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家を相続しても相続税がかかる?

2023年03月21日

相続が発生すると葬儀を執り行い悲しみに暮れる間もなく、相続財産を引き継ぐために様々な手続きを行う必要があります。中でも相続税の申告手続きは簡単ではありません。

相続する財産の内容の中には生活に必ず必要なものもあるでしょう。例えば居住している自宅の土地・建物は同居をしている親族にとって必要なものですので、家を相続することで分割したり、高額の税金をとられたりすると困るでしょう。

当記事では自宅を相続する際の相続税について解説しますので参考にしてください。

相続税がかかるか否かの判定方法

自宅を相続する際に相続税がかかるのか否かは相続人や課税の対象となる財産によって異なります。民法や相続税法など、関連する情報や注意するべきポイントを解説していきます。

基礎控除を超えるか

自宅の相続で相続税を超えるか否かを確認する際にはまず、課税対象となる遺産の総額が基礎控除を超えそうかどうか確認することが重要です。

基礎控除は以下の式で算出します。

3,000万円+法定相続人の人数×600万円

例えば、死亡した被相続人の法定相続人が配偶者と子供2人で法定相続人が3人の場合は4,800万円が基礎控除額となります。被相続人名義の金融資産や不動産などすべてのプラスの財産をあわせて債務などマイナスの財産を差し引いた相続財産の全体の合計が基礎控除以下の場合は相続税はかからないため、申告も必要ありません。生命保険を契約している場合は別途法定相続人1人につき500万円を差し引いて計算することができます。

遺産総額を把握するためには、取引している金融機関等を特定し、財産をひとつずつ評価する必要があります。自宅の不動産の敷地部分となる土地は1㎡あたりの価格を路線価でかけあわせる方式で計算します。同じ面積であれば土地が東京など主要都市に近くアクセスが良ければ、財産的な価値も高いという理由で相続税評価の土地の価値も高くなる傾向にあります。実際には奥行がある土地や不整系の土地、大きな土地、道路付けによって補正が入る場合があります。路線価図は国税庁のサイトで確認することができます(国税庁ホームページ)。計算式は以下の通りです。

路線価×面積

路線価が付されていない土地の場合は倍率方式で評価し、固定資産税評価額×倍率で計算を行います。倍率は地域ごとに定められており、国税庁ホームページで確認することができます。

家屋も市区町村から所有者あてに送られてくる固定資産税の納税通知書に書かれている評価額で確認することができます。所有していた不動産がいくらくらいの価値となるか確認しておきましょう。

マンションの場合も土地部分と建物部分を分けて評価することができますので、考え方は同じとなります。

配偶者に財産を遺す場合

基礎控除を超える場合でも配偶者に一定の財産を遺す場合は配偶者控除を適用することによって税金がかからないケースがあります。配偶者控除は配偶者が相続した財産の1億6千万円または法定相続分の範囲内であれば、税金が控除され、非課税で相続することができます。そのため、少なくとも財産が1億6千万円以上ある資産家の方でなければ、配偶者が相続しても税金はかからない仕組みとなっているのです。

配偶者が相続することで、節税になりますが、配偶者から子どもなどに相続する際の二次相続で多くの税金がかかる場合がありますので、二次相続もふまえて遺産分割を行う必要があります。

また、配偶者控除を活用することで、相続税が0円になる場合、納税の必要はありませんが、相続税の申告手続きは必要です。相続税がゼロとなり支払わなくてよいため、申告は不要と判断する人も多くいますが、申告を忘れないようにしましょう。

申告手続きの方法が分からない場合は税理士事務所等で相談しましょう。

小規模宅地の特例を利用する場合

同居して一緒に住んでいた配偶者や子などが相続により権利を引き継ぐケースで、住宅を相続する場合や事業用不動産を取得するなど条件を満たす場合、土地について評価を減額することができる小規模宅地の特例を利用することができます。自宅の土地を小規模宅地の特例を利用して相続することで最大330㎡まで評価額を80%軽減することが認められています。

要件は複雑ですが、特例の条件に該当すれば、小規模宅地の特例を用いることで、課税対象の財産が大幅に減り、実際に支払う税額を抑えることができるため、とてもメリットも大きい特例です。ただし、小規模宅地の特例の節税効果で相続税が0になるケースでも、特例を諒する前の財産額が基礎控除を超えるなら相続税の申告が必要です。

自宅を相続する際の注意点

自宅を相続する際にどのような点に注意すればよいのでしょうか。確認しておきましょう。

自宅以外の財産も誰が相続するかを決める

自宅に被相続人と同居をしている場合、同居をしている家族が相続することがほとんどです。しかし、自宅以外の財産については話し合っていないことも多くあります。

例えば、相続人が子ども二人で評価額3,000万円の自宅と金融資産3,000万円がある場合、法定相続割合通りに2分の1ずつ相続した場合、自宅を相続した子どもは金融資産をもらわないということになります。相続税は現金一括で納める必要があるため、不動産のみ相続した場合、自分のお金で相続税を支払う必要があります。相続税の金額が大きい場合、相続人の負担も大きくなります。

少しでも現金を遺したいと考えるのであれば、相続人全員で遺産分割協議をさせるよりもトラブルにならないように生前に遺言書を作成するなど、それぞれの事情を考慮しては事前に配分を決めておくほうが良いでしょう。遺言では一部の財産についてのみ誰に相続させるか書いておくこともできます。さまざまなパターンがあるので、シミュレーションを行ってから被相続人の意思で各人が納得して取得できるように財産を確定させることが大切です。

配分を検討する際はまずは、対象となる財産を一覧の表にして評価額を確認してから検討を行うようにしましょう。適切な配分があるわけではなりませんが、預金や不動産など財産の一覧を作ることで、全体像がわかるので、スムーズに方針について検討し、適切な分け方について話し合うことができます。

場合によっては毎年の非課税枠の範囲で生前贈与を行って先に財産を子や孫など次の世代に財産を遺しておくという方法もあります。

共有はできるだけ避ける

不動産を相続する際にできるだけ避けたいのが共有です。実家を承継する際に不動産の評価が大きい場合、平等に分けるために子ども二人で共有で相続することもあります。

しかし、それぞれの状況が異なりますので、共有にすると、後々のメンテナンスや売却時に意見があわず揉めるケースも多くあります。

相続放棄をしない場合、遺留分などの問題で共有にせざるを得ない場合もあります。しかし、共有にすることで、自分だけの資産ではなくなり、単独では売却できないなどデメリットも大きく、できるだけ共有は避けた方がよいでしょう。他の相続人との関係が良くいない場合や不動産の数が多い場合は特に注意が必要です。

不明点がある場合は税理士に相談を

相続税の申告手続きは特例などもあり、制度も複雑ですが、財産を受け取る者のうち誰かが代表して手続きを進めていく必要があります。相続税の申告は原則被相続人が亡くなった翌日から10ヶ月以内と期限も短く、一般的に知識や経験のない人は専門家のサポートを受けないと難しいものです。

相続開始後は財産を評価のうえ、税率を確認して課税価格を算出し、相続税を申告するだけでなく、不動産の登記や年金事務所などへの書類の提出、預貯金や株式、投資信託など有価証券の名義変更など、短い期間で様々な手続きをする必要がありますが、税務のプロである税理士に依頼すれば安心です。

費用はかかりますが、相続や贈与の申告を業務として取り扱いを行っている税理士事務所・税理士法人に添付書類の準備、申告、納付までまとめて依頼すると安心です。申告を間違った場合や怠った場合には税務署による税務調査で指摘される加算税として多額の納税額を請求される可能性もあります。

初回の相談はサービスで無料で行ってくれる例もありますので、疑問や不安な点がある場合は、電話やメールでまずは気軽に問合せしてみるとよいでしょう。税理士にも専門分野がありますので、相続税や贈与税の実績が豊富な税理士に相談することをおすすめします。

広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
税理士選びにお困りなら、無料相談でお気軽にご相談ください!

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい