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借金をしてアパートを建てたら相続税対策になるって本当?

2024年08月14日

財産が多い人は高齢になると、節税のためにさまざまな相続税対策を検討することでしょう。

相続税対策で借金をしてアパートやマンションなどの建物を建てればいいと聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

生前にアパートやマンションを建てることでなぜ亡くなってから相続人が支払う相続税が安くなるのでしょうか。当記事では不動産を活用した相続税対策についてポイントをおさえて解説します。

アパートを建てることで節税になる理由

アパートを建てることで節税になるのは不動産の評価方法の制度に理由があります。

不動産の評価は土地と建物に分かれており、土地は路線価、建物は固定資産税評価額で評価を行います。

一般的に路線価は時価の7割から8割程度で、建物の固定資産税評価額は新築時に5割から7割程度になるといわれています。
そのため、1億円の価値がある土地に1億円の建物を建てるケースでは、現金では2億円かかりますが、土地建物の相続税の計算上の評価は1億2,000万円から1億5,000万円程度となります。

また、借入を行うことで金額を大きくすることができますので節税効果も大きくなりますし、借入金はマイナスの財産として課税対象となるプラスの財産から減らすことができます。。

さらに土地に建物を建てて他人に貸すことで自分では使用できない貸家建付地評価となるためさらに評価を下げることができます。貸家建付地の評価方法は自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)で評価を行います。借地権割合は土地により定められており、路線価により確認できます。借家権割合は全国一律30%です。借地権割合が60%、賃貸割合が100%の場合、1億円の土地が8,200万円の評価となります。

不動産のこのような評価の差を利用することで、相続財産を減らすことができるため有効な相続税対策のひとつとして、資産家の方に利用される方法となっています。

アパートを建てる際の注意点

アパートを建てて相続対策をする際にどのような点に注意をすれば良いのでしょうか。具体的に注意点を確認しておきましょう。

不動産経営にはリスクがある

アパートを建てる際に必ず考慮しておきたいのは不動産の経営におけるリスクです。
アパートは他人に貸すことで賃料を得ることができますが、必ずしも満室状態が続き家賃収入が十分に得られ、投資自体が成功するとは限りません。

物件が新しい時は比較的空室になりにくい傾向がありますが、建物が老朽化して、周りに新しい物件が増えても賃貸需要が見込めるエリアなのか、不動産会社から案内を受けてしっかりと見極めて投資をする必要があるでしょう。

また、空室になるリスクだけでなく、天変地異により建物が損傷し、価値が大きく下がるリスクや借金をしている場合は金利上昇により返済のコストが上がるリスクがあります。

この先保有し続けることでリスクがあるということは認識することが重要です。建物の建築や購入時の節税効果や収益性だけでなく、年数が経過したときに長期にわたって収益を得られる事業となるかシミュレーションを行い、判断をする必要があります。

もし、相続発生後に借金が大きく残り、賃料が思うように得られないような自体となった場合、相続する者にとって大きな負担となってしまいます。

分割がしにくい

アパートを建てて、価値の大きい不動産を保有した場合、遺産を分割する際に相続人同士で争いとなる事例も少なくありません。お金であれば公平に分けることができますが、価値の大きい不動産が財産の大半を占める場合、財産の配分が難しくなります。

物件を共有し、複数で運営することもできますが、売却や立て替え、修繕等の手続きをする際に意見を合わせる必要があり相続発生時の分割はうまくいってもその後の運営がうまくいかないケースも多くあります。

アパートを建てる際はあわせて自分が現在保有している財産をまとめて一覧の表を作成し、遺言を作っておくなど分割の対策もしておくようにしましょう。

相続のお悩みは税理士に相談を

不動産投資を活用した相続税対策はリスクも大きく、知識がない人が簡単にできるものではありません。相続発生時の相続税の負担は軽減できるものの、運営のリスクや配分についても考慮する必要があるでしょう。

相続税の節税効果や実際にどれくらいの税金がかかるかは専門家である税理士にサポートを依頼することをおすすめします。税理士に依頼することで、費用はかかりますが、相続税や贈与税を専門に扱っており、税制改正など最新の情報を持っている税理士事務所・税理士法人に依頼することで生命保険の非課税枠の活用や家族への生前贈与など他の節税策に関するアドバイスもしてくれるでしょう。また、特例についても間違えなく適用し、減額することができます。そのため、費用以上に節税できる例も多く安心して節税策について検討することができます。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい