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相続税におけるみなし相続財産とは?

2024年08月10日

基礎控除を超える財産を保有する方の相続が開始すると財産を受ける権利のある相続人は預貯金、株式、不動産、金や絵画や骨董品等あらゆる財産について評価を行い、借金などの債務を差し引いたうえで相続税の計算を行う必要があります。

本来の相続財産には含まれないものの、相続財産とみなされて被相続人の課税対象の財産に含めて申告と納税をする必要がある財産があることをご存知でしょうか。

当記事ではみなし相続財産の範囲や取り扱いについて解説しますので参考にしてください。

みなし相続財産とは

みなし相続財産はさまざまな種類に分けることができます。それぞれの概要について解説します。

生命保険の死亡保険金

生命保険の死亡保険金は被相続人があらかじめ受取人を指定しておき、受取人として指定された者の固有の財産として受け取ることができるため本来の相続財産ではないものの、生前に被相続人が被保険者兼契約者となり保険料を支払い、遺された人が金銭を受け取ることになるため、極めて相続財産に近いものとして税法上はみなし相続財産となります。

ただし、課税対象とはなりますが、生命保険には非課税枠があり、法定相続人の数×500万円までは非課税となりますので、受け取り額が非課税枠の範囲内であれば相続税を支払う必要はありません。また、相続財産と生命保険の金額が基礎控除と非課税枠を合計した金額以下であれば、相続税の申告も免除されます。例えば、相続人が2人の事例では基礎控除が4,200万円、生命保険の非課税枠が1,000万円となりますので、合計5,200万円までは非課税となります。

非課税枠があることで実際に支払う税額も減るため、活用するメリットも大きいです。そのため、相続税対策として保有している現金の一部について保険の契約を行っておいてもよいでしょう。生命保険は簡単な手続きで受け取ることができ、保険金を受け取ってから定期的に個人年金として受け取ることもできるため、遺された配偶者の生活資金を確保することも可能です。

途中で解約すると解約返戻金が支払った保険料を下回ることも多いので、商品の内容を保険会社によく確認したうえで契約するようにしましょう。

死亡退職金

死亡退職金とは勤めている企業などの勤務先から死亡時に支払われる退職金にあたるお金のことで配偶者や子、親などの親族に会社で規定されている一定額が支払われるものです。

死亡後3年以内に支給されるものについては死亡退職金としてみなし相続財産となります。死亡退職金にも生命保険と同様に非課税枠があり、法定相続人×500万円までは非課税となります。

なお、死亡後3年後以降に支払われたものについては所得税の課税対象となります。

生前贈与をされた資金

相続が発生する直前に贈与された資金についてはすでに相続人の資産となり相続財産とは異なるものの、税法上は相続財産に加算され相続税が課されます。

従来の制度では暦年贈与により相続発生前3年以内に贈与された金額について相続税の課税対象となっていましたが、令和6年以降は相続税改正により、加算される期間が死亡前3年から7年へと延長されています。

基礎控除により年間110万円までは非課税で受け取れるものの、贈与後に亡くなってしまった場合、遺族が申告に含める必要があるため注意が必要です。

みなし相続財産の特徴

みなし相続財産にはどのような特徴があるのでしょうか。本来の相続財産との違いや注意点を解説します。

相続放棄をしても受け取ることができる

みなし相続財産は本来の相続財産ではありませんので、放棄をしていたとしても受け取ることが可能です。ただし、相続放棄をした人が生命保険の死亡保険金や死亡退職金を取得した時は非課税枠は適用されませんので注意が必要です。

遺産分割の対象外

みなし相続財産は遺産分割の対象外となります。民法で定められている遺産相続の法定相続分や遺留分の算定も原則対象外となります。ただし、生命保険により財産の大半を一人の相続人に遺そうとした事例では遺留分の算定対象とするという判例が出たこともありますので、注意しましょう。

保険契約で一人に多額の財産を承継することとした場合、不公平となってしまい遺産分割協議の際に家族間でのトラブルになり関係が悪化することを避けるため他の財産を誰に何を遺贈するか決めておき、遺言を書いておくなど対策を検討しておくとよいでしょう。

相続税の申告のお悩みは税理士に相談を

相続が発生した時点の被相続人の遺産が基礎控除を上回る金額となるケースでは、税務署へ相続税の申告が必要となり、相続税を期限内に支払わなければいけません。

遺産分割の話し合いや不動産の登記など他に対応することがある中で相続税を申告するために土地や建物の評価や各種特例の判断、税金の計算をすることは、税務の知識がなく慣れていない人にとって簡単ではありませんので非常に負担のかかる作業です。

誤った申告をすれば税務調査で指摘を受け、加算税を請求される可能性もありますので自分で申告を行うことが難しい場合は税のプロである税理士に依頼することを検討してみてもよいでしょう。税理士に依頼することで、期限を守って確実に申告をすることができ安心ですし、特例も間違えなく利用することで節税になる場合もあります。

税理士に支払う報酬は財産の内容や額によって決まることが多いです。初回の相談は無料で応じてくれることが多いので、まずは財産の資料をまとめて一覧の表を作成し、見積もりをもらってから正式に契約すると良いでしょう。

相続税法は税制改正も頻繁にありますので、税理士に相続税の計算や書類の作成を依頼をする際は最新の情報を持ち、相続税や贈与税の実績が豊富で専門的にに扱っている税理士事務所・税理士法人にサポートを依頼するようにしましょう。

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい