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相続税の申告はしないとペナルティが課される?

2024年08月11日

被相続人の財産が基礎控除を超え、相続税の申告が必要となる場合、被相続人が死亡した翌日から10ヶ月以内に必ず申告書類の提出と必要な税額の納税を完了する必要があります。

しかし、通常必要となる申告を怠った場合、どのようなペナルティが課されるのでしょうか。当記事では相続税の申告を怠った場合や過少に申告した場合のペナルティについて解説します。

相続税のペナルティの種類

相続税には様々なペナルティがあります。状況別にどれくらいのペナルティや罰金が課されるか確認しておきましょう。

申告期限に遅延した場合

被相続人が亡くなった翌日から10ヶ月以内の相続税の申告期限に遅延した場合は遅延した期間に応じて以下の延滞税が課されます(令和6年時点)。

法的納付期限の翌日から2カ月以内:2.4%
法定納期限の翌日から2カ月経過後:8.7%

延滞税は支払いが遅れたことに対する利子のようなものです。なるべく早く納付する必要があります。利子税は金利情勢により毎年変更となる可能性がありますが、国税庁のホームページで最新の情報を確認することができます。

過少申告をした場合

相続税の申告を行ったものの納付するべき税額よりも少なかったことが税務調査により発覚した場合、以下の過少申告加算税が課されます。

税額が50万円以下の部分:納付すべき税額×10%
税額が50万円超の部分:納付すべき税額×15%

なお、自分で誤りに気づき速やかに修正申告を行った場合は過少申告加算税は課されません。

申告を怠った場合

申告を怠った場合は無申告加算税が課されます。無申告加算税は以下の通りです。

税務署の通知前に自主的に申告した場合:納付すべき税額×5%
税務署の調査後に申告した場合(50万円以下の部分):納付すべき税額×15%
税務署の調査後に申告した場合(50万円超の部分):納付すべき税額×20%

上記のとおり、申告を怠った場合は本来の納付すべき税額に加え無申告加算税を課されることになります。また、延滞税もあわせて課されることになりますので、重い負担となるでしょう。

財産を意図的に隠ぺい・偽装により申告怠った場合

相続発生直前に預金を引き出して、現金をタンスに隠すなど意図的に財産を隠ぺい・偽装し低い金額での申告や無申告であった場合、以下の重加算税が課され、重い税率が適用されます。

財産を隠ぺい・偽装し、過少申告をした場合;納付すべき税額×35%
財産をぺい・偽装し、申告を怠った場合:納付すべき税額×40%

財産を隠ぺい・偽装をし過少申告をした場合や無申告の場合、非常に重い税率で課税されます。また、財産があることを知っておきながら悪質な隠ぺいを行った者に対しては税金の罰則だけでなく刑事罰が課される可能性もありますので絶対にやめましょう。

税務調査でバレる理由

相続税の申告義務があるにも関わらず、申告を行わない人や財産を隠す人は税務署からばれないだろうと考えている方が多いでしょう。

しかし、近年の税務調査ではシステム化されており、税務署から目を付けられる可能性は非常に高いです。税務署は土地や建物の固定資産税や所得税、家族から過去に遺産を受け取った際の相続税などのデータを把握しています。

過去にいくらの税金を収めたかを確認することでその人が得た収入や承継した財産がわかるので死亡時点の資産状況を推測することが可能となります。そのため、財産が多い可能性が高い人が過少申告や申告漏れであった場合、脱税を疑われる可能性が高いのです。どのような基準を設けて運営しているかは公開されていませんが、税務署は過去の履歴などを確認し、調査に入るか判断しています。一度調査に入ることが決定されると徹底的に調べられますので、初めから誤りがないように申告をすることが大切です。

相続税の申告は国民の義務ですので、原則通りしっかりと納税をするようにしましょう。

相続税のお悩みは税理士に相談を

相続発生後は遺産分割の話し合いのあと金融機関の名義変更や不動産の登記など様々な手続きを行う必要があり、10ヶ月という期限はあっという間に過ぎてしまうでしょう。また、土地・建物など不動産等の財産の評価額の確認、小規模宅地の特例や配偶者控除などの各種特例や控除を活用する条件や実際に支払う金額の計算方法も知識がない人にとっては簡単ではありません。仕事などで忙しく自分で申告書の提出を行うことが難しい状況の方も多いでしょう。

自分で期限内に申告することが難しい場合は税の専門家である税理士に相談し、サポートを依頼することをおすすめします。税理士に依頼することで、費用はかかりますが、財産の評価額の調査や申告書の作成などをお願いすることができます。また、もし税務調査に入られたとしても対応をお願いすることができ安心です。

税理士に支払う料金は資産の内容や額によって決まることが多いです。初回の相談は無料で応じてくれることが多いので、まずは資産に関する資料を見せてどれくらいの費用がかかりそうか気軽に確認してみるとよいでしょう。

また、相続発生前に準備をしておくことも大切です。預貯金をどこに預けているかなど、被相続人の財産が分からずに、法定相続人が調査に苦労するというケースも多くありますので、生前の対策として、財産の一覧を作成しシミュレーションを行うことや、遺言書の作成などの準備を事前に行うことで遺産を受ける相続人の負担を軽くすることができます。

相続税法は税制改正も頻繁に行われており、税理士にも専門分野がありますので、相続税や贈与税の申告実績が豊富な税理士事務所・税理士法人を利用することをおすすめします。知り合いから紹介してもらうことが難しい場合はインターネットで検索して情報を集めてみると良いでしょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい