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外国に住んでいる人の相続税はどうなる?

2023年09月28日

基礎控除(3,000万円+法定相続人×600万円)を超える財産を保有している人が亡くなった場合、相続税の申告と納税が必要になります。税制は国際的に統一して一律の課税がされているわけではありません。国によって異なる制度となっていますので、その国の税制に従う必要があります。

現在の日本の相続税の税率は世界の主要国と比較しても、高い水準にあります。そのため、相続財産の合計額が大きい富裕層の中には、相続税の金額が大きくなることを避けるために海外に財産を移転し、日本の相続税の課税を避けたいと考えている人も多いでしょう。被相続人が海外に移住していたり、海外に財産を保有していたりするケースも多くあります。このようなケースでは日本の相続税はどのように申告すればよいのでしょうか。

当記事では海外に移住している場合や資産がある場合の相続税について、ケース別に以下にポイントをおさえて解説していきます。

海外に居住している被相続人が日本で財産を所有しているケース

日本国内に土地などの財産がある人が海外に移住後、亡くなった場合でも、国内に財産がある限り必ず日本の税制に従って税金が課税されます。

被相続人のみが海外に住んでいる場合も、被相続人、相続人ともに海外に移住している場合でも日本の相続税は掛かりますので注意しましょう。

また、相続人が海外に居住しているケースでは、日本の収益不動産を引き継いだ場合、所得税の申告も毎年必要になり、手間が多くなります。

日本に居住している被相続人が海外の資産を保有しているケース

日本に居住している人が亡くなり、海外の不動産や海外口座の預貯金を相続した場合、海外の資産についても日本の相続税が課されます。

財産の配分も日本の法律通りに行う必要があります。ただし、海外の資産はその国のルールに従う必要があります。例えば、アメリカではプロベートといわれる検認手続きを経て財産を配分する必要があります。

海外資産の相続は資産の評価など、対応に時間も手間がかかります。短い期間で申告手続きを完了させる相続税の申告において、相続人となる配偶者や子には、想像以上に大きな負担となります。必要のない財産であれば生前に処分を検討してもよいでしょう。

海外に居住している被相続人が海外の資産のみ保有しており、相続人が日本に居住しているケース

居住国にのみ財産を保有している人が亡くなって、日本に住んでいる相続人が遺産を承継した場合、日本の相続税はかからないと考えている方も多いです。

しかし、実際には被相続人が国外に住んでいたとしても、家族が日本に居住しているなら、海外の資産を取得していても、日本の相続税を納付する必要があります。このケースは、海外資産については、日本の相続税は非課税だと勘違いし、申告漏れになるケースが非常に多いため注意が必要です。

被相続人・相続人ともに海外に移住しているケース

被相続人・相続人ともに海外に移住しているケースでは相続発生前10年以内に、被相続人・相続人のいずれかが日本に住所を有していた場合、海外の資産についても日本の相続税の対象となります。

一方で10年以内にいずれも日本に住所を有していなかった場合は日本国内の財産のみ課税対象となります。被相続人・相続人いずれも海外に居住しているケースでは、移住の時期が重要となります。

外国税額控除が適用できるケースもある

海外に遺産があり、その国の制度で課税がされていた場合、日本の相続税と二重課税の負担を避けるという考え方があり、外国税額控除という特例を利用して、該当する場合は税額を控除することができます。

外国にはシンガポールやオーストラリアなど日本と異なり、相続税に類似する制度がそもそもない国もありますので、各国の制度をよく確認しておくようにしましょう。外国税額控除については今後税制改正がある可能性もありますので、相続発生時に制度の概要について確認するようにしましょう。

海外が絡む相続税は税理士に相談を

上記のように海外が絡む相続が発生すると非常に複雑な手続きが必要となります。税務の知識がない人が自分で申告をすることは難しいため、専門家である税理士に依頼して申告を間違えなく行うことを目指したほうがよいでしょう。

税務署による税務調査で申告漏れや誤りを指摘されると加算税が課されるケースもあります。税理士に依頼する場合は相続税の申告実績が豊富な税理士事務所・税理士法人に依頼するようにしましょう。初回の相談は無料で行っている税理士も多いため、まずは気軽に相談してみましょう。

生前に、相続対策をする際も的を得た対策を行うために、財産の一覧の表を作成し、税理士に相談することをおすすめします。

広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい