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相続税が0円でも相続税の申告が必要?

2024年03月02日

相続が発生すると相続税の申告が必要となるケースがあります。相続税を支払う場合はもちろんですが、税額が0円になる場合でも相続税の申告を行う義務が生じることがあります。

当記事では相続税の申告の要否についてポイントや注意点を解説します。

基礎控除を超える場合は、相続税の申告が必要

原則、基礎控除を超える財産を保有する人が亡くなった場合、相続税の申告が必要となります。基礎控除の計算式は3,000万円+法定相続人×600万円です。

法定相続人は配偶者が常に相続人となり、次の順位は子(亡くなっている場合は孫)、次に父母、その次に兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥・姪)となります。例えば、法定相続人が配偶者と子供二人の例では合計3人の場合、4,800万円(3,000万円+600万円×3人)となります。相続が発生した後に相続放棄をした人がいたとしても、基礎控除の額には参入されます。

課税の対象となる財産は預金、株式などの有価証券、不動産、金等の現物資産、相続時精算課税制度を使って生前贈与を受けた金額などあらゆる財産が含まれます。課税対象の相続財産が基礎控除以下の場合は相続税を納税する必要はありませんし、相続税の申告も必要ありません。

また、生命保険の保険金は本来の相続財産ではありませんが、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、生命保険には非課税枠があります。法定相続人×500万円が非課税の上限となりますので、法定相続人が2人の場合、1,000万円です。相続財産から基礎控除と非課税枠の範囲内に財産がおさまるのであれば、相続税の申告は必要ありません。

相続税の申告が必要となる場合は、被相続人が亡くなった翌日から10ヶ月以内に、必ず税務署に相続税の申告書を提出する必要があります。

相続税の計算方法

基礎控除を超える遺産があった場合、相続税の計算を行い、納付する必要があります。次に基本的な相続税の計算方法について解説していきます。

まず、亡くなった時点で所有するすべての相続財産の評価を確認し、預金や不動産などプラスの財産から借金や債務などマイナスの財産を差し引いたあとに基礎控除と生命保険の非課税枠を差し引きます。この金額が基礎控除の金額を上回る場合は民法で定められた法定相続分通りに配分したと仮定して、各人の相続税額を求めます。各人にかかる相続税額を合計し、相続税の総額を求めます。

次に実際に遺贈を受け、それぞれが取得する金額に応じて、相続税の総額から応分を負担することになります。一人あたりの取得する金額が大きいほど高い税率が適用されることになります。

このような流れで計算を行いますが、実際には非常に複雑な計算式を使って算出することになりますので、国税庁のホームページなどで特例の要件や計算方法が記載されていますが、税務の知識がない人が正しく申告することは簡単ではありません。自分で申告をすることが難しい場合は税理士に相談するようにしましょう。

相続税が0円になるものの相続税の申告が必要となるケース

相続税には相続財産を引き継ぐ人の事情や財産の特性により、相続税の負担を一定程度、軽減する特例や税額控除の制度があります。基礎控除を超えるものの、特例の内容によっては特例を使うことで、相続税の納税額が0円になる場合でも相続税の申告が必要となる場合があります。

代表的なものが配偶者控除です。配偶者控除は配偶者が財産を相続した際に1億6,000万円または法定相続割合までは相続税が0円になる制度です。控除の金額も大きい特例ですので、配偶者のみが財産を相続するケースでは多くの場合、非課税となりますが、配偶者控除を適用することで、結果として相続税がかからない場合でも相続税の申告が必要となります。

もう一つ利用する人が非常に多い特例が、小規模宅地の特例です。小規模宅地の特例は自宅や事業用不動産の土地部分について評価の減額を受けられる制度です。居住用の自宅の土地のついて利用できる特定居住用宅地の特例では330㎡まで80%減額できるため、適用することで相続税が0円になるという人も多いでしょう。

上記以外にも農地を相続する場合に納税猶予をされる制度や未成年者や障害者が相続する場合に活用できる控除があります。納税猶予されることによってその時に支払う税金が0円になる場合もありますが、申告は必要となります。

これらの特例は相続する者によって特例を使えるか判断がわかれますので、遺言書がない場合は遺産分割の協議を先に進める必要があります。

相続税の申告は税理士に相談を

相続税の申告についてお悩みがある場合は、税金の専門家である税理士に相談しサポートを受けるようにしましょう。申告が不要と判断した場合でも申告が必要であった場合は、後で税務署から税務調査で指摘をされ、ペナルティとして延滞税や無申告加算税を上乗せされた通常よりも多い金額を請求される可能性があるため、注意が必要です。

相続税の申告は、被相続人の死亡の翌日から10ヶ月以内と期限が短いうえに家族が亡くなって、預貯金がある金融機関の口座の名義変更や不動産の登記など各種手続き等で忙しい中で対応する必要があります。亡くなる前に遺産相続の財産の一覧の表を作成するなどの対策を行っていなかった場合は、相続財産をまとめて一覧を作成するだけでも時間がかかるでしょう。

実際に税理士に依頼する際は相続税や贈与税の申告を普段から行っている税理士事務所・税理士法人に依頼することが重要です。税理士の紹介を受けることが難しい場合は、ホームページなどで検索し、得意な業務を確認し、まずは電話などで気軽に相談してみるようにしましょう。生前にシミュレーションをして、どれくらいの相続税がかかるか概算を確認し、節税対策を検討しておくことも有効な手段です。

初回の相談は無料で応じてくれるケースが多いですが、実際に申告を依頼し、申告書や添付書類の作成を依頼する場合は費用がかかります。申告を依頼する場合の費用は、財産の評価額や不動産の数などによって異なってきます。相続人や財産の情報をもって相談に行くとスムーズに相談できるでしょう。税理士に依頼することで、複雑な特例の利用可否の判定をする場合でも安心して申告手続きを進めることができます。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい