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特別縁故者が相続税の申告をする際の注意点とは

2025年01月20日

相続が開始すると民法で定められた法定相続人で話し合って、法定相続分を考慮し、遺産分割を行います。しかし、相続財産を引き継ぐ法定相続人がいない場合、特別縁故者に財産分与されることもあります。

特別縁故者が財産を引き継ぐ場合も相続税の申告が必要となります。特別縁故者が相続税の申告をする際はどのような点に注意をすればよいのでしょうか。当記事では特別縁故者が遺産相続する際の注意点について解説します。

特別縁故者が財産を承継するまでの流れ

特別縁故者とは財産を承継する権利がある相続人がいない場合や他の相続人全員が相続放棄の意思表示をした場合に、財産を承継できる人のことです。戸籍謄本に記載されている相続人がいない場合は、通常、相続財産は国庫に帰属しますが、特別縁故者がいる場合は、財産を承継することができます。

特別縁故者が財産を承継するためには、法定相続人がおらず、親戚にあたるだけでなく、生計を共にし、事実婚であり事実上のパートナーとして生活していた場合や、療養・看護に務めているなど、実際に亡くなった人と特別の関係であった人に限られます。ただし、看護師など仕事で療養・看護に務めている人は除きます。

特別縁故者は特別縁故者の申し立てを行ったあと、相続財産管理人が選任され、相続人や債権者の捜索を行って相続人がいないことが確定したうえで、家庭裁判所に特別縁故者の認定が行われ、財産を承継することができます。特別縁故者には法人が認定される場合もあります。

相続税を申告する際の注意点

特別縁故者が相続税の申告をする際はどのような点に気を付ければよいのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

2割加算の対象となる

相続税法で定められている相続税の計算上、兄弟姉妹や甥・姪等が財産を想像する時は2割加算の対象となるという制度があります。同じ財産でも配偶者や子供が相続する時と計算方法が異なるため、多く税金がかかるので注意しましょう。

基礎控除が少ない

相続税の基礎控除は3,000万円+法定相続人×600万円で計算を行います。相続人の数が多ければ多いほど基礎控除が増える仕組みとなっていますが、法定相続人がいない場合の基礎控除は3,000万円と法定相続人が複数いる場合よりも基礎控除が少なくなります。

財産の総額が基礎控除以下の場合は、相続税の申告は必要ありませんので、まずはプラスの財産の合計から債務などを差し引いて基礎控除を超えそうかどうか確認するようにしましょう。

期限は特別縁故者と認定されたことを知った時から10ヶ月以内

通常の相続税の申告期限は被相続人が亡くなった翌日から10ヶ月以内と定められています。相続人が被相続人の死亡を知らなかった場合は被相続人の死亡の事実を知った時から起算して10ヶ月となります。

相続人がおらず、特別縁故者が財産を受け取る場合は被相続人の遺産を引き継ぐまでにさまざまな手続きを経る必要があり、死亡時点では財産を承継できるとは確定していません。そのため、特別縁故者は特別縁故者となったことを知った時から10ヶ月と定められているのです。

特別縁故者となったことを知った時から10ヶ月であれば、時間的に余裕があると感じる方も多いかもしれませんが、相続人ではない人が金融機関の残高などを確認し遺産の承継手続きをするのは非常に大変で、法定相続人が手続きするよりも時間がかかるケースが多いです。相続発生後は何かと忙しく、あっという間に時間が過ぎてしまいます。相続税の申告期限に間に合わないと税務署から加算税や延滞税を請求される可能性もあります。

そのため、基礎控除を超え、相続税の申告が必要な場合は期限に間に合うように早めに手続きに着手するようにしましょう。

生前に対策をしておくことが重要

特別縁故者が財産を承継するケースは法定相続人が相続する場合に比べて手続きが複雑となるため、財産を承継する人が後で困らないように事前にしっかりと対策をしておくことが重要です。

最も重要なことは遺言を書き、誰に財産を遺すか遺産分割の方法を確定しておくことでしょう。遺言書を作成し、財産の一部またはすべてを遺贈することを記載しておき、財産を遺すことを明確にしておくことが大切です。

また、財産をまとめた一覧表を作成し、評価額を記載しておくことも重要です。不動産の登記簿など財産に関する資料を一緒に保管しておくと相続人の負担を軽減することができます。

配偶者や子供ではなく第三者が財産の調査を行うことは手間がかかります。不動産や預貯金、株式など財産の一覧を作成しておくことで財産を受ける人の手間を大きく減らすことができます。東京など土地の評価が高いエリアの場合は、現金が足りなくなることもありますので、事前にシミュレーションを行って相続税がどれくらいかかるか確認しておくことも重要です。

不明点がある場合は税理士に相談を

特別縁故者となる場合の手続きは通常の手続きより複雑で大変です。土地・建物等、不動産の登記や金融機関の手続きを自分ですることが難しい場合や課税制度などで不明点があり、税額の計算ができない場合は弁護士や税理士などの専門家にサポートを依頼することをおすすめします。実際に計算を間違えて納税する額を誤った場合や申告を怠った場合は、税務署から税務署から指摘を受ける事例も多くあります。また、遺言を作成する場合も内容を相談することも可能です。

専門家に依頼することで、費用はかかりますが、確実に安心して手続きを進めることができるというメリットがあります。初回の相談は無料で対応してくれるケースが多いのでまずは気軽に相談してみるとよいでしょう。相続税の申告を依頼する場合は、相続税の申告実績が豊富な税理士事務所・税理士法人を事前にホームページで確認しておくことをおすすめします。

広島相続税相談テラスでは相続に関するさまざまなお悩みを解決することができます。相続に関するお困りごとがある場合は広島相続税相談テラスにお気軽にご連絡ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい