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相続税路線価を用いた計算によって土地評価額を算出する方法

2021年10月22日

相続した財産の中に土地が含まれている場合には、土地の評価額を確認しておきましょう。その際に使われることになるのが「路線価」とも呼ばれる相続税路線価です。これは1平方メートルあたりの価格について1,000円単位で表示したもののことをさします。

しかし「土地の価格を知るために路線価は確認したけれど計算方法がよくわからない」と頭を抱えている方もいるでしょう。

そういった方のために、具体的な計算方法についてご紹介します。自分が相続する土地の価値に関して正しく把握したいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

相続税路線価を利用した土地評価額の計算方法

相続税路線価を利用して、具体的な土地評価額を計算するにはどうすれば良いのか解説していきます。土地の利用状況、接道や形状などによっても計算方法が変わってくるため、注意が必要です。自分で計算してみたいと考えている方のために、一般的な計算方法をご紹介します。

自用地

該当宅地の土地が自用地(他人が使用しておらず自分で利用している土地)だった場合、路線価図に記載されている路線価と面積から相続税評価額が計算できます。例えば、路線価に「450D」と記載されていた場合、1平方メートルあたり45万円、借地権割合が60%です。

土地の面積が150平方メートルだとした場合、「45万円×150=6,750万円」となります。

借地権割合

借地権割合とは、土地の権利のうち、何割を借地が占めているのか示したものです。土地を借りている場合、借主は借地権を、貸主は底地権を持っています。

その割合は国税庁によって定められているのですが、借地権は相続税の課税対象です。そのため、借地権の割合が大きいほど課税評価額も高くなります。

借地権割合を調べるためには、まず国税庁のサイトから調べたい場所の住所を検索しましょう。

すると「275D」のように数字とアルファベットが記載されています。数字は路線価、アルファベットが示しているのが、借地権割合です。

Aが90%、Bが80%、Cが70%と10%ずつ借地権割合が下がり、一番低いのがGの30%となります。例えば「275D」の場合は、土地の路線価が27.5万円、借地権割合は60%です。

借地の相続税評価額は「自用地評価額×借地権割合」で計算できます。例えば、自用地評価額が1,800万円、借地権割合が60%の場合についてです。

計算式は「自用地評価額「1,800万円×借地権割合60%=1,080万円」です。

また、借りているのではなく底地(貸宅地)として貸している場合は「自用地評価額×(1-借地権割合)」で求められます。上記例の場合「1,800万円×(1-60%)=720万円」です。

それから、自分の土地に建てた建物を賃貸住宅として貸している場合の土地は貸家建付地と呼ばれます。貸家建付地の相続税評価額は「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で計算可能です。

借家権割合は一律30%と決められており、賃貸割合は貸している住宅の割合のことで、満室なら100%です。自用地評価額が1,800万円、借地権割合が60%、満室状態の場合「1,800万円×(1-60%×30%×100%)=1,476万円」となります。

路線価による補正

多くの土地は、いびつな形をしているため、単純に「路線価×○○平方メートル」と計算するのが難しいことがあります。その場合に使われるのが、路線価による補正です。

補正をすることにより、具体的な金額を算出しやすくなります。例えば、標準的な宅地に比べると奥行きが長かったり短かったりする場合は「奥行価格補正」が使われます。

他にも、宅地の形状がいびつな場合は「不整形地補正」が適用されることがあります。また、間口が狭いような場合は「間口狭小補正」など、土地の形状によって適切な補正はさまざまです。

例えば奥行価格補正の場合は「路線価×奥行価格補正率×地積(平方メートル)=土地評価額」で計算が可能です。奥行価格補正率は1.00~0.80の範囲となり、地区区分や奥行距離から求めます。

なお、借地権割合について、土地単位で補正がかけられているなどのケースもあるので、注意が必要です。他にも、台風被害などを考慮した上で設定された調整率が適用されているケースもあります。

路線価による補正については、非常に難しいことを理解しておかなければなりません。計算方法を間違えてしまうと、実際の金額と大きくずれてしまう可能性もあります。

詳細な計算は難しい

いかがでしたでしょうか?今回は、相続税路線価を用いた計算方法から土地の評価額を算出する方法について解説しました。状況によって計算式も変わってくるので、難しいと感じた方も多いのではないでしょうか。

実際、相続税路線価を利用した計算式は複雑です。土地評価額について正しく計算するのは税理士でも難しいと言われることがあり、税理士によって評価額が大きく変わることもあります。専門的な知識があり、計算方法について知り尽くした税理士に相談してみてはいかがでしょうか。

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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい