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相続税の配偶者控除とは?配偶者控除で相続税が0円になる時の注意点を解説!

2024年07月30日

相続税の計算をする際に配偶者が財産を引き継ぐと大幅に税金の優遇がある配偶者控除という制度をご存知でしょうか。配偶者控除を利用することで多くの場合、配偶者は税金を支払わずに遺産を受け取ることができます。

しかし、配偶者控除にはデメリットや注意点もあり、しっかりと理解して適用する必要があります。当記事では配偶者控除の概要や注意点についてわかりやすく解説しますので参考にしてください。

配偶者控除とは

配偶者控除とは遺産分割で配偶者が取得した分については1億6,000万円または民法で定められた法定相続分以内であれば税額が0円となる制度です。

相続税はまず、被相続人が死亡した時点で保有していた不動産や預貯金、株式、生命保険等のプラスの資産の合計から、借金などの債務を差し引いた正味の財産から基礎控除を差し引いた後、法定相続通りにわけたものと仮定して、それぞれの税率をかけあわせたものの合計金額を実際に取得した金額に応じてそれぞれが負担する仕組みとなっています。

配偶者控除を利用することで配偶者が本来支払う分については配偶者控除により相続税が軽減されます。ただし、遺産相続発生時に婚姻関係である必要がありますので、離婚している場合や内縁関係の場合は遺贈を受けたとしてもどちらも配偶者控除を適用し、相続税を減額することはできません。

配偶者控除の注意点

配偶者控除は軽減効果も大きく、多くの人が利用しています。しかし、注意点もよく理解して適用する必要があります。配偶者控除の注意点について確認しておきましょう。

税額が0円でも申告が必要

配偶者控除は控除額が大きいため、基礎控除(式:3,000万円+法定相続人の人数×600万円)を超える財産を保有していても結果的に相続税が0円になります。相続税が0円になると申告書を提出しなくていいと考える人も多いですが、財産を受ける者は特例により税金が0円になる場合も申告が必要です。

納税はありませんが、基礎控除を超える場合は相続税が0円でも被相続人が亡くなった翌日から原則10カ月以内に税務署に申告書を提出する義務があります。期限が短いので、相続発生後すぐに準備を行わないと期限内に完了できないので注意しましょう。財産の総額が基礎控除以下の場合は非課税で財産を受け取ることができ、相続税の申告も不要です

二次相続で負担が大きくなる

相続人が配偶者と子どもの場合、配偶者1人に多く残すことで、配偶者控除を最大減使うことができるため、相続税を安くすることができます。配分の割合によっては全くかからないこともあるでしょう。

しかし、配偶者に財産を遺すことで、その後配偶者が亡くなった時に課税される相続財産が多くなり、節税をするつもりが結果的に一次相続と二次相続トータルの相続税の高い金額を払うことになるケースがあります。

配偶者控除をどの程度利用するかは資産の金額や相続人の数によって決まるので、一次相続と二次相続のシミュレーションをしてみないとわかりません。また、居住用の土地に使うことができる小規模宅地の特例など他の特例の要件もふまえて、かかる税金を計算する必要があります。場合によっては配偶者が相続放棄をしたほうが良いケースもあるでしょう。

相続税の概算を計算をするためには財産の評価や特例の適用可否の判断を行う必要があります。そのため、不動産の数が多い場合など、内容が複雑で自分で計算することが難しい場合は税理士に相談することをおすすめします。

実際に被相続人が亡くなってからはさまざまな手続きがあり、対応で忙しくなるので、できれば生前に分割のシミュレーションを行っておき遺言書を作成したり、相続人に説明しておくなど先に対策をうっておくとよいでしょう。

配分を決定しておく必要がある

配偶者控除を活用し、相続税の控除を受けるためには、相続税の申告前に相続人全員で遺産分割協議を行って、必ず配分を確定しておく必要があります。

相続発生後は戸籍謄本の収集や不動産の登記、金融機関の名義変更などさまざまな手続きを同時進行で進めていく必要があります。

また、相続人同士が遠方に住んでいる場合は、近くに住んでいる場合と比べて協議を頻繁に行うことができませんので配分の方針を決めることに時間がかかります。もし、兄弟姉妹で配分についてもめるようなことがあれば、更に時間がかかってしまいます。期限内に申告できるように、遺産分割の配分を決めておかないと税額控除を使えないので、早めに準備しましょう。

相続税の申告に不安がある場合は税理士に相談を

相続税は計算も複雑で申告をするためにさまざまな書類を作成し添付資料を準備する必要があります。誤った金額で申告を行い税務調査で指摘された例では修正申告を行う必要があり、多額の加算税を請求される可能性がありますので手続きは慎重に行う必要があります。。

課税対象となる財産の評価額の確認方法や各種特例の概要、計算方法は国税庁のホームページに記載されていますが、一般の人が短い期間で相続税の申告をすることは簡単ではありませんし、負担がかかります。

知識がなく遺された家族が自分で申告をすることが難しい場合は税の専門家である税理士に相談するようにしましょう。相続税や相続税に関連する贈与税は税制改正も頻繁にありますので、相続や贈与を専門に業務として扱っており、実績が豊富で最新の情報を持つ税理士事務所・税理士法人にサポートを依頼することで安心して進めることができます。

実際に申告を依頼した場合は費用がかかりますが、初回の相談は無料で応じてくれることが多いので、財産の一覧をまとめた表を準備し、電話やメールなどで問い合わせをして相談に行ってみるとよいでしょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい