定資産税など、未払いの公租公課も債務控除の対象となります。

葬式費用

一般的に葬儀や納骨にかかる費用は債務控除の対象となります。税務申告の際に必要となりますので、領収書を保管しておくようにしましょう。

債務控除の対象とならないもの

債務であっても内容によっては債務控除の対象外になるものがあります。債務控除とならないものとその理由を以下に解説していきますので、確認しておきましょう。

墓地・墓石・仏壇・仏具の未払代金

墓地・墓石・仏壇・仏具は相続税の課税対象財産に含まれません。そのため、購入代金が未払で相続人が支払うことになっても債務控除には該当しません。

保証債務

保証債務とは債務者が返済をしない場合に、代わりに法承認が返済する責任がある債務です。保証債務はあくまで、主たる債務者が返済できなかった範囲で負う債務ですので、保証債務は債務控除の対象ではありません。

ただし、主たる債務者が返済不能であることが確定している部分については債務控除の対象となります。

団体信用生命保険のついたローン

団体信用生命保険とは住宅ローンなどの債務者が亡くなった際に、保険金で全額返済する生命保険です。団体信用生命保険がついている場合、債務を相続人が引き継ぐことはありませんので、債務控除は適用できません。

遺言の執行費用

遺言の執行を依頼している場合、執行に対する費用がかかります。執行にかかる料金はあくまで相続発生後に必要となる費用ですので、債務控除の対象とはなりません。

債務がある場合の注意点

債務がある場合にはどのような点に注意をすればよいのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

プラスの財産とマイナスの財産がどちらが大きいか確認する

被相続人が大きな借金を抱えていて、プラスの財産の金額よりもマイナスの財産の金額の方が大きいケースもあります。マイナスの財産が存在する場合、しっかりと金額を確定し、状況によっては相続放棄も視野に入れて検討した方がよいでしょう。

相続放棄の期限は相続発生から3ヶ月ですので、いくらくらい債務があるか早めにチェックしておく必要があります。

誰が承継するか決めておく

債務がある場合は遺産分割の際に誰が承継するか、できれば生前に遺言書を作成し残しておくなどの対策をしておいた方がよいでしょう。節税対策として賃貸用の土地・建物を購入するためのローンなどであれば、その不動産を取得する人にあわせて引き継ぐのが一般的です。事前に取得する割合を決めて相続発生後に親族間で揉めて関係が悪化しないようにしておきましょう。

また、債務を引き継ぐ際は返済計画をシミュレーションしておくことも大切です。亡くなる前に準備をして契約内容などの説明をしておくことで相続人の負担を軽減することができます。

相続人ではない人が財産を遺贈された場合、債務控除が適用できない

財産の遺贈の方法には包括遺贈と特定遺贈があります。包括遺贈とは財産を包括して遺贈することで、債務も当然に受けることになります。一方特定遺贈は財産を指定して遺贈することになります。そのため、相続人以外の人で財産を遺贈された受遺者は債務控除を利用することができません。

相続税は税理士に相談を

相続税は被相続人が亡くなってから確実に10ヶ月以内に申告と納付を完了させる必要があります。限られた時間で計算方法や特例の条件も複雑で、知識がなく自分で書類を作成することが難しい場合と判断した場合は早めに税理士に相談した方が良いでしょう。財産の申告漏れや計算ミスがあり、少ない税額を支払っていた場合、税務署から税務調査で指摘され、加算税を請求されるケースもあります。また、延滞した場合も通常よりも多く納税する必要がでてきます。

初回の相談は無料で行っているケースもありますので、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。税理士に相談をする際は財産をまとめて一覧にして持っていくと、報酬の見積もりなどもしてもらえるため、スムーズに相談を進めることができます。

税理士にも専門分野がありますので、相続税の申告をする際は相続税と相続税に関連がある贈与税に詳しい税理士事務所や税理士法人に依頼するとよいでしょう。

広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい