事前の対策として遺産分割の協議をしなくても財産を分けられるように被相続人が生前に遺言を作成していた場合、相続が発生した際に遺言に沿って手続きをすることを遺言執行といいます。
遺言執行をするためにはさまざまな費用がかかります。遺言執行にかかった費用は相続税の計算上財産から控除することができるのでしょうか。当記事では遺言執行について解説します。
遺言執行とは
遺言書には遺言を執行する者を定めることができ、相続が発生した後に誰が手続きをするかを決めることができます。
執行者は民法で定められている法定相続人を指定することもできますし、相続人の負担を軽減するために司法書士や弁護士、税理士などの専門家を指定することもできます。遺言を執行するためには不動産の登記費用や、自筆遺言の場合、家庭裁判所での検認の費用等の実費がかかりますが、専門家に依頼する場合は報酬も支払う必要があります。
遺言執行費用は債務控除の対象外
遺言執行にかかる費用は、亡くなった後に相続税の申告をする際に債務控除の対象になると考える人も多いかもしれませんが、実際には債務控除の対象にはなりません。
債務控除の対象となる債務は相続開始の時点で現に存するものと法律で規定されており、執行費用は相続人が負担するべきものであり、相続開始後に発生する費用であることを理由に、執行にかかった金額は債務控除の対象とはならないのです。
相続税のお悩みは税理士に相談を
被相続人の財産が基礎控除を超える場合は財産を取得する人は相続税の申告をする必要があります。
相続税の計算は複雑で、預貯金の名義変更や生命保険等の手続きで忙しい中で慣れてない人が相続財産の評価や税金の計算をすることは簡単ではありません。また、期限も死亡の翌日から10ヶ月以内と短いため、相続発生後すぐに遺産を調査し、期日を管理しながら手続きを進める必要があります。また、誤った申告をすると税務署から指摘され加算税を請求される可能性があります。
基本的な相続税の計算方法は国税庁のサイトに記載されていますが、自分で申告することが難しい場合は、税の専門家である税理士に依頼するとよいでしょう。相続税法は特例の条件などについて改正も多くあるため、実績が豊富で普段から相続税の申告を行っており、最新の情報を持つ税理士事務所にサポートを依頼するようにしましょう。