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仮想通貨は相続税の対象?

2023年08月01日

相続が発生するとあらゆる資産の評価額を調査し、相続税の申告をする必要があります。資産の中には、預貯金や株式、土地・建物などの不動産など伝統的な資産だけでなく、仮想通貨(暗号資産)のような新しい資産も含まれます。仮想通貨は円やドルなど国が定める法定通貨とは異なりますが、資産として相続税の課税対象となるのです。

当記事では、仮想通貨を相続した場合の手続きや注意点についてポイントをおさえて解説します。

仮想通貨は相続税の対象

仮想通貨は現金、預貯金や株式と同様に相続税の対象となる財産に該当します。被相続人が仮想通貨を保有していた場合、相続財産の一覧を作成し、仮想通貨の評価額も記載する必要があります。

仮想通貨は日々取引の価格が変動しますが、相続税を計算する際の評価は、相続開始日(死亡した日)時点で換金したと仮定した日本円換算での交換レートとなります。相続財産に仮想通貨が含まれる場合、代表となる人が仮想通貨取引所に連絡を入れて評価額を確認するために残高証明書を発行してもらうようにしましょう。

仮装通貨を保有している場合の注意点

仮想通貨を保有している場合どのような点に注意をすればよいのでしょうか。具体的に解説します。

保有していることに気づかない場合が多い

仮想通貨はインターネット上で販売・取引されており、銀行口座と異なり、預金通帳のようなものがありませんので、いくらの資産をどこで保有しているか相続人が気づかないという問題があります。複数の仮想通貨を保有している場合はさらに見落としてしまう可能性が高いでしょう。

亡くなった方が仮想通貨を購入して、保有していることを相続人が知らなかった場合、放置されるケースも多くあります。被相続人のスマホに仮想通貨を取り扱っている業者のアプリを使用している場合や、インターネットサイトのお気に入り、メールなどにある場合、銀行口座に仮想通貨関連の入出金の記録がある場合は取引がある可能性が高いでしょう。エンディングノートなどにIDとパスワードが記載されているケースもありますのでパスワードを記載してそうな場所を調べてみる必要があります。

また、前年の確定申告の際に仮想通貨の取引が記載されているケースもありますので、確定申告書も見ておきましょう。

通常は相続手続きは財産を調査し、調査した財産をもとに遺産分割協議や申告手続きを行うという流れになりますが、財産が新たに出てくると、相続人全員で遺産分割協議からやり直しになってしまいますので、非常に時間がかかってしまいますし、財産漏れがあった場合、税務調査で指摘され、課税対象財産の再計算を行う必要があります。

流通量が少ない資産は評価が難しい

仮想通貨の評価方法については国税庁のホームページ(リンク)によくある質問としてとりあげられています。

仮想通貨の評価について「活発な市場が存在しない暗号資産の場合には、客観的な交換価値を示す一定の相場が成立していないため、その暗号資産の内容や性質、取引実態等を勘案し個別に評価します。」と記載されています。

ビットコインやコインチェック、bitflyerといった一定以上のシェアがあり、一般的によく知られており、売買が活発な資産については、取引価格が公表されています。そのため、比較的簡単に評価をすることができます。しかし、同じ仮想通貨でも取引量が少ない、仮想通貨はすぐに価額が出せないケースもあります。

活発な市場が存在しない場合、遺産として評価するために精通者や専門家の意見などを勘案し、評価することになりますので、通常の資産よりも評価に時間がかかります。

仮想通貨を保有している場合の事前の対策

仮想通貨を保有している人は、いずれ発生する自身の相続対策として何をすればよいのでしょうか。次に事前に行うことができる準備や対策を見ていきましょう。

家族がわかるようにしておく

相続人にとって一番困ることが、仮想通貨の種類や残高がわからないということです。デジタル資産はインターネット上で保管されているため、スマホやパソコンが開けられない場合、十分な情報が得られず、相続人が財産を調べるのは簡単ではありません。

そのため、家族に仮想通貨の種類や登録している業者のID・パスワード、数量や金額を把握できるように詳細を記録しておくことをおすすめします。少なくとも仮想通貨を持っていることを配偶者や子供に知っておいてもらうことが大切です。本人しかわからないという状態にしないようにしましょう。

財産を一覧の表にして管理しておくと相続人の負担を大きく減らすことができます。

誰が相続するか決めておく

仮想通貨は日々大きく変動しますので、取得するタイミングによって大きく相場が変動するケースがあります。そのため、財産配分をシミュレーションして誰に仮想通貨を相続財産として引き継ぐかを、遺言書で事前に定めておくとよいでしょう。

ただし、法定相続割合とは大きく異なる配分とならないよう注意が必要です。市役所などで行政のサービスで遺言の作成方法や注意点について相談会が行われている場合がありますので、利用してみてもよいでしょう。

贈与をした場合も贈与税がかかる

相続が発生した場合、手続きが複雑になりますので、生前に贈与をしようと考える方も多いでしょう。ただし、生前贈与をした場合、贈与税がかかります。年間110万円の非課税枠を活用することで課税されず贈与をすることは可能ですが、現在の価値で110万円を超えると税金がかかるので注意しましょう。

相続税のお悩みは税理士に相談を

相続税の申告は特例なども複雑で、税制改正も頻繁にありますので、知識がない方にとっては難しいことです。誤った申告をしたことを理由に、税務署に指摘される可能性もあります。

相続税の申告期限は10ヶ月と短いため、自分で行うことが難しい場合や時間がかかると判断した場合は、専門家である税理士事務所や税理士法人に依頼しましょう。

相続税の申告を依頼する場合は税理士に報酬を支払う必要がありますが、初回の相談は無料で行ってくれる税理士も多いので、気軽に相談してみるとよいでしょう。

税理士にも専門分野がありますので、相続税についての相談は相続税務の実績が豊富な税理士に依頼することが重要です。

広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい