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税理士がおすすめする相続税対策の方法を解説!

2023年08月01日

財産を多く持つ人が死亡すると相続税が発生します。被相続人の財産を相続する相続人は国民の義務として、相続税を支払う責任を免れることはできませんが、生前に節税対策を行うことで、遺産相続の際にかなり税負担を減らすことができます。

当記事では税理士がおすすめする節税の方法について具体的に解説します。

まずは現状把握が大切

相続税対策をする際にまずするべきことは現状把握です。仏壇・仏具、墓地や墓石など非課税となる一部の財産を除き、あらゆる価値のある財産が相続税の対象となります。

自分の名義となっている財産の現時点の評価の額を確認し、どれくらいの相続税がかかるか計算してみましょう。相続税の計算をする際は口座がある金融機関の定期預金等の預貯金や投資信託、株式、不動産、金などあらゆる種類の財産の内容と金額を一覧にして評価額を合計して計算を行います。

また、配偶者や同居をする子供に居住用や事業用の不動産を相続させる場合、小規模宅地の特例等、生命保険や死亡退職金の非課税枠など特例や各種控除を使うことで最大330㎡まで80%評価を減額することができます。実際に申告する時と同じように、財産を取得する人を想定して、特例を適用できる分は軽減して計算をしてみましょう。

定められた規定通り計算をした結果、実際の税率や納税する税額がわかります。

課税対象の資産の合計価額が基礎控除(3,000万円+法定相続人×600万円)以下であれば相続税はかからないため対策は必要ありません。状況を把握することで、ポイントをおさえて的を得た対応を行うことが重要です。

おすすめの節税対策5選

さまざまな節税対策がありますが、自分にあったものを選ぶことが重要です。基本的な方法を紹介していきますので、自分にあったものを選んで上手に活用していきましょう。

生前贈与

生前贈与とは相続が発生する前に父母などから子どもや孫等に財産を渡すことです。贈与をすることで相続財産を減らしていくことができますので、相続税対策となります。生前贈与をする際は大きく分けて二つの方法があります。

一つ目は暦年贈与の非課税枠を使って贈与をする方法です。贈与税には1月1日から12月31日までの1年間で110万円までの非課税枠がありますので、110万円までの非課税枠を活用し、贈与を続けることで財産を減らすことができます。贈与の対象は相続人に限りませんので、配偶者や子供だけでなく、孫にも贈与をすることが可能です。贈与はお互いに意思表示をすることで財産を移転することできます。口頭でも贈与契約は行えますが、税務署に否認されないために、書面にしておいたほうがよいでしょう。

ただし、暦年贈与は現行税制では相続発生前3年以内、来年以降は7年間はさかのぼって相続財産に加算されることになります。そのため、大きな節税効果を得るには10年以上の時間がかかる対策ですので早めに始める必要があります。

二つ目が贈与税が優遇される特例を利用する方法です。条件を満たす場合、特例を使用することで、一括で大きなお金を贈与し、相続財産を下げることが可能です。例えば、子供などが自宅として利用する土地・家屋を購入する際の費用であれば、親等から最大1,000万円を限度に一括で贈与をすることが可能です。他にも教育資金に限り祖父母などの直系尊属から孫などに1,500万円まで一括で贈与をすることができます。他にも結婚・子育て資金に限り1,000万円まで贈与をすることが可能です。それぞれの特例に要件がありますので、対象となるか確認しておきましょう。

暦年贈与と贈与の特例は併用できるものもありますので、両方活用することで大きな金額を贈与税を払わずに次の世代に移転することができますので、生前贈与は節税につながるメリットが大きい対策です。

生命保険の非課税枠を活用する

生命保険はみなし相続財産として相続税の課税対象財産となりますが、非課税枠があります。計算式は以下の通りです。

生命保険の非課税枠:法定相続人×500万円

例えば、相続人が3人の場合は、1,500万円まで非課税となります。基礎控除を超える場合も、生命保険に加入することで、基礎控除以内に抑えられることもあるでしょう。相続人が多ければ多いほど節税効果は大きくなります。

生命保険の非課税枠は簡単・確実にできる節税対策の一つですので、一般的によく利用されている制度です。生命保険は金融機関などで簡単に契約をすることができます。

また、生命保険の保険金は受取人があらかじめ決められているため、銀行に預けている預貯金と比べて比較的早く資金化できる特徴がありますので、配偶者などの当面の生活資金の確保の手段としても有効です。被保険者の年齢が制限されている保険も多いので早めに契約するようにしましょう。

養子縁組を活用して相続人を増やす

孫などを養子縁組することで、法定相続人の数が増えることになりますので、基礎控除の金額が増え、相続税を下げることが可能です。養子縁組は実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで基礎控除を増やすことが可能です。

孫を養子にする場合は、基礎控除分相続税が減ることになりますが、孫が取得する分については相続税が2割加算となります。

不動産を購入する

一般的に不動産は時価よりも低く評価されます。土地は路線価×面積で評価を行いますが、相場の8割程度。建物は固定資産税評価額で評価を行いますが、時価の7割程度といわれています。

そのため、不動産を購入し、現金で支払うことで、差額分の遺産の評価を下げることができるのです。特にマンションは建物の割合が多いため、減額の効果が大きくなります。規模の大きい高額のタワーマンションは普通のマンションよりも評価が下がる傾向があり、節税目的で購入する人も多いです。住宅を保有して、住んでいる場合は投資用として購入しても良いでしょう。

更地となっている土地を保有している場合は新築のアパートを建てることも一つの方法です。土地を保有している場合、建物を建てて賃貸にだすことで、家賃収入も入りますし、貸家建付地評価となり評価を減額することができます。

ただし、評価を下げることはできるものの、不動産投資自体がうまくいくとは限りませんので注意が必要です。空室状態が長く続いたり、地震などで建物がダメージを受けた場合、大きなコストがかかります。

また、賃貸経営がうまくいっている場合でも固定資産税や所得税などのかかるコストと収益、節税効果を見極めて投資を行う必要があるでしょう。

ローンを活用することで、投資の規模を大きくすることができますし、ローンの残債は債務として相続財産から差し引くことができます。。規模が大きくなればなるほど、節税効果も大きくなりますが、リスクも大きくなります。今後も賃貸経営ができる地域か20年、30年先の将来も見据えて、値上がりが期待できるか売買ができるかも確認して、慎重に投資を行う必要があるでしょう。

二次相続を踏まえた配分にする

夫婦のうちどちらか一方が亡くなった際に相続を一次相続、二人目が亡くなった時の相続を二次相続といいます。夫が先に亡くなった場合、一次相続で妻にすべて財産を遺すと配偶者控除を最大限活用することがきます。

しかし、配偶者が多額の財産を受けることによって二次相続で多くの相続が高くなることがあります。一次相続で配偶者控除を使えなくても子供に多く財産を遺した方が、トータルでは相続税の総額を抑えることができる場合があります。二人の財産に応じて二次相続もふまえて配分を決める必要があります。

節税対策をする際の注意点

節税対策をすることで一定の税金を減らすことができます。しかし、節税対策をすることで、遺産分割の際に相続人の負担を増やしてしまう例もあります。節税対策をする際の注意点やデメリットについてみていきましょう。

配分が難しくなるケースがある

生前贈与を活用して節税対策を行った場合、節税効果は高いものの、贈与によって受贈額が法定相続割合とは異なり、相続人間で不公平が生じやすくなります。住宅取得資金の贈与の特例や教育資金贈与の特例を活用した場合は、それぞれの事情によって贈与できる金額が異なります。それぞれの相続人が同じ条件ではないため、特定の相続人に多く贈与することになってしまい、相続人間での差が大きくなってしまうことがあります。

また、貸家などの不動産が2つ、3つと保有している場合、誰がどの物件を相続するか、価格も異なるケースでは、検討することが難しい場合があります。相続税の申告期限は、相続開始から10ヶ月と短いです。相続手続きで忙しい中で相続発生後すぐに分割の協議を終わらせる必要があります。贈与を考慮した上で公平な配分にし、親族間でトラブルや争いにならないようにするために、も事前に検討しておくことが重要です。相続時に精算する場合は、遺言書を作成しておくなど、相続人間の関係が悪化しないためにわけ方を指定しておくなどの対策も併せて行うようにしましょう。

財産が複雑になる

不動産を活用した相続税対策などを行った場合、財産を受け取る相続人がその後、所有し続け管理を行う必要があります。相続税を減らすことができたとしても、相続人が遠方に住んでいる場合などは管理ができないということもあるでしょう。

相続税を減らすだけでなく、相続発生後の管理もふまえて判断する必要があります。通常不動産は評価の減額ができますが、節税効果が薄い不動産などは、生前に処分することを選択しにいれておいてもよいでしょう。

節税対策は生前の行うことが重要

今回ご紹介した節税対策は相続が発生する前に行う必要があります。被相続人が亡くなってから相続人ができることは非常に限られています。また、高齢で認知症になってしまうとできる対策は少なくなってしまいますので、亡くなるだけでなく健康面でも注意が必要です。

相続税法は制度や仕組みも複雑ですので、知識や経験がない一般の人が理解することは簡単ではありません。家族の中に詳しい人がいない場合、税務の専門家である税理士に相談するようにしましょう。初回の相談は無料で行っている場合もあります。自分の財産がどのようなものがあるか、まとめて一覧表を持っていくとスムーズに相談することができます。

相続発生後も実際に税務署に提出する書類の準備や申告書の書き方が分からないという方は多いです。短い期間で手続きを完了させる必要がありますので、相続税でお悩みの際は税理士に相談するようにしましょう。税理士に申告を依頼すると費用がかかりますが、特例の適用漏れなどを防ぐことができますので、結果的に報酬以上に、納める税額が下がる場合もあります。

相続税は税制改正も頻繁にあります。そのため、税務調査で指摘されないためにも最新の課税制度や特例などの情報を持ち、実績がある税理士事務所や税理士法人に依頼すると安心です。

広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい