お役立ちコラム一覧

土地を相続した場合の相続税は?計算方法や特例を解説!

2022年07月10日

相続が発生すると、10カ月という短い期間で税務署に相続税の申告書を提出、税金を納める必要があります。10カ月という期間は短く、家族が亡くなったら悲しみに暮れる暇もなく、遺産相続の手続きや相続税申告の徹底して準備をする必要があります。もし、手続きを怠ったり、延滞した場合、税金が加算されることがありますので、期日を管理し、手順を追って確実に手続きを進める必要があるのです。

相続税の申告は被相続人の財産が基礎控除を超える場合に必要となります。基礎控除は3,000万円+法定相続人×600万円です。例えば、法定相続人が3人の場合は基礎控除は4,800万円です。基礎控除を算定する際の法定相続人は相続放棄をした人も含みます。

もし、被相続人の財産が2億円、3億円とある資産家の方なら、確実に相続税の申告準備をしなければならなりと考えた方がよいでしょう。基礎控除を超えるかどうかわからない場合はまずは財産がいくらあるか、内容と評価額を知ることが重要です。

被相続人の遺産の中で土地が大部分を占める場合があります。相続で土地を取得した場合、税の申告はどのように計算すればよいのでしょうか。今回の記事では土地を相続で受けた場合の評価額を計算する方法や評価を下げる際の控除についても解説していきます。

土地の評価方法

土地は相続税の課税対象財産となるため、被相続人の財産の総額が基礎控除を超える場合、被相続人が所有していた土地を相続した人は土地の評価を行って相続税の申告をする必要があります。土地の評価について以下に二つの方法を説明します。

路線価方式

土地の相続税評価は基本的に路線価方式で行います。不動産会社で査定される売却見込みの価額や購入した時の価額ではありません。

路線価とは各道路に定められた評価金額です。路線価×面積をかけあわせることで相続税評価額を算出する仕組みになっています。土地は場所が固定されている財産ですので、所在地によって大きく評価は異なります。土地の面積は登記を確認し、正確に把握するようにしましょう。また、同じエリアでも大きな道路に面しているか否かで大きく評価額が異なります。

路線価は平米当たりの単位で記載されていますので、正面が路線価10万円の道路に面している土地を100㎡保有していた場合は1,000万円の相続税評価となります。また、間口が狭い場合や、奥行がある場合や形状などによって各種補正がはいり、評価を減額できる場合があります。具体的に言うと間口が狭く、車が入らない場合や、形状がいびつな形をしていて建物を建てることができない場合などは土地の利用において重要な要素となりますので大きく減額されることがあります。

複数の土地を保有している場合はそれぞれの土地を別々に評価し、合計します。

路線価は毎年7月1日に発表され、実勢価格の8割程度の評価となります。路線価は国税庁のサイトで調べることができます。基本的に土地の評価は路線価で行うことが多いので、路線価の調べ方は知っておく必要があります。ご自身が持っている土地の路線価は下記のホームページでご確認ください。

財産評価基準書|国税庁 (nta.go.jp)

倍率方式

倍率方式とは固定資産税評価額と特定の倍率をかけあわせて計算する方法です。固定資産税評価額とは固定資産税を課すために定められた評価額です。路線価は時価の80%程度が目安といわれています。

一般的に都市部や市街地の土地の評価は路線価を用いて行いますが、地方には路線価が付されていない道路も存在します。先に路線価を調べてみて、路線価が付されていない場合は倍率方式で評価を行います。

例えば、固定資産税評価額が200万円で1倍の地域の場合は相続税評価も200万円ということになります。

国税庁のサイトに地域ごとの倍率表が掲載されています。

財産評価基準書|国税庁 (nta.go.jp)

家屋は固定資産税評価額で評価をする

土地とともに居住用の家屋を保有している方も多いでしょう。家屋も課税対象となります。家屋を遺産相続する場合の課税価格は固定資産税評価額で求めることができます。固定資産税評価額は毎年送付されてくる納税通知書や市区町村の役場で取得できる名寄帳に記載されています。

土地の評価を下げる方法

土地を相続する場合、路線価や倍率で評価額を計算します。しかし、様々な方法で一定の評価を下げることが可能です。土地の評価を軽減するための対策について解説していきます。

特例を使う

相続税にはさまざまな特例があります。特例を使うことで、価値はそのままで、相続税評価を下げることが可能です。土地の評価を下げることができる代表的なものが小規模宅地の特例です。小規模宅地の特例の中でも特定居住用宅地の特例は、多くの人が家を相続する場合に適用できる特例です。特例を利用することで税率も下がり、実際に支払う税額を大幅に減らすことができる場合がありますので、覚えておきましょう。

特定居住用宅地の特例は最大330㎡までの自宅として利用している土地を配偶者など同居親族が相続した場合に評価を80%減額できる制度です。330㎡を超える場合、330㎡までの部分に適用することも可能です。特例を利用することで、1億の土地が2千万円で評価されるということになりますので、非常に大きな効果があります。

特に東京都を中心とする、神奈川県、千葉県、埼玉県などの首都圏や大阪府を中心とする京都府、兵庫県などの近畿圏、愛知県や福岡県の都市部は1㎡当たりの評価が高いため、しっかりと適用するようにしましょう。

特定居住用宅地の特例は相続する人との関係によって、適用できる場合とできない場合があります。遺言を書いて妻や同居をしている子など、特例を適用できる人に相続する人を特定しておくことも有効です。

この特例を適用することで、課税される際の評価額を大きく下げることが可能です。土地の評価を下げることで大きく節税できます。

他にも事業用の宅地に特例できる特例や賃貸用不動産に適用できる特例があります。特例を利用することで一定の評価を下げることできます。特例の知識があるか否かで実際に納税する金額が大きく変わることもありますので、使える特例の条件をしっかり確認して、知っておくことが大切です。

建物を建てて他人に貸す

広い土地を保有している場合、建物を建てて他人に貸すことで評価を大きく下げる効果があります。上記で解説した路線価方式や倍率評価は自用地として使っている場合の評価額です。

土地活用をして土地のうえに建物を建てることで、人に貸して、他人が住んでいる場合は貸家建付地評価となり、評価が下がります。自分で使うことができない土地は評価を減らすことができると考えるとよいでしょう。

貸家建付地の評価方法は以下の計算式で行います。

自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

上の計算式にある借地権割合は借地権の価格の割合で、国税庁の路線価図で確認することができます。借家権割合は全国一律30%。賃貸割合は貸し出している面積の割合です。アパートやマンションなどを建築して満室の場合は100%となります。

例えば、評価額1億円の借地権70%の土地を満室で貸していた場合の評価は以下の通りです。

1億円×(1-70%×30%×100%)=7,900万円

上記の例のように更地で土地を保有しているよりも土地活用することで、土地の評価を大幅に下げることがで可能です。また、家賃を得ることとなり、収益性も高いため、うまくいけば収入を得て資産を増やしながら節税をすることができますのでメリットも大きいといえるでしょう。

ただし、アパートの経営が必ずうまくいくとは限りません。アパートが空室となり賃貸経営自体が失敗する可能性もあります。そうなれば、建築費用を回収することができないため、相続税の節税額以上に損失が出る場合もあります。周辺の物件の運営状況や、保有している土地の需要など、具体的な情報を得て土地活用を検討するようにしましょう。

アパートの建築はリスクも大きい事業です。建物を建築するためにローンを組むこともありますが、結果として借入金を入れることで財産を引き継ぐことになる子供や孫に負の財産を遺さないように慎重に進めるようにしましょう。

土地を相続する場合の注意点

相続が発生して土地を受ける場合には何に注意すればよいのでしょうか。注意点と注意するべきポイントを解説します。

土地の分け方に注意が必要

被相続人が遺言を書いておらず、法定相続人が2人以上いる場合、誰が土地を相続するか、相続人間で協議して決める必要があります。法定相続分の通りに分けると共有で相続することになることもあるかもしれません。しかし、共有で相続することで相続発生後に売却や活用をを検討する際に共有者全員で合意をする必要があり、共有する人の数が多ければ多いほど、もちろん、それぞれの異なる考えがでてきますので、人数が増えると、まとまらなくなります。空き家となった場合、そのままにしておくと周囲に迷惑がかかる可能性もあります。空き家の維持で揉めてしまい売ることもできなくなるというケースも多くあります。

相続が開始したら、まずすべての財産を一覧にして全体をみたうえでまとめた方がよいでしょう。

現金、不動産、株式、生命保険、金、債務など、財産を一覧にするそことで、どれくらいの税金がかかりそうか、総額でどれくらいの財産になるのか、一目瞭然になります。財産の全体像が分かれば、速算表をつかっておおよその相続税額も計算することも可能です。まずはどのような財産を保有していたか調べるようにしましょう。

一覧表がないと相続人も正しい判断ができず、協議に時間がかかってしまいます。

不動産をどのような割合で分けるか、非常に難しい問題ですので、できれば生前に検討して、早めに遺言を作成しておく方がよいでしょう。

納税資金の確保が必要

土地を多く持つ方や大きな土地を保有する方が 亡くなった場合、納税するための資金を確保できるか注意が必要です。土地は相続税の対象となりますが、現金として受け取るわけではありません。相続税は一括で支払う必要があります。そのため、相続税を納付するべき金額よりも相続した現金が少ないケースの場合、遺された子どもなどが自分の手持ち現金で相続税を支払う必要があり大きな負担となるでしょう。この場合、負担に応じてお金を貯めておく必要があります。

不動産で納税する物納という手段もありますが手続きが複雑なうえ必ず物納が認められるわけではありません。

土地を多く相続する方に預貯金も多く相続させることや贈与税が非課税の範囲で、生前贈与をすることで納税資金を確保することができます。しかし、相続財産の多くを一人が相続することになってしまい、バランスが保てなくなります。相続発生後に協議で決めることは、他の相続人の協力がないと難しいため、遺言書などであらかじめ決めておいた方がよいでしょう。

また、納税資金の確保が難しい場合は事前に売却して資金化しておくことも選択肢のひとつといえるでしょう。

土地の評価が複雑な場合がある

土地は同じものが二つとありませんので、個別の評価が必要です。預貯金や上場株式の場合は評価が分かりやすく、比較的簡単に金額を出すことができますが、土地は個別性が高く対応が難しい財産です。

路線価を基準として土地の評価をすることができますが、道路がついていない場合や極端に間口が狭い場合には参考程度にしかならないこともあります。このようなケースでは過去の例と比較したり、周辺相場を確認しながら評価を行う必要がありますので、時間がかかることがあります。

明らかに相続税がかからない場合は、土地の評価を気にする必要はありませんが、相続財産が基礎控除を超えそうな場合や、いくらくらい財産があるか正確にわからない場合は早めに評価に取り掛かるようにしましょう。

土地の評価に困った場合は税理士に相談を

相続税における土地の評価は簡単ではありません。単純に土地を保有している場合であれば、路線価や倍率で単純な計算で評価額を算出することができますが、自宅の土地や人に貸している場合は特例や評価を減額する計算があり、適用するための要件や計算方法が複雑になってきます。経験したことがない人が資料を作成し、相続税の申告を行うのは簡単ではありません。

相続税の申告は相続が発生したことを受けてから10カ月以内という短い期限の内に終わらせる必要があります。被相続人が保有している財産は土地以外にも様々な種類がありますので、金融機関の調査や、死亡により、保険金がでる保険契約の証書を探すことに時間がかかることもあるでしょう。

財産の評価や手続きに時間がかかる場合は、専門家である税理士に相談することをおすすめします。税理士に税務署への申告書類の作成を依頼すると費用がかかりますが、初期の相談は無料で行ってくれる税理士事務所も多くあります。

広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
税理士選びにお困りなら、まずは無料相談でお気軽にご相談ください!

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい