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相続放棄をした家の解体費用は誰が払う?

2025年08月11日

親等が亡くなり、法定相続人となった場合でも借金が多い場合や、財産を引き継ぎたくない場合は相続放棄をすることが可能です。

しかし、相続放棄をしても元々保有していた財産の管理責任が問われることはないのでしょうか。特に相続財産の中に老朽化して危険な状態となっている空き家がある場合、他人に損害を与える可能性などの問題があり、注意が必要です。

当記事では相続放棄と財産の管理義務についてポイントをおさえて解説します。

相続放棄とは

相続放棄とはプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐ権利・義務を失い、最初から相続人ではなかったものとして扱われます。相続放棄は被相続人が亡くなった翌日から3ヶ月以内に申請する必要があります。

また、遺産の処分行為を行うと単純承認したものとみなされ相続放棄をすることができなくなりますので、注意が必要です。

特定空き家の取り扱い

特定空き家とは市区町村から建物の解体や修繕を必要とすると指定されている空き家です。空き家を解体も売却も適切な保存処置をもせず放置していると、近隣住民に損害が発生し、損害賠償責任を負う事例もあります。

長年、最低限の管理がされておらず、建物が老朽化し、ゴミ屋敷のような状態になってしまうと、悪臭が生じ、周囲にも悪影響を及ぼします。そのため、行政も放置することができないのです。

特定空き家に指定された家屋の中でも特に危険なもので、周辺住民が迷惑しており、行政が所有者に勧告をしても適切な対処や改善がされない建物については行政代執行がされる場合があります。行政代執行が行われると行政が業者に依頼し、強制的に建物を解体をします。建物の解体にかかった費用は所有者に請求されることになりますが、所有者が既に亡くなっているケースでは相続人に請求されます。

相続放棄をした人は次の順位の相続人が管理できるようになるまでは管理責任があるものとされていますが、実態としては相続放棄をした人に解体費用が請求されることはありません。

特定空き家に指定され、行政代執行による解体が行われた場合でも物件の解体費用までは負担しなくてよいものと考えて良いでしょう。

相続放棄をする際の注意点

相続放棄をする際はどのような点に注意をすればよいのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

他の相続人に連絡する

相続放棄をすると、民法で定められている他の相続人や次の順位の者に財産を引き継ぐ権利と義務が移ります。

相続放棄自体は自己の判断で行うことができますが、他の相続人が自分相続放棄をすることを知らない場合、借金や家の管理責任を負うことを知らず、トラブルになるリスクがあり、注意が必要です。

相続放棄をする場合は、他の相続人に連絡を行うことが大切です。早めに連絡をすることで誰が責任を負うかでトラブルになることを避けることができるでしょう。

一度放棄をすると撤回することはできない

一度相続放棄をすると撤回することはできません。そのため、相続が発生し、相続放棄をした後に思わぬ財産が見つかって、やはり財産を引き継ぎたいと思っても一度撤回すると、再度財産を引き継ぐことができなくなります。そのため、預貯金や土地・建物などの財産の一覧を作成し、財産の内容を明確にしてからよく検討してから相続放棄の手続きを行う必要があります。

相続手続きは専門家に相談を

相続は何度も経験するものではなく、情報も不足している場合が多いでしょう。法律も複雑で、自分で判断して名義変更の手続き等を進めることは危険ですので、相続手続きにお悩みに場合は普段から業務として行っている専門家に相談することをおすすめします。

相続人関係が良好な場合でも、相続をきっかけに悪化するケースもあります。また、基礎控除を超える場合は、相続税の申告が必要です。相続税の申告は相続発生の翌日から原則10ヶ月以内と短い期間で手続きを進める必要があります。実際に相続が発生し、手続きを何から始めていいかわからない時は専門家にサポートを依頼して進めるようにしましょう。

広島相続税相談テラスでは、経験豊富な税理士が多数在籍しており、相続に関するあらゆるお悩みを解決しております。状況に応じて弁護士や司法書士など他の専門家とも連携して進めていきますので、安心してご依頼いただけます。

初回のご相談はサービスで無料で対応しておりますので、お気軽にお電話やメールでご相談ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい