相続が開始すると、被相続人の財産の合計が基礎控除を超えている場合、相続発生の翌日から10カ月以内に現金一括で相続税の支払いが必要となります。
被相続人の財産が預貯金などの金融資産中心であれば、取得した財産で税金を納付することが可能です。しかし、不動産など現物資産が中心に財産を受け取った場合、相続税を納付することが出来ない可能性があります。
このようなケースでは銀行からお金を借りて相続税を納付することはできるのでしょうか。当記事では相続税を納付するために銀行でローンを組む際の注意点などを解説します。
銀行でローンが借りられる?
銀行では住宅ローン等、目的によってさまざまな種類のローンがあり、それぞれ借りるための条件を銀行が決めて審査を行います。相続税の納税資金不足の方向けのための融資については銀行によって種類が異なりますが、相続財産の中に土地・建物などの不動産がある場合は、不動産を担保にお金を借りることが一般的です。
銀行でローンを借りるメリット
銀行でローンを組み資金の借り入れを行うことでどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。
資産をそのまま保有することができる
ローンを利用して銀行で借りたお金で相続税を納付することで、不動産など相続した資産をそのまま保有することができます。金利などの負担はかかるものの、持ち続けることで収益を生む資産の場合は持ち続けたほうが有利になる場合もあります。
銀行でローンを借りる際の注意点
銀行でローンを借りる際にはどのような点に注意をすればよいのでしょうか。注意点も確認しておきましょう。
必ず借りられるわけではない
銀行でローンの審査の申込みを行うことは可能ですが、担保物件や保証人も含めて銀行で審査がありますので、必ず資金を借りられるわけではありません。借りられるとしても希望の額に満たない場合や金利が想定よりも高くなるケースもあります。また、銀行は資金の使いみちやその人の収入や資産の状況によって金利を定めており、住宅ローンに比べると金利負担は大きくなります。
相続税の納付期限の直前で審査の承認が下りなかった場合、別の方法で納付する必要があります。期限に間に合わないと無申告加算税という加算税が課されますので期限に間に合うように準備をしましょう。
変動金利の場合、金利が上昇する可能性がある
変動金利でローンを借りた場合、契約時は現在の金利が適用されますが、将来の情勢にあわせた金利が適用されますので借りた後で金利が上昇し、負担が大きくなる可能性があります。借入金が多く、借りている期間が長くなると金利が変動する可能性も高くなりますので契約をする前に内容をしっかりと確認しておきましょう。返済計画については銀行員のサポートを受けて慎重に計画し、金利が上昇した時でも受け継いだ資産から得られる収入でしっかりと返せるようにしておきましょう。
金融機関で借りる以外の納税方法
現金が足りない場合に、金融機関で借りることは一つの選択肢ではありますが、他にも方法はあります。相続税の納付方法について概要を解説します。
物納する
物納とは現物資産をそのまま納税する制度です。物納制度を活用し、納税することで資産を失うことになりますが、相続した財産で納税することが可能です。ただし、所定の書類を作成し物納を申請しても通らない可能性がありますので、早めに手続きを行って物納が可能かどうか確認しておくようにしましょう。
延納する
延納とは税務署に期限内に払えないことを申告し、期限を延長してもらう制度です。期限を過ぎると税額に対し一定の利子税を払うことになります。金融機関で融資を受ける際の利率とどちらが高いか確認して選択するようにしましょう。
相続した資産を売却して納税する
相続した資産をすぐに売却できる場合は期限内に売却し、納税することも可能です。ただし、不動産などは売却するまでに時間がかかります。時間がない中で売却を急ぐと思うような価格で売れない可能性がありますので、注意が必要です。
資産の中で一部を売却することで納税が出来るケースもありますので、何を売れば納税可能かしっかりと全体を確認してから検討するようにしましょう。
生前に対策をしておく
生前に税金の金額がわかり納税資金を確保できない可能性が高いことがわかっている場合は、あらかじめあらゆる対策を検討することができます。
例えば、生前贈与が有効な手段の一つです。毎年110万円までの非課税枠の範囲で現金を生前贈与することで、税負担を減らすことができます。贈与された資金を相続人の口座に貯めておけば納税資金に充てることができます。
他にも生命保険を契約しておき、死亡した際に受け取れるようにしておくなどさまざまな方法があります。金融機関で多額の借入を行うと金利や手数料を支払う必要があり負担も大きいです。事前に対策を行うことで回避できる可能性もありますが、相続人間のトラブルを避けるためにも財産を遺す割合もあわせて検討することが重要です。
事前に検討しておくことで時間をかけて判断することができますので、できれば事前に検討しておいたほうがよいでしょう。
相続税のお悩みは税理士に相談を
財産を相続するとあらゆる資産を評価し、相続税の計算を行う必要があります。基礎控除を超える場合は原則、被相続人の死亡から10カ月以内に税務署に申告書を提出する必要があり、期限も短く、申告の手続きに慣れていない人には大変な作業です。
自分で申告をすることが難しい場合は税務の専門家であり、普段から業務として行っている税理士にサポートを依頼するほうがよいでしょう。税理士に依頼することで、費用はかかりますが、期限内に確実に完了させることが可能となり、各種特例や控除も漏れなく適用することが可能です。ただし、税理士にも専門分野がありますので、相続税の申告実績が豊富な税理士に依頼することも重要です。知り合いから紹介してもらうことが難しい場合はホームページなどで探してみるとよいでしょう。税理士に相談に行く際は、預貯金や株式、不動産など課税の対象となる財産の内容や評価額がわかるように資料を持っていくとスムーズに相談することができます。
広島相続税相談テラスでは、初回の相談はサービスで無料で対応しています。相続税関連の書類の作成や税金の計算でお困りの場合は電話やメールなどでお気軽にご連絡ください。